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実はやりがちなんです!【女医監修】健康診断前の「NG行動」6つ

皆さんは定期的に健康診断を受けていますか。健康診断や人間ドックは、年に一度の健康のチェックとして非常に重要なイベントです。しかし、その重要性を十分に理解しながらも、意外と多くの人がやりがちな「やってはいけないこと」が存在します。今回は、その注意点を解説していきます。

健康診断の目的

診察する医者

健康診断の主な目的は、病気の早期発見と予防です。そのためには正確なデータが必要であり、正確なデータを得るためには事前の準備が不可欠です。今回は、ついついやりがちなNG行動についてお話していきます。

前日にやりがちなNG行動

NG行動1.健康診断まで絶食に耐えられるか不安で、時間ギリギリまで大量に食べてしまう

NG行動1.健康診断まで絶食に耐えられるか不安で、時間ギリギリまで大量に食べてしまう

健康診断の前日の食事は、基本的に21時までに済ませなければいけないことはご存じかと思います。これは健康診断の項目が、空腹時に血液検査を実施した場合の基準で判定しているからですね。

なかには、絶食が長いとお腹がすくのではないかと不安になる人もいるかもしれません。ですが絶食前は、揚げ物や脂肪の多いおかず、主食が多くなるなど、負担になりやすいメニューは避けたほうが無難です。通常は絶食時間を守っていると消化されることが多いですが、あまりに食べすぎると消化が進まないことがあります。未消化の食物が胃に残っていると、胃の検査に影響してしまうことがあるため注意が必要です。

改善するためには…

普段よりも消化の良いものを摂取するようにしましょう。食べ放題や飲み放題、飲み会などはあらかじめ日程を調整して、健康診断とはかぶらないように工夫してください。また、食事後すぐに寝ると消化が進まず、胃に食物が残ってしまいやすいです。前日の夕食は早めに終えるのが望ましいですね。

NG行動2.飴やガムなどを絶食時間に摂取する

「健康診断の12時間前からは絶食」と言われても、ついつい飴やガムなどを口にしたくなる人もいるでしょう。固形物ではないため問題ないと思うかもしれませんが、糖分が含まれているので、血糖値に影響することがあります。また、腹部エコー検査がある場合は、胆のうがしぼんでしまい観察不良になることがあるので注意が必要です。

改善するためには…

飲み物は健康診断の2時間前まではOKとしているところが多いので、小腹がすいてしまった場合は、糖分が含まれない水やお茶などでまぎらわせるようにしましょう。

NG行動3.ビタミン剤などのサプリメントを摂取する

NG行動3.ビタミン剤などのサプリメントを摂取する

普段から健康のためにサプリメントを摂取している人も、健康診断の2日前からは控えておきましょう。特にビタミンCや総合ビタミン剤には注意が必要です。ビタミンCには強い還元作用があるため、尿検査でブドウ糖、潜血、ビリルビン、亜硝酸塩などが偽陰性になることがあります。偽陰性とは、本当は陽性なのに問題なしと出てしまうことです。

前日までのジュースや果物の飲食による影響は少ないですが、高用量でサプリメントを摂取している場合は、尿検査の2~3日前から中止しておきましょう。

改善するためには…

サプリメントであっても、種類や量、体質の個人差によって肝臓や腎臓へ負担がかかり、検査結果に異常が出てくることもあります。普段服用しているサプリメントがある場合は、健康診断のときに必ず伝えるようにしましょう。

NG行動4.健康診断で引っかからないように、直前だけ健康的な食生活にする

健康診断の結果は成績表のように、A判定、B判定……などとつけられるので、できれば全てをA判定にしたいと思う人もいるでしょう。特に血液検査などは、その一時点での数値を判定するため、直前の食生活が反映されて正常な数値が出てくるかもしれません。ただし、健康診断のそもそもの目的は、病気の早期発見と予防につなげることなので、直前だけ健康的な食生活に変えると健康診断の意味がなくなってしまいます。

改善するためには…

直前だけ健康的な食生活にできるのであれば、それを習慣化してしまいましょう。毎日の積み重ねがあなた自身の体を作ります。

NGポイント5.激しい運動をする

NGポイント5.激しい運動をする

日常的な運動習慣があることは、生活習慣病の予防にも有用です。ですが、健康診断の前日にハードなランニングや筋トレをしてしまうと、尿検査や肝機能などの検査数値に影響が出ることがあります。また、プロテイン飲料は食事と同様の扱いになるので、検査前12時間の摂取は控えるようにしましょう。

改善するためには…

せっかくの運動習慣を中断したくない人は、いつもよりも軽めの運動にしておくと安心です。

NGポイント6.夜更かしをする

健康診断を控えて、緊張してなかなか眠りにつけないという人もいるかもしれません。ですが、睡眠不足は交感神経を優位にするため、血圧に影響する可能性があります。

改善するためには…

ついつい夜更かししがちな人も、健康診断の前日はカフェインなどの覚醒作用のある飲料を控える、寝る2~3時間前はスマホやパソコンを使用しないなど、良い睡眠が得られるように対策するといいですね。

さいごに

さいごに

健康診断はテストではなく、病気の早期発見と予防を目的としたものです。直前だけ健康に気をつけたり、異常が出たときに落胆したりするのではなく、自分の健康づくりに活かすことを意識しましょう。要受診と判定された場合は、放置せず早めに医療機関を受診してください。健康診断を、自分の身体のことを気にかけたり、健康的な生活習慣につなげたりするためのきっかけにできるといいですね。
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筆者情報

ママ女医ちえこ

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは3人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は14万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ