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“便秘や下痢”は自律神経が乱れているサイン?【女医監修】実は気付きにくい「体調不良の予兆」

なぜか便秘や下痢が続くとき、実は自律神経が乱れている可能性があります。今回は自律神経が乱れているときにどういった症状が現れるのか、どのような対策があるのか、医師の筆者が解説していきます。

自律神経とは

“便秘や下痢”は自律神経が乱れているサイン? 実は気付きにくい「体調不良の予兆」

そもそも自律神経というのは、心拍数や消化活動など、私たちの体の機能を自動的に制御するものです。交感神経と副交感神経の2つがあり、お互いにバランスを取り合うことによって、身体の状態を保つ働きがあるんですね。一般的に、自律神経が乱れると、多くの健康問題が引き起こされる可能性があります(※1)。

便秘や下痢に悩まされている人は…

実は、自律神経の乱れが原因で「便秘や下痢」のような消化器系の問題が生じることがあります。これは、自律神経の働きのひとつに消化器官の動きをコントロールする働きがあるからです。

便秘や下痢といった症状は、腸炎などの病気によって起こることがあります。ですが、腸炎などの病気がないにもかかわらず、便秘や下痢がある、便秘や下痢を繰り返している、人前で話すなどストレスのかかるイベントの前後で症状が強まるといった場合は、自律神経の乱れが原因である可能性も高いのです。

自律神経の乱れと消化器系

自律神経の乱れと消化器系

自律神経のバランスが整っていると、適切な消化活動が行われます。ですが、ストレス下などで交感神経と副交感神経のバランスの乱れが持続すると、便秘や下痢につながってしまうことがあります。一時的なものであれば問題ないですが、長期に渡って便秘や下痢を繰り返したり、腹痛を伴ったりする場合は、過敏性腸症候群(※2)のほか、何らかの消化器疾患の可能性もありますので、消化器内科を受診するのがいいでしょう。

他の体調不良の予兆

自律神経の乱れによる影響は、便秘や下痢だけではありません。例えば下記に挙げるようなものがあります(※1)。

【全身的症状】
だるい、眠れない、疲れがとれないなど

【器官的症状】
頭痛、肩こり、動悸や息切れ、めまい、のぼせ、立ちくらみ、冷えなど

【精神的症状】
情緒不安定、イライラや不安感、うつなど

自律神経が乱れる原因

自律神経の乱れは、ストレス、過労、睡眠不足、不規則な生活、栄養不足など、さまざまな要因があるでしょう。なお、女性のほうが男性に比べて自律神経が乱れやすいとも考えられています。これは、月経に伴う女性ホルモンの変化が影響を及ぼしてしまうことがあるためです。

体調管理の重要性

体調管理の重要性

体調不良の予兆に気がついたときには、無理せずに十分な休息と睡眠をとり、適切な食事や運動を心がけることが重要です。また、特に朝~午前中に日光浴をして体内時計をリセットするといいですね(※3)。日中は適度に運動を取り入れ、速やかに入眠できるサイクルを作ってください。

ストレスを感じたときには、できるだけ早く解消できるように、自分なりのストレス解消方法を身につけておきましょう。こういった対策をすることで、自律神経のバランスが整いやすくなり、健康状態の改善が期待できるはずです。

体調不良のサインを見逃さないように、日頃から自分の体調を注意深く観察しましょう。また、普段からバランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレスをためない生活を心がけ、日常生活の中で健康管理をしていくことが大切ですよ。

体調不良の予兆に気をつけ、健康を守ろう

便秘や下痢を繰り返す場合は、自律神経が乱れているサインかもしれません。体調不良の予兆に気がついたときには、無理せずに休むようにして、バランスの取れた生活を心がけましょう。普段から健康管理を意識することで自律神経のバランスが整い、よりよい健康状態を保つことにつながります。

また、ご紹介した対策を行ってもなお便秘や下痢の症状が続く場合は、消化器内科でしっかりと診察を受けるのがおすすめです。特に便が細くなってきた場合や、血便がみられる場合はすぐに受診しましょう。消化器系の病気があれば早めの診断・治療が大切です。特に病気がなく、自律神経の問題による過敏性腸症候群などの場合も、生活習慣の見直しとともに適切なおくすりを活用することで改善につながるはずですよ。

【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット 自律神経失調症
※2 厚生労働省.e-ヘルスネット 過敏性腸症候群
※3 厚生労働省.e-ヘルスネット 体内時計
©kei907/Adobe Stock ©New Africa/Adobe Stock

著者情報

ママ女医ちえこ

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは3人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は14万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ