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アンダーヘアを正しくケアできてる?【産婦人科医監修】デリケートゾーンの「NGケア」

デリケートゾーンのケアについて学校で習うことはほとんどないため、自己流でケアしている人や、全くケアできていない人など様々です。誤った情報や知識不足が原因で、VIOのトラブルを引き起こしてしまうことも。今回はデリケートゾーンのNGケア方法と、正しい洗い方やアンダーヘアの整え方などについて、産婦人科専門医の筆者が詳しく解説します。適切なケア方法を知り、デリケートゾーンのトラブルを未然に防いでいきましょう。

デリケートゾーンの基本的な知識

デリケートゾーンの基本的な知識

デリケートゾーンとは、肌が薄く敏感な部分、特に性器周辺を指します。皮脂腺や汗腺が多いのでムレやすく、ひだがある構造になっていることにより湿度や温度が高くなりやすいため、細菌やカビが繁殖しやすい環境となっています。

皮膚のpHバランス

デリケートゾーンを健康に保つためには、皮膚のpHバランスを理解することが重要です。pHは「酸性度」を表し、0~14の値で示されます。

私たちの皮膚のpHは約4.5~6.0で、弱酸性とされています。デリケートゾーンの中でも粘膜部分から腟内にかけては少し酸性度が高く、pHは約3.8~5.0程度。腟内は酸性を保つことで自然の防御機能(自浄作用)を働かせていると考えられます。

デリケートゾーンのNGケア方法とその理由

それでは、よくあるデリケートゾーンのNGケアについて見ていきましょう。

NGケア1.一般的なボディソープで洗浄する

NGケア1.一般的なボディソープで洗浄する

一般的なボディソープは汚れをしっかりと除去するために、洗浄力が高くなっているものが多いです。そのため、粘膜が薄く敏感なデリケートゾーンには洗浄力が強すぎる場合があります。洗浄力が強すぎるとpHバランスが乱れ、自浄作用が弱まる場合があるので注意してください。

デリケートゾーン専用のソープは、pHバランスを損なわないように配慮されているものが多いです。ただし、腟内を洗うためのものではないため、きれいにしたいからといって腟内まで洗浄するのはやめましょう。

NGケア2.強くこする

しっかりと汚れを落とそうとして、腕や体を洗うときと同じようにボディタオルでゴシゴシとこすりすぎている人もいます。デリケートゾーンは、その名のとおり敏感な部分。ゴシゴシとこすりすぎると、肌を傷つけることにつながります。

せっかくきれいにしようと思ってやっていることが、逆にトラブルの原因になってしまう可能性もあるので気をつけたいですね。しっかり泡立てて、優しく洗うようにしましょう。

NGケア3.シェービングクリームなどを使用せずにアンダーヘアを剃る

アンダーヘアを正しくケアできてる?【産婦人科医監修】デリケートゾーンの「NGケア」

最近はアンダーヘアを短く切りそろえたり、形を整えたりと、清潔さを意識してケアしている人も増えています。セルフケアをするとしても、シェービングクリームを使用せずにカミソリで処理するなどする人もいらっしゃいます。そうすると皮膚に小さな傷がつきやすく、そこから感染などのトラブルにつながる恐れも。埋没毛の原因となることもあるので、注意が必要ですね。カミソリを使う場合は、シェービングクリームやジェルなどを使用し、VIO専用のカミソリを使用するなどして皮膚を保護するのが大切ですね。

正しいケアの仕方

デリケートゾーンの洗い方

まずは必要以上に洗いすぎないことが大切。日常的なケアの際には、pHバランスを考慮したデリケートゾーン専用のソープを使用するようにしましょう。すでにかゆみや乾燥などのトラブルを実感している場合は、あえて洗浄剤を使用せずにお湯で洗うだけにするのもひとつです。

デリケートゾーン専用のソープを使う際はしっかりと泡立てて、優しく洗うように意識してください。ひだの間には恥垢といって、排泄物や経血、おりもの、汗や皮脂といった体から排出される分泌物がたまりやすくなっています。そのため、ひだの間も優しく洗うのがポイントです。

アンダーヘアの整え方

まずはハサミなどで短く切りそろえてから、電気シェーバーなど肌に負担がかからないアイテムを使用して、好みの形に整えるのがおすすめです。毛の流れにそって無理な力を加えずにシェービングし、最後はデリケートゾーン専用の保湿剤で整えるといいですね。

まとめ

まとめ

間違った情報に基づいた方法でデリケートゾーンのケアを行うと、トラブルを引き起こす可能性があります。デリケートゾーンの状態を良好に保つためには、適切な洗い方やアンダーヘアの手入れの方法、そしてNGなケア方法を知ることが大切。自分自身の身体を知り、正しいケアを行うことで、健康と快適さを確保しましょう。

©Zinkevych/Fiordaliso/Prostock-Studio/bymuratdeniz/gettyimages

筆者情報

ママ女医ちえこ

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは3人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は14万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ