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なぜか眠りが浅い…【女医監修】女性がやりがちな「NG睡眠習慣」5つ

寝つきが悪い、寝ても疲れがとれないといった睡眠トラブルを抱える女性は少なくありません。睡眠不足により不調が蓄積することを、「睡眠負債」といいます。睡眠不足になると、美容面だけではなく、高血圧や糖尿病といった生活習慣病を誘発するなど、健康面に悪影響が及ぶことも。理想的な睡眠には、日常的な習慣が大切です。今回は女医の筆者が、女性がやりがちな「NG睡眠習慣」について解説します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

【NG習慣1】夜遅くまでスマホを使う

夜遅くまでスマホを使う

夜寝る前に、SNSをチェックしてしまうという方も多いのではないでしょうか。スマホが発するブルーライトは、体内時計を乱し、眠りを遅らせてしまう恐れも。

体内時計とは、生物が持つ約24時間のリズムを示すシステムのこと。通常は体内時計がしっかりと働くことによって、睡眠と覚醒のリズムが維持されます。しかし、寝る前にブルーライトを浴びると、リズムが乱れ、良質な睡眠が阻害されるのです。

その理由は、ブルーライトがメラトニンというホルモンの分泌を抑制してしまうため。メラトニンは「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、夜に分泌されることで眠気を引き起こします(※1)。

良質な睡眠をとるために、少なくとも寝る1時間前にはスマホを見ないようにしましょう。見る必要がある場合は、ブルーライトをカットできる機能やアプリを活用するのがおすすめです。

【NG習慣2】寝る前にたくさん食べる

寝る前にたくさん食べる

質の良い睡眠のためには、寝る前にたくさん食べることも控えた方がいいでしょう(※2)。仕事や家事に追われて食事の時間が遅くなりがち、という人もいるかもしれません。しかし寝る前に食べると、胃や腸が活動的になることで、睡眠の質が低下してしまいます。これは、食べ物を消化するために体がエネルギーを使わなければならず、睡眠に必要なリラクゼーション状態になりにくくなるからです。

また、寝る直前にたくさん食べると、胃食道逆流症のリスクも高まります。胃食道逆流症とは、胃酸が食道に逆流する状態のことで、げっぷや胸やけから睡眠障害につながることも知られています。

これらを避けるために、寝る2~3時間前は食事を控えましょう。食事時間が遅くなりそうなときは小食にし、消化の良い食事を心がけるといいですね。

【NG習慣3】生活リズムが不規則

生活リズムが不規則

平日は慌ただしくて十分に休息をとれないからと、休日に寝だめをしたり、時間がなくて朝ごはんを抜いたりしていませんか? そのような不規則な生活リズムも、体内時計の乱れにつながります。体内時計は朝日を浴びることでリセットされ、一日のリズムが始まります。しかし、生活リズムが不規則だと、体内時計はうまく機能しません。

体内時計が乱れると、体が「眠る時間」を正しく認識できず、眠りが浅くなったり、途中で目が覚めたりするので注意が必要です。

良質な睡眠をとるためには、決まった時間に寝て起きるようにしましょう。また、体内時計をしっかりリセットできるように、起床後に朝日を浴びる習慣を身につけるのがおすすめです。

夜勤などでリズムを作るのが難しい方は、遮光カーテンやアイマスクなどで不要な光を避けるようにしましょう。また、起床時には目覚ましライトなど、タイマー式で強い光が点灯する照明器具を活用するのもいいですね。

【NG習慣4】運動不足

適切な運動は、睡眠の質を向上させることが知られており、心身をリフレッシュするために重要です。運動でエネルギーを消費し、体温を上げることで体がリラックス状態になり、良質な睡眠につながります。

しかし、忙しくて運動する時間がとれないという人も多いかもしれません。また、寝る前の激しい運動は、睡眠を妨げることがあります。

そこで、最低でも1日30分間の運動を心がけましょう。ウォーキングのように、軽めで取り入れやすい運動を選択するといいですね。寝る前であれば、ヨガやピラティスなど、自律神経を整えてリラックス状態に導いてくれる運動がおすすめです。

【NG習慣5】寝る前にカフェインをとる

寝る前にカフェインをとる

寝る前に、コーヒーや紅茶を飲みながらゆっくりしたいという方もいるかもしれません。ですが、カフェインには覚醒作用があるため、睡眠の質の低下につながってしまうことがあります。また、今日中に仕上げないといけない仕事があるからといって、エナジードリンクを飲むのも避けたいですね。

寝る前におすすめなのは、カフェインレスのドリンクやリラックス作用が期待できるハーブティーです。カモミールやラベンダーなど、安眠作用のあるハーブティーを飲んでリラックスするといいでしょう。

できることから取り入れてみて

少しでも質の良い睡眠をとるために、できることから取り入れてみましょう。良い睡眠は、健康と美容、さらには心の健康にもつながります。自分の体を大切にして、ベストな睡眠を目指しましょう。

【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット メラトニン
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット 快眠と生活習慣

©︎Maria Korneeva/SimpleImages/Westend61/EmirMemedovski/gettyimages

筆者情報

ママ女医ちえこ

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは3人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は14万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ