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心が疲れているときに…【管理栄養士が教える】「メンタル回復ごはん」のポイント

気分の落ち込みやストレスは誰にでも起こり得るものです。ストレス軽減に役立つ栄養素を知っておけば、心と体の健康を保つことに役立つはず。管理栄養士の筆者が、心の健康を保つために押さえておきたい食事のポイントをご紹介します。

心の健康に影響しやすい栄養素

心の健康に影響しやすい栄養素

私たちの体は、ストレスを感じたときには軽減するための働きが行われています。そのためにはさまざまな栄養素が必要です。ストレスを感じたときに消費されやすい栄養素や、心の健康に関連がある栄養素と働きについて紹介します。

トリプトファン

トリプトファンとは必須アミノ酸のひとつであり、心を落ち着かせる働きがある脳内の神経伝達物質「セロトニン」を作るための材料です(※1)。必須アミノ酸は体内で合成できないため、食事から摂る必要があります(※2)。そのため、トリプトファンが含まれる肉・魚・玉子・大豆製品などは、不足しないように日々の食事に取り入れるとよいでしょう。

オメガ3脂肪酸

魚に多く含まれている「オメガ3脂肪酸」を摂取することで、不安が軽減されやすいといわれています。近年日本人は魚が不足しているといわれますが、アジ・イワシ・サンマ・サバなどの青魚にはオメガ3系脂肪酸が多く含まれているため、これらを意識して食卓に取り入れてみましょう。

食物繊維

野菜・海藻・きのこなどに含まれる食物繊維は、腸内環境を整える働きがあります(※3)。腸は「第二の脳」とも呼ばれ、腸と脳はお互い影響しあっているとされます。腸内環境が悪化すると心の健康にも悪影響を及ぼす可能性があるため、腸内環境を整えてくれる食物繊維を積極的に摂ることがおすすめです。

ビタミンCやビタミンE

ビタミンCやビタミンEは「抗酸化ビタミン」とも呼ばれ、ストレスにより増加する活性酸素の働きを抑えてくれる役割があります(※4)。また、ストレスがかかるとビタミンCの消費量が増えるとされるため、不足しないように野菜や果物などから摂りましょう。

ストレスを感じたときにおすすめの食材

ストレスを感じたときにおすすめの食材

バナナ

バナナにはトリプトファンが含まれるだけでなく、腸内の善玉菌のエサとなるオリゴ糖も含まれています(※5)。いつも朝食を抜いてしまう人はバナナだけでも食べてみましょう。また、おやつとして摂るのもおすすめです。

ナッツ類

アーモンドやくるみなどのナッツ類には、抗酸化ビタミンであるビタミンEが豊富に含まれます。ただし脂質も多く含まれているため、食べすぎには注意が必要です。塩分や余分な油が含まれていない「素焼きタイプ」を選ぶとよいでしょう。

ヨーグルト

発酵食品の一つであるヨーグルトに含まれている乳酸菌は、腸内環境を整える働きがあります。先ほどご紹介したバナナやナッツを組み合わせてもよいでしょう。

大豆製品

納豆や豆腐などの大豆製品には、セロトニンの材料となるトリプトファンが含まれています。また、味噌や納豆などは発酵食品であり、腸内環境を整えてくれる働きも期待できます。

ストレスが多いときに避けたい食事

ストレスが多いときに避けたい食事

油が多い食事

心の健康と関係があるといわれる「腸内環境」を悪化させる要因として、「脂質が多い食事」が挙げられます。脂身の多い肉や揚げ物などに偏った食事は、腸内の悪玉菌を増やす可能性があるので控えましょう。不規則な食生活も腸内環境にとってよくないため、主食・主菜・副菜とバランスの取れた食事がおすすめです。

甘いお菓子やジュース

甘いお菓子やジュースには、血糖値を急激に上げやすい糖分が含まれています。甘い食べ物を摂りすぎると心の健康に影響をおよぼす可能性も。甘いお菓子は食べすぎに気を付け、果物に置き換えるなどの工夫をしましょう。

ストレス対策には食事の工夫も大切

心の元気を保つためには、日ごろの食事も大切です。基本的にはバランスの取れた食事を心がけることが一番ですが、今回お伝えした食材を積極的に取り入れることで、ストレス軽減が期待できます。ストレスを感じたら適度な運動や気分転換のほかに食生活の見直しもぜひ取り入れて、心と体の健康を保ちましょう。

【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット セロトニン
※2 厚生労働省.e-ヘルスネット アミノ酸
※3 厚生労働省.e-ヘルスネット 食物繊維の必要性と健康
※4 厚生労働省.e-ヘルスネット 抗酸化ビタミン
※5 厚生労働省.e-ヘルスネット 腸内細菌と健康
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筆者情報

寺内麻美
管理栄養士を取得後、病院での給食や栄養管理、クリニックで生活習慣病予防のための食事指導に携わる。現在はダイエットサポートやレシピ制作、根拠のあるデータをもとに食や健康コラムの執筆などを行なっている。