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下痢や便秘を繰り返すのはなぜ?【女医が解説】女性の「お腹の不調」との付き合い方

下痢や便秘を繰り返す女性は意外と多いです。その原因として、生理周期によるホルモンバランスの変化が関係している場合も。今回は、下痢や便秘が起こってしまう原因と、その対策についてお伝えします。

下痢になりやすい原因は?

下痢や便秘を繰り返すのはなぜ?【女医が解説】女性の「お腹の不調」との付き合い方

「ちょっと古いものを食べてあたってしまった」ときの食あたりや、「胃腸風邪に感染してしまった」というウイルス性腸炎などが原因で、下痢になってしまうこともあるでしょう。しかし、女性の場合はそれ以外の理由でも下痢を起こしてしまうことがあります。

女性が下痢をしやすい原因として、「冷え」と「ホルモンバランスの変化」の2つが挙げられます。それぞれについて詳しくお話ししましょう。

「冷え」による下痢

「冷え」は下痢につながりやすい要因のひとつ。たとえば、「空調の効きすぎ」や、「冷たいものを食べた」「外が寒すぎた」などでお腹が冷える場合があります。

「ホルモンバランスの変化」による下痢

ホルモンバランスの変化によって、月経中に下痢になりやすいという女性がいらっしゃいます。これは月経の仕組みが関係している可能性も。

女性には、妊娠の準備のために子宮内膜を分厚くしていく働きがあるのですが、妊娠が成立しないと子宮内膜は剥がれ落ちていきます。これが月経です。月経時には、子宮を収縮させる働きのあるプロスタグランジンという物質が放出されます。

プロスタグランジンが放出されると、子宮だけではなく腸にも影響が及ぶことがあります。腸も収縮しやすくなることで、下痢が起きやすくなってしまうのです。

なお、プロスタグランジンは痛み物質という側面もあり、月経痛の原因としても知られています。

女性の下痢対策

女性の下痢の対策

女性の下痢対策として、まずは体を冷やさないように温めることが大切です。温める際には体の内側と外側の両方からアプローチするとよいでしょう。

内側からのアプローチとしては、冷たい飲み物や食事を避けて温かいものを選ぶようにするのがおすすめ。また、体を温める作用があるといわれているショウガなどを取り入れるのもいいですね。

外側からのアプローチとしては、冷えやすい時期に重ね着をしたり、腹巻きや使い捨てカイロの活用などが有効です。

頑固な下痢の場合

冷えやすいものを避けて体を温めるようにしているのに、下痢を繰り返してしまう方もいらっしゃいます。その場合は、市販の下痢止め薬を使用するのもいいでしょう。

食あたりやウイルス性の腸炎などの場合は、悪いものを外に出してあげた方がいいので、下痢止めは使用しないほうがいいことも。ですが、冷えや月経中のホルモンバランスの変化による下痢については、下痢止めを使用しても問題ないと考えられます。

通勤や通学途中の急な下痢が心配な方は、お守り代わりに下痢止め薬を持ち歩くようにすると安心ですね。

便秘になりやすい原因は?

便秘になりやすい原因は?

女性は月経前の時期に便秘になりやすいといわれています。生理周期に合わせてホルモンバランスは変化し、排卵の前後から徐々に黄体ホルモンの分泌量が増えていきます。

黄体ホルモンは子宮内膜を妊娠しやすい状態に保つホルモンですが、腸の蠕動(ぜんどう)運動を抑える働きもあることから、腸の動きが悪くなってしまいます。そのため、便秘になりやすくなるのです。

女性の便秘対策

便秘対策をするなら、食事と運動習慣の見直しをしてみて。食習慣においては、食物繊維をしっかりと摂るように意識しましょう。食物繊維によって便通が良くなることが期待できます。また、便通の良し悪しには腸内細菌も関連していることから、ヨーグルトや納豆、キムチといった発酵食品を摂るのも良いですね。

運動習慣としては、少しでも体を動かす時間を作りましょう。スムーズな排便のために普段から腹筋を鍛えておくのも良いですし、便秘のときにはウォーキングで腸管の蠕動を促すのがおすすめです。

まとめ

まとめ

便通異常には様々な生活習慣が影響していますが、場合によってはストレスが影響している可能性も。ストレスによる緊張状態が続くことで自律神経のバランスが崩れ、症状があらわれることがあります。

もし、生活習慣の見直しなどをしても改善しない場合は、ストレスケアにも気を配ってみてくださいね。

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ママ女医ちえこ

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは3人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の身体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は13万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
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