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実は避けたほうがいいんです… 管理栄養士が教える「納豆のNG食べ方」

日本人にはなじみの深い食品である納豆。朝ごはんには必ず摂っているという人もいるでしょう。健康食として浸透している納豆ですが、実は食べ方には気を付けたいポイントもあります。今回は、納豆に期待される健康効果やNGな食べ方、より効果的に食べるための組み合わせなどをご紹介します。

納豆に含まれる栄養素と健康効果

納豆に含まれる栄養素と健康効果

良質なたんぱく質

たんぱく質は20種類のアミノ酸が結合して作られていると言われています。納豆の原料である大豆は、私たちの体に必要なアミノ酸がバランスよく含まれている良質なたんぱく質です。ごはんやパンだけなど炭水化物中心の食事になりがちなときも、納豆を取り入れることで健康的な食事に近づけることができるでしょう。

食物繊維

腸内環境を整えてくれる食物繊維は、現代ではほとんどの日本人に不足しているといわれています(※1)。納豆には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がどちらも含まれていて、毎日摂ることで便秘予防が期待できるでしょう。

ビタミンK

ビタミンKは脂溶性ビタミンの一種です(※2)。出血時の血液凝固や、骨の形成にも関わりがあり、骨の健康のために重要な栄養素です。

カルシウム

カルシウムは骨や歯を形成する栄養素で、納豆にも豊富に含まれています。日本人はカルシウムが不足しやすいとされているため、積極的に取り入れたい栄養素です。

イソフラボン

納豆には大豆イソフラボンが含まれています。イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをするため、女性ホルモンの減少による骨粗鬆症などを予防する効果が期待されています(※3)。

納豆のNG食べ方

納豆のNG食べ方

毎食食べるのはNG

納豆は健康にいい食品というイメージがあるかもしれませんが、摂りすぎはよくないでしょう。納豆に含まれる大豆イソフラボンは、長い期間過剰に摂取すると乳がんリスクを高める可能性が示唆されています(※4)。また、それほど多くはありませんがプリン体も含まれているため、尿酸値が高い人は特に食べすぎに注意が必要です。

ほかの大豆製品も摂取することを踏まえると、納豆は1日1パック程度であれば過剰摂取の心配は少ないでしょう。

常温で放置する

納豆は冷蔵保存が基本ですが、常温でしばらく置いてから食べると、納豆独特の臭いが強くなり、おいしさが損なわれる可能性があります。できるだけ冷蔵庫から取り出したらすぐに食べましょう。ちなみに納豆は冷凍保存も可能です。冷凍しても冷蔵庫で自然解凍すれば、風味や納豆菌への影響は少ないとされています。

加熱により栄養やおいしさに影響

納豆を加熱すると、ナットウキナーゼという酵素が死滅することも。ナットウキナーゼは血液サラサラ効果が期待されているため、気になる方は加熱しすぎないほうがいいでしょう。また、加熱による風味の変化でおいしさが損なわれる可能性もあります。

薬を飲んでいる場合は注意

ワルファリンという血栓予防の薬を処方されている場合は、納豆の摂取はNGとなっています。納豆に含まれるビタミンKが血液を凝固させる作用があるため、ワルファリンの効果を弱めてしまうためです。納豆による体への影響は数日間続くとされているため、間隔を空けたとしても納豆は食べられません。薬と食べ物の影響に関して不安がある場合は、医師または薬剤師に相談してください。

納豆と組み合わせたい食品

納豆と組み合わせたい食品

納豆×キムチ

納豆には、食物繊維や納豆菌など腸内環境を整えてくれる栄養素が多く含まれています。あらゆる善玉菌を含む発酵食品を摂取すると、より腸内環境を整える効果が期待されるため、納豆と一緒に食べるといいでしょう。

納豆とキムチは味の相性も良く、旨味が組み合わさりおいしさもアップします。みそやヨーグルトなどほかの発酵食品もおすすめです。

納豆×トマト

納豆は栄養価が高い食材ですが、ビタミンCやビタミンAなどのビタミン類は多くありません。そこで、トマトなどの緑黄色野菜を組み合わると栄養バランスが整いやすくなります。

意外な組み合わせかもしれませんが、トマトを角切りにして納豆と混ぜ、オリーブオイルやごま油などを加えるとおいしい和え物になりますよ。

納豆は日々の食卓に賢く取り入れましょう

納豆には体にうれしいさまざまな栄養素が含まれ、毎日の食事に取り入れてほしい食材の一つです。安価で手に入りやすいため、冷蔵庫に常備しておくとよいでしょう。食べすぎには注意し、今回お伝えしたおすすめの食べ方もぜひ参考にしながら、健康づくりにお役立てください。

【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット 食物繊維の必要性と健康
※2 厚生労働省.e-ヘルスネット ビタミン
※3 厚生労働省.e-ヘルスネット 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
※4 農林水産省.大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
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筆者情報

寺内麻美
管理栄養士を取得後、病院での給食や栄養管理、クリニックで生活習慣病予防のための食事指導に携わる。現在はダイエットサポートやレシピ制作、根拠のあるデータをもとに食や健康コラムの執筆などを行なっている。