いまわたしたちにできること~美容・健康・環境も~

実は夏に多いんです!【女医が教える】今注意すべき「婦人科系の症状」

夏の時期に増えるデリケートゾーンのトラブルとして、「かゆみ」や「におい」の症状があります。今回はそんな、夏に増えるデリケートゾーンのトラブルの原因とその対策について、産婦人科専門医の筆者が解説します。

夏に増えるデリケートゾーンのトラブルとは

夏に増えるデリケートゾーンのトラブルとは

夏になると、暑さによって汗をかきやすくなります。また一年間の中でも湿度が高くなる時期のため、デリケートゾーンが蒸れやすい環境になっています。これによって、「かゆみ」や「におい」といったデリケートゾーンのトラブルが起こりやすくなります。

かゆみの原因

夏にかゆみが生じる原因としては、大きく2つあります。

1.かぶれによるかゆみ

夏の暑さによる汗と外気の湿気により蒸れやすい環境が整ってしまうと、皮膚の状態が悪化しやすくなります。また、皮膚が汗ばんだ状態が続くと、あせもができてしまう場合も。

そうすると普段は問題なく使用できていたナプキンでも、肌に接触するときに過度な刺激となってしまい、かゆみの症状が出やすくなってしまいます。特にストッキングやタイツ、ガードルを日常的に使用している人は症状が出やすい傾向にあるでしょう。

2.雑菌によるかゆみ

デリケートゾーンが蒸れやすい状態になっていると、菌が異常に繁殖してしまうことがあり、これによりかゆみが起こることがあります。特に「カンジダ」はかゆみを引き起こす菌として有名です。カンジダの場合は、かゆみ以外の症状として、カッテージチーズのようなおりものが出るのが特徴です。こういったトラブルを、医学的には「性器カンジダ症」といいます。

それ以外の雑菌が異常に増殖した場合も、おりものの量が増えてしまうことで肌への刺激が強く出てしまい、かゆみ症状が出る場合があります。こうした雑菌が腟内に増えることでおりものの異常が起こる病気を、医学的には「細菌性腟症」と言います。

性器カンジダ症とは
性器カンジダ症とは、カンジダ菌が腟内を中心にデリケートゾーンで増殖してしまうことで起こる病気です。カンジダ菌はデリケートゾーンを含めた全身の皮膚などに普段から存在する菌です。疲れやストレス、生活習慣の乱れなどがきっかけで異常に増殖してしまうことが原因となります。治療は抗真菌薬の膣錠や、軟膏、内服薬などで行います。

細菌性腟症とは
細菌性腟症とは、腟内フローラのバランスが乱れることで、乳酸桿菌(ラクトバチルス)以外の菌が異常に増殖した場合に起こる病態です。症状としては、おりものの増加、色やにおいの変化といった自覚症状が多いです。治療は、抗菌薬の膣錠や内服薬などで行います。

においの原因

夏ににおいが生じる主な原因としては、雑菌が挙げられるでしょう。そもそもデリケートゾーンには汗や尿、月経の時期であれば経血などが付着しています。

こういった雑菌にとって栄養となる分泌物が付着していることで、雑菌の異常繁殖を招いてしまうことが、においの原因となることがあります。かゆみの原因と同様、細菌性腟症が原因となることもあります。

夏のデリケートゾーンのトラブル対策

夏のデリケートゾーンのトラブル対策

では、これらのトラブルを未然に防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。以下にいくつかの対策を紹介します。

対策1. 常に清潔に保つ

デリケートゾーンは、常に清潔に保つようにしましょう。かゆみやにおいの原因になりやすい汗や尿、経血などはしっかり拭くようにしましょう。恥垢が溜まっている人は、優しく洗い流すようにしたいですね。

デリケートゾーン用ソープなど刺激の少ないもので、丁寧に洗うようにしましょう。ひだの間など汚れが溜まりやすい部分をきれいにするのがポイントです。

対策2.通気性の良い下着を選ぶ

ムレを防ぐために、通気性の良い下着を着用するようにしましょう。症状が気になるときには、できる限りストッキングやガードルなど締めつけるものは着用を控えたいですね。

ピタッとしたジーンズよりは、余裕のあるパンツやスカートなどがおすすめです。たくさん汗をかいたときには、皮膚への刺激を軽減するために、適度に着替えるようにしましょう。

対策3.食べるものに注意する

カンジダは糖質を好むとされており、糖質のとりすぎには注意が必要です。腸内環境は腟内環境にも影響しているため、腸内環境を整えることを意識した食生活をしましょう。具体的には食物繊維をしっかり摂り、発酵食品なども取り入れるのがおすすめです。

おわりに

実は夏に多いんです! 女医が教える「今注意すべき婦人科系の症状」

夏は、デリケートゾーンのトラブルが起こりやすい季節です。でも、適切な対策によって症状が改善しますので、気になる症状がある場合には今回ご紹介したような対策を。もしセルフケアで改善しない場合には、薬を使った治療が必要になることもありますので、婦人科で相談してみてくださいね。
©kei.channel/PIXTA(ピクスタ) ©elise/PIXTA(ピクスタ) ©buritora/PIXTA(ピクスタ)

筆者情報

ちえこサムネイルanan

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは3人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は14万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ