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熱中症だけじゃない!【女医監修】「夏の頭痛」の原因と対処法

熱中症の初期症状として頭痛を感じる場合もありますが、実は夏に起こる頭痛の原因は他にもあります。今回はその原因と対処法についてご紹介します。

夏の頭痛の主な原因

熱中症だけじゃない!【女医監修】「夏の頭痛」の原因と対処法

頭痛の原因にはいろいろなものがありますが、今回は特に夏に多い原因とその対策について3つご紹介します。

1:熱中症による頭痛

まずは、熱中症の初期症状としての頭痛です。熱中症による頭痛は、体温が上昇することによって起こることがあります。軽い場合は少しズキズキと痛む程度から、ひどくなると頭が割れるような痛みとして感じ、吐き気を伴うこともあります。暑い環境下で症状を感じることもあれば、翌日頭痛が起こるということもあります。

熱中症による頭痛の対策は?

頭痛が熱中症によるものだった場合、適切な対策をしないと命に関わることもあります。熱中症が原因なのかどうかは即座に判断できないこともありますが、暑い環境下で頭痛の兆候が出たら、すぐに冷房の効いた場所や日陰に移動しましょう。体を冷やすことが重要です。

そして、十分な水分と塩分を摂取しましょう。体温を下げるためには、汗と一緒に失われる水分と塩分の補給が必要です。冷たい水分を摂って、体を中から冷やすのも有効です。ただ、冷たいものを飲みすぎると腹痛や下痢につながる場合もあるため、お腹の冷やしすぎには注意しましょう。

2:室内外の気温差による頭痛

夏は屋外の気温が上昇することから、冷房がよく効いた室内との気温差が大きくなりがちです。高温多湿の屋外と冷房の効いた屋内を行き来すると、急激な気温差によって自律神経のバランスに乱れが生じやすくなります。

自律神経に乱れが生じると、四肢の冷えや肩こり、頭痛などの症状のほか、食欲不振、片頭痛や緊張性頭痛の原因となってしまうことがあります。

室内外の気温差による頭痛の対策

外出から帰宅したときには、一気に体を冷やしすぎないようにしましょう。急激な温度変化を避けるために、冷房の効いた部屋から外へ出るときや、その逆の場合は、十分な時間をかけて体温調節を行えるようにしたいですね。

汗をかいた状態で急に冷房の効いた部屋に入ると、体が冷えすぎて体調を崩すおそれがあります。汗をよく拭き取ったり、着替えるなどの対処がおすすめです。

3:脱水症状による頭痛

夏の暑さで汗をたくさんかいてしまうと、体内の水分が減少してしまいます。また、意外に見落としがちなのが、寝汗です。健康な成人で、一晩に平均してコップ1杯分の汗をかくとも言われています。暑い夏の夜には、寝汗はさらに多くなっているかもしれません。

体内が水分不足になると、血流が悪くなったり、細胞内と細胞外での水分と塩分のバランスが崩れる影響などで、頭痛や吐き気などの脱水症状が起こることがあります。

脱水症状による頭痛の対策

脱水が原因と考えられる頭痛の場合は、こまめに水分を補給しましょう。特に運動後や汗をたくさんかいたときは、水分だけでなく塩分もしっかり補給してください。疲労回復成分のクエン酸を含んだ梅干しや、漬物などを摂るのもいいですね。

一方で、アルコールやカフェインの摂取は控えめに。これらの飲み物は利尿作用があり、水分を体から過剰に排出してしまい、かえって脱水症状を引き起こす場合があります。

適切な対策で快適に夏を過ごそう

適切な対策で快適に夏を過ごそう

頭痛が起こると、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。しかし、原因を理解し、適切な対策をとれば予防や改善することも可能です。夏の頭痛を未然に防ぐために、熱中症対策、適切な室内温度の調節、十分な水分と塩分の補給を心がけてみましょう。頭痛に悩まされずに、快適に夏を楽しみたいですね。
©Krakenimages.com/Kite_rin/shutterstock

筆者情報

ちえこサムネイルanan

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは3人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は14万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ