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自己流で判断しないで!【婦人科医が教える】更年期が近づくサイン5つ

“更年期”という言葉はよく聞きますが、実際にどのようなことが起こるのかはイメージしにくい人も多いかもしれません今回は、更年期によくある5つの症状と対策法、そして病気を見逃さないための注意点を産婦人科専門医が解説します。

そもそも「更年期」って?

自己流で判断しないで!【婦人科医が教える】更年期が近づくサイン5つ

更年期とは一般的に、「閉経前の5年間」と「閉経後の5年間」を合わせた10年間を指します。閉経というのは、卵巣の働きがだんだん弱まり、月経が完全に止まった状態のこと。ただし、閉経する前は月経周期が乱れてくることが多いため、閉経だと思っていたらまた月経がきた…なんてことも。そのため、月経が来ない状態が12か月以上続いたときに、1年前を振り返って閉経とされています。

日本人の平均閉経年齢は約50歳といわれていますから、40代半ばから50代半ばの10年間くらいに更年期を迎える方が多いでしょう。とはいえ、閉経年齢には個人差が大きいので、40代はじめや50代後半で閉経を迎える方もいらっしゃいます。

更年期に関わるホルモンとは

女性の体の変化に大きく関わっているのが、エストロゲンという女性ホルモンです。エストロゲンは生殖機能だけではなく、骨やコレステロール、皮膚のハリ、髪の毛のツヤなど、体のさまざまな部位に働いています。このエストロゲンは、40代半ばくらいから急激に減ってくるため、心や体のさまざまな不調を来たすことが出てきます。

この時期に現れるさまざまな症状の中で、他に原因となる病気がないものを「更年期症状」といい、その中でも症状が重たいものを「更年期障害」といいます。もちろん個人差があるので、不調を感じない方もいれば、起き上がるのが辛くなるほどの方もいらっしゃいます。

そろそろ更年期かも? よくある5つのサイン

1.月経が乱れ始める

そろそろ更年期かも? よくある5つのサイン

女性ホルモンは大きく揺らぎながら低下していくとされています。そのため、月経周期が短くなったり長くなったり、月経量が多くなったり少なくなったり…といった変化が起こります。今まで規則的に来ていた月経が乱れ始めたら、更年期のサインである可能性を考えましょう。

2.ほてりやのぼせを感じる

ほてりやのぼせを感じる、異常なくらいに汗が出る、などの症状は更年期のサインといえます。これらは更年期症状の中でも比較的早期から起こる症状として知られています。

3.なかなか寝つけなくなる

3.なかなか寝つけなくなる

寝つきが悪い、眠りが浅い、早く目覚めてしまうなどの症状が出てきた場合は、更年期症状のサインの可能性があります。

4.疲れやすくなる

更年期になると、今までよりも疲れやすいと感じる方が増えてきます。更年期の疲労は、休息をとればすっきりと回復する一般的な疲労とは違い、四六時中疲れが抜けないように感じる方もいらっしゃいます。

5.性交痛や尿もれが出てくる

女性ホルモンが低下すると、腟内の細菌バランスが変化したり、分泌物が減ったりすることから、性交痛を感じやすくなります。また、骨盤底筋の緩みからくる尿もれも起こりやすくなると考えられます。

更年期症状の対策

更年期症状の対策

女性ホルモンの分泌が乱れ始める時期には、自律神経の乱れも起こりやすいです。女性ホルモンをコントロールしている脳の視床下部は、自律神経もコントロールしているため、影響されやすいといえます。更年期に女性ホルモンの分泌が乱れ始めると、その変化によって視床下部に乱れが生じ、自律神経への指令にも影響が及んでしまうのです。

この時期に自分でできる対策は、生活習慣を見直していくこと。食事、運動、睡眠をしっかり整えることが大切です。例えば食事面では、更年期になってくると代謝が下がりやすくなり、今までと同じ食生活をしていたら太りやすく痩せにくくなることも。女性ホルモンの作用が期待できる大豆食品を取り入れたり、ビタミンなどが不足しないように野菜を増やしたりするほか、サプリメントで整えていくのがおすすめです。

運動習慣がない方は、ぜひ1日30分程度のウォーキングから取り入れてみましょう。運動は身体機能を保つことができるだけではなく、メンタルの安定化にも効果があるとされます。長生きの秘訣でもあるので、ぜひ自分ができる運動から取り入れるようにしましょう。

睡眠については、質を上げるように意識してみてください。部屋はしっかり暗くして、心地よいと感じる寝具を使用。入浴は1時間前までに済ませ、寝る前はスマートフォンなどのブルーライトを避けるようにしましょう。

注意してほしいこと

更年期症状が起こり始める時期は、他の病気が増えてくる年代でもあるといえます。甲状腺疾患や貧血など、更年期症状とよく似た症状をともなうものもあります。体に不調を感じたときには「更年期だから仕方ない」と決めつけないで、一度クリニックを受診してみるのがおすすめです。

もし症状が重たくて日常生活に支障を来たしている場合には、自分自身でなんとかしようとするのではなく、気軽に婦人科で相談してみてくださいね。

©︎mits/polkadot/プラナ/Luce/PIXTA(ピクスタ)

ママ女医ちえこ

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは3人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の身体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は13万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ