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更年期症状の兆しかも?【女医監修】「寝汗が止まらないとき」の原因と対策

暑い夏、寝汗が気になるという人も多いのではないでしょうか。不快感で目覚めてしまったり、朝起きたら身体がベタベタして不快だったり……。今回は、寝汗が起こる原因と対策について女医の筆者が解説します。

寝汗の原因:体内的な要因があるケース

更年期症状の兆しかも?【女医監修】寝汗が止まらないときの原因と対策

寝汗は、体の内外のさまざまな要因から引き起こされます。まずは体内的な要因を詳しく見てみましょう。

体内的な要因1.ストレスや不安

ストレスや不安を感じたとき、交感神経が活性化します。交感神経の働きによって体温が上がると、寝汗の原因になることがあります。

体内的な要因2.病気

甲状腺の異常や睡眠時無呼吸症候群(※1)など、一部の病気が原因となって寝汗を引き起こす可能性があります。

体内的な要因3.更年期

女性の場合、閉経を迎える更年期になるとホルモンバランスが大きく変わります。これが、体温調節機能に影響を及ぼし、寝汗を引き起こすことがあります。

寝汗の原因:体外的な要因があるケース

寝汗の原因:体外的な要因

続いて、寝汗が起こる体外的な要因について解説します。

体外的な要因1.適切でない寝室の環境

室温調整がうまくいっていなかったり、不適切な寝具を使用していたりすると、寝汗をかきやすくなってしまうでしょう。

体外的な要因2.アルコールの摂取

アルコールは一時的に体温を上げる可能性があり、寝汗を引き起こすと考えられます。

自分でできる「寝汗の対策」とは?

寝汗の対策:体内と外部へのアプローチ

寝汗が続くと、寝苦しさから夜中に目が覚めたり、不快感で睡眠の質が悪化したりして、睡眠不足になってしまうことがあります。また、寝具に吸収された汗をそのまま放置すると、嫌なニオイの原因になるだけでなく、雑菌の繁殖によって肌トラブルを引き起こす可能性も。寝汗によるトラブルを防ぐために、自分でできる対策を知っておきましょう。

1.ストレスをコントロールする

慢性的なストレスを感じていると、自律神経が乱れてしまい、過剰な寝汗につながることがあります。ストレスをためすぎないように、リラクゼーションや適度な運動をするといいですね。暑い夏であってもシャワーで済まさず、お風呂にゆっくり浸かってリラックスする時間を作るのもおすすめです。

2.寝室の環境を整える

寝るときの環境を整えることはとても大切です。室温を26℃程度、湿度を50~60%程度に保つのが理想的とされており、エアコンなどで調整してみてください(※2)。

また、寝具は汗を吸収しやすく湿気を逃すような素材のものがおすすめです。特に寝汗がひどい場合は、速乾性に優れたものを選ぶといいでしょう。パジャマやシーツなど、寝具全体を見直してみてください。

3.病気の治療を検討する

自分でできる対策をしても寝汗が改善されないときは、病気が原因となっているかもしれません。特定の病気が原因の場合は、病気の治療をすることで改善する場合があります。特に更年期くらいの年齢を迎える女性は、更年期症状のひとつとして寝汗の症状が出ていることも考えられます。更年期症状のひとつの症状である場合には、寝汗以外にも、ホットフラッシュやめまい、不眠や疲れやすさなど、他の症状を併発していることが多いです。

また、睡眠時無呼吸症候群といって、睡眠中に息が止まってしまう病気もあります。寝汗の原因になるのはもちろん、内蔵に負担がかかって高血圧や心臓病の原因になることも。きちんと寝ても眠気がとれない、いびきがひどいといった症状に心当たりのある方は、一度病院で相談してみるといいですね。

おわりに

寝汗が止まらない場合、それは体の内外からのさまざまな要因が絡んでいる可能性があります。更年期、ストレスや不安、病気、寝室の環境、アルコールの摂取などいろいろな原因が考えられますが、それぞれに対する適切な対策を講じることで、快適な睡眠を取り戻すことは可能です。

ただし、自分で解決できない場合や症状が続く場合は、医療機関で相談してみるといいですね。
【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット 睡眠時無呼吸症候群/SAS
※2 厚生労働省.e-ヘルスネット 不眠症/SAS

©VioletaStoimenova/Filmstax/Tetra Images/gettyimages

筆者情報

ママ女医ちえこ

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは3人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は14万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ