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糖質が大好きな人は要注意! 自律神経が乱れる「冷房病」の特徴と対策

夏の季節、冷房の効いた屋内と暑い屋外を頻繁に行き来することが多い人は、「冷房病」に注意が必要です。女医の筆者が、女性が気を付けるべき「冷房病の特徴と対策」について詳しく解説します。

冷房病とは

冷房病とは

医学的に病名があるわけではないのですが、冷房によって冷やされた空間に長時間いたり、暑い屋外と冷やされた屋内の気温差を頻繁に感じたりした場合に起こる不調が「冷房病」とされます。一般的に自律神経の乱れによって起こると言われています。

私たちの身体は自律神経の働きによって体温調整をしています。気温が高いときには副交感神経が優位になり、汗をかいたり血管を拡張したりすることで体温を下げるように働きます。

逆に気温が低いときには、交感神経が優位になって血管を収縮させることで、体温の低下を防いでいます。冷房環境によってこの自律神経が乱れると、様々な症状が現れます。

冷房病の症状

冷房病の症状には、次のようなものが挙げられるでしょう。

・頭痛やめまい
・不安やイライラ
・疲れやだるさ
・手足の冷え
・食欲不振
・下痢もしくは便秘
・睡眠障害
・足のむくみ

糖質が大好きな人は要注意!?

糖質が大好きな人は要注意!?

糖質を摂りすぎると、体を冷やしてしまう可能性が。糖質を摂取すると、まずは血糖値が上昇します。これに対して体は、インスリンという血糖値を下げるためのホルモンを分泌します(※1)。インスリンの作用により、交感神経が活性化して体温が上昇しやすい状態に。

ところが、食べたものの消化が進んでくると、インスリンの分泌が減るとともに、体温が下がりやすくなります。このときに冷房の影響が合わさると、いわゆる冷房病の症状が強く出やすいと考えられています。

冷房と糖質摂取のダブルパンチで体温の調整がうまくいかなくなると、体調を崩しやすくなってしまうでしょう。

冷房病の対策

冷房病は、自律神経の乱れにより多様な症状を引き起こします。さらに、糖質の多い食事は食後しばらくすると体温を下げてしまい、その症状を悪化させる可能性があります。

このような事態を防ぐためには、冷房の適切な使用と食事の見直しが有効です。

冷房の適切な使用

冷房病の対策
  • 冷房の設定温度は28度程度に設定しましょう。外部との温度差が大きすぎると、体調を崩しやすくなります。
  • オフィスや喫茶店などで空調設定を自由にコントロールできないときのために、ひざ掛けや羽織などの体温調整ができるアイテムを常備して、冷えすぎないように気をつけましょう。
  • 自然の風を取り入れて、定期的にしっかりと換気を行いましょう。

食事の見直し

  • 糖質を多く含む食品の摂取は控えましょう。
  • お菓子やジュースなどの糖質を多く含む飲料は、血糖値の急上昇を起こしやすいので注意しましょう。
  • 仕事など、毎日冷房がしっかり効いた場所で過ごす場合は、体を温める食品を摂取するのもおすすめです(例:生姜や唐辛子など)。
  • 血糖値の急激な上下を防ぐために、サラダや小鉢などから食べ始め、ご飯などの糖質の摂取はそのあとにすると良いでしょう。早食いも避けてください。

適切な対策で冷えない体づくりを!

暑さを我慢して熱中症になってしまうのは避けたいものの、冷房の使いすぎによって夏バテを引き起こしてしまうこともあります。

暑さ対策として適切に冷房を使うのは大切なことですが、使用方法や食生活に気をつけることも重要です。適切な対策を行って、暑い夏を健康的に過ごしましょう。
【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット インスリン
©izzetugutmen/Westend61/yuruphoto/eternalcreative/Aja Koska/gettyimages

筆者情報

ママ女医ちえこ

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは3人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は14万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ