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春はダラダラしがち…【自律神経の名医に聞く】集中力をガタ落ちさせるNG習慣

春は新生活で環境が変わり、緊張や不安で落ち着かないものです。仕事や勉強の集中力が続かないと悩んでいませんか? 今回は『自律神経の名医が教える集中力スイッチ』の著者である自律神経研究の第一人者、医師の小林弘幸さんに、集中力をアップさせるのを妨げるやりがちなNG習慣を教わります。

春に集中力を下げるNG習慣5選

自律神経 集中力

環境やライフスタイルが変化しやすい今の時期、仕事や勉強の集中力が続かず、悩んでいませんか? 集中の妨げになってしまうNG習慣を5つ、小林さんに教えていただきました。

NG習慣1. 緊張や不安を感じてもすぐ対処しない

小林さん 春は多くの人にとって別れと出会いの季節です。誰もが緊張や不安で仕事が手につかず集中できないことが多いのでは。けれどそのまま何も対策せずにいると、頑張りすぎていわゆる5月病と呼ばれる無気力な状態になり、結果として集中できないカラダになってしまうので注意が必要です。

緊張や不安感を感じたときには、自分で自分のカラダを抱きしめるようにしてゆっくりとした呼吸を繰り返すことで和らぎます。3秒息を吸い、6秒かけて息を吐きだす「ドキドキ解消呼吸」を試してみてください。

NG習慣2. 午前中を単純作業にあてる

小林さん 「早起きは三文の徳」という言葉がありますが、私には「規則正しく健康的な生活を送ることは素晴らしい」というメッセージが込められている気がします。実は集中力が高まりやすい時間は午前中。特にクリエイティブなことを行うのに適しています。午前中は単純作業ではなく、アイデアなどを検討するクリエイティブな仕事の時間にあてたほうが良いでしょう。

NG習慣3. ガムを噛まない

小林さん 最近、マナー面などから「ガム離れ」が進んでいるようですが、ガムほど集中力を手っ取り早く上げるのに効果的なアイテムはないのです。野球のメジャーリーグでも、長時間に渡る試合で、集中力を切らさないようにガムを活用しています。

NG習慣4. PCでダラダラ仕事を続けてしまう

小林さん リモートで仕事をしているかたは特に、パソコンの前に座ったものの、なんとなくダラダラしてしまった経験はありませんか? それは集中力が切れてしまった証拠でもあります。心当たりがあるなら、例えば45分仕事をしたら、いったん休憩を挟むようにしたほうが、集中力を高く維持して仕事に取り組めるでしょう。

NG習慣5. 夜ふかしを続ける

小林さん 「リベンジ夜ふかし」という言葉をご存知でしょうか。日中に自由な時間を得られなかった人が、夜ふかしをすることで自由な時間を確保することをいいます。これは睡眠時間を削ることに直結し、気づかないうちに体内時計が狂い、朝の目覚めの悪さにつながります。

こうなると疲労が蓄積してしまい、集中力や注意力の欠如を引き起こし、日中のパフォーマンスの質が著しく低下する「負のスパイラル」に陥ってしまうでしょう。

集中力を上げる良い習慣とは?

ーーNG習慣に1つでも当てはまるなら、要注意。集中力を上げるにはどうすればよいのでしょうか。小林さんに教えていただきました。

1. 睡眠の質を上げるためにスマホの使い方を変える

小林さん まず意識すべきは睡眠の質です。夜ふかしは避け、寝る前の行動を改めることが、日中の集中力を上げるためにやるべきことです。そこで最もみなさんの意識を奪っているスマートフォンの取り扱いを見直すことをおすすめします。

スマホを起床アラーム代わりに使っているなら、目覚まし時計に変えてみてください。枕元にスマホがあるだけで、寝る直前までSNSや動画視聴をしてしまいがちだからです。それが結果的に睡眠の質を低下させる大きな原因となりますので、スマホは寝室に持ち込まない、枕元に置かないことを試してみてください。

2. 仕事の集中力を上げる「ポモドーロ・テクニック」を試す

小林さん 仕事の集中力が続かないなら「ポモドーロ・テクニック」を試してみてください。集中する時間と休憩時間を繰り返すことで、仕事のペースを生み出す時間管理術です。手順は以下の通りです。


(1)タイマーを25分に設定し、作業を開始する
(2)タイマーが鳴ったら5分程度の休憩をとる
(3)休憩時間は、4~5回に1回は15~30分とる

「この25分はこのタスクをやりきろう」など、時間を区切ってタスクを絞ることができるので集中しやすく、生産性も上げやすいでしょう。

3. ガムを噛みながら関係のない景色を見る

小林さん 人は緊張したり深く集中したりすると視野が狭くなります。すると大事なことを見落としてしまったり、ケアレスミスを犯しやすくなってしまいます。

こうした失敗を防ぐためには、時々窓の外を眺めたり、メガネをかけている人の数を数えてみたりするのも効果的です。その際には、ガムを噛みながらできると理想的です。ガムは適度な咀嚼リズムを生み出してくれ、緊張したカラダをリラックスさせてくれる効果が期待できるからです。

ーーいかがでしたでしょうか。どれもすぐ実践できるテクニック! 集中力がなかなか続かないと思ったら、ぜひ試してみてください。他にも集中力を上げる方法を知りたい人は、書籍をチェックしてみるのも良さそうです。

Information

<教えてくれた人>

小林 弘幸(こばやし ひろゆき)さん

小林 弘幸さん

順天堂大学医学部教授。自律神経研究の第一人者としてメディア出演多数。主な著書に『自律神経の名医が教える集中力スイッチ』(アスコム刊)など。

『自律神経の名医が教える集中力スイッチ』 (アスコム刊)

<筆者情報>

椎原茜
ライター。記事を通して、読者の方々に役立つ情報を知ってもらい、ハッピーかつ快適な生活を送っていただきたいという思いで執筆中。

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