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体調不良の原因は“寝相”かも…【医師監修】睡眠の質向上につながる「寝姿勢」のポイント

みなさんは寝ているときの姿勢について考えたことありますか? 無意識に自分が落ち着く姿勢をとっているかもしれませんが、実は睡眠時の姿勢は体に様々な影響を与えていることも。人は人生のおよそ3分の1を睡眠が占めているとも言われます。場合によっては健康にも影響を与えることもあるので、今回は女医の筆者が「睡眠時の姿勢」について解説いたします。

睡眠時の姿勢

体調不良の原因は“寝相”かも…【医師監修】ぐっすり快眠につながる「寝姿勢」のポイント

若くて健康な人にとっては、睡眠時の姿勢はそれほど重要ではかもしれません。ただし、年齢を重ねるとともに、寝姿勢がプラスにもマイナスにもなる可能性があります。

いびきが気になる人は…

いびきが気になる人におすすめなのは、横向きの寝姿勢です。胎児のような姿勢で、足を体の方に丸めて横向きに寝るのもいいでしょう。

これは特に人気のある寝姿勢なのですが、様々なメリットがあると考えられます。例えば、腰痛があるときに痛みを和らげることが期待できるだけではなく、妊娠中の女性にも負担がかからないと言われています。また、いびきの軽減にも役立ちますよ。

睡眠時無呼吸症候群について

睡眠時無呼吸症候群(※1)は、睡眠中に気道が詰まってしまうことで、呼吸の停止を引き起こし、いびきを伴うことがよくあります。睡眠時無呼吸症候群があると、良質な睡眠が妨げられるだけではなく、呼吸をしていないことによって、酸欠状態になってしまうリスクも。

朝なんだかスッキリしない、パートナーから息が止まっていると言われた、毎回いびきがひどい……といった場合は注意しましょう。この場合、横向きまたはうつ伏せに寝ると、気道が開いた状態が維持されるので、いびきが軽減されるだけでなく、軽度の無呼吸であれば改善されることも。

それでも改善しなかったり、いくら寝ても眠気が残ったり、睡眠中に息が止まるような方は、睡眠時無呼吸症候群の検査を受けるのがおすすめです。

にきびや肌のシワが気になる人は…

にきびや肌のシワが気になる人は…

お肌の美容のためにおすすめの寝姿勢は仰向け。仰向けで寝ると、顔が枕に押し付けられてしわになってしまうことを防いでくれるためです。また、顔が枕に接する頻度を下げることから、ニキビを減らせる可能性も。

ただし睡眠時無呼吸症候群の人は、仰向けによっていびきが悪化したり無呼吸のリスクが高まることがあるので注意してください。

胸焼けしやすい人や、寝る前につい食べてしまう方は…

通常の食事をすると、消化がすすんで胃が空になるまでに、数時間かかるとされています。胃が空になる前にごろ寝してしまったり、就寝してしまったりすると、消化がすすみにくくなり、胃の中のものが滞ってしまいます。すると、逆流して胸焼けの原因になったり、翌朝に胃もたれを起こしたりする原因になるのです。

仕事で夕食の時間が遅く、寝るまで2~3時間も待てない方や、寝る前についついお菓子などをつまんでしまう方は要注意! できるだけこうしたライフスタイルを見直すのがベストですが、なかなか難しいこともありますよね。

胃がしっかり空になる前に寝ないといけないときにおすすめなのが、左横向きで寝ること。左横向きで寝ると、胃の入り口が高い位置にくることで、胃酸の逆流を大幅に減らすと考えられています。また、胃から腸へ食べ物の流れが良くなるので、翌朝まで胃の中身が残留することがなくなり、胃もたれを防ぐのに役立つといわれています。

腰痛になりやすい人は…

腰痛になりやすい人は…

女性でも悩んでいる人が多い、腰痛。腰の負担を減らすための寝姿勢として、仰向けで寝る場合は腰まくらを使ったり、腰の部分にタオルをはさむことが有効な場合があります。

まとめ

多くの人が毎日6~8時間は睡眠をとっているでしょう。それだけ長い時間を過ごす睡眠の質を高めるために、寝姿勢や寝具だけでなく、寝入り前のライフスタイルも含めて見直してみましょう。睡眠が不足すると、疲れが残ったりするだけでなく、日中も集中できなかったり、肌荒れしやすくなったり、食べすぎやすくなったり……など様々な悪影響があります。質の高い睡眠を通して睡眠美人となれば、より充実した人生を過ごせるようになるでしょう。

【参考】※1 厚生労働省.e-ヘルスネット 睡眠時無呼吸症候群 / SAS
©Thanasin/shutterstock ©New Africa/Adobe Stock ©Pixel-Shot/Adobe Stock

著者情報

ちえこ-1-1-768x213-1-2

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは3人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は14万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ