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腸活って何? 腸活の効果や腸内細菌、腸に悪い習慣や腸活向きの食品を解説!

腸内環境を整える“腸活”。腸活のために食事に気をつけている人もいると思いますが、なんとなくの知識でやっていても効果を感じづらいことも。そこで管理栄養士の寺内麻美さんから、「腸活を始める前に知っておくべきこと」や「腸活のためにやってはいけないこと」「腸活に向いている食べ物」など、腸活の効果的な方法を解説してもらいます。

Contents
1.腸活を始める前に知っておくべきこと
2.腸活のメリット
3.腸活をおすすめしたい人
4.腸活のためにやってはいけないこと
5.腸活に向いている食べ物とは?
6.腸活の効果を感じないときは生活習慣を見直そう

腸活を始める前に知っておくべきこと

腸活とは?

ヨーグルトを持っている女性

腸は私たちの体のなかで、栄養素の吸収に関わる大切な臓器です。腸活とは、腸内環境を整えて健康的な状態を保つことを言います。

腸内環境に影響を与えるのは腸内細菌叢や腸内フローラとも呼ばれる“腸内細菌”で、およそ1,000種類・100兆個も生息していると言われています。

腸活に欠かせない「腸内細菌のはたらき」とは?

腸内細菌は、主に善玉菌悪玉菌、どちらでもない中間の菌である日和見菌の3種類。健康のためには、腸内細菌の働きを知ることが大切です。

悪玉菌は、たんぱく質や脂質に偏った食事や生活習慣の乱れ、ストレス、便秘などで増えやすく、肥満や動脈硬化症のような様々な疾患に関係する可能性があります。一方、善玉菌は増やすことで、腸の運動を活発にし、感染の予防や腐敗産物を抑えることにつながります。

そのため、腸内環境を整えるために、腸内を善玉菌が喜ぶような状態へと目指していくことが大切です(※1)。

腸活のメリット

善玉菌を増やして腸内環境を整えることは、便秘予防も期待できます。さらに、体に余分なものを溜め込みにくくなるので、肥満予防にも!

健康だけでなく、ダイエットのためにも腸内細菌のバランスを整えていきたいですね(※1)。
文・寺内麻美
2022年2月4日配信

腸活をおすすめしたい人は?

特に、次の3つに当てはまる人は腸活を取り入れてみるのがおすすめです。

1.便秘で苦しんでいる人

腸活で重要な栄養素の一つが食物繊維で、整腸作用の働きが注目されています(※2)。特に水に溶けにくい不溶性食物繊維は、水分を吸収して便のかさを増したり、有害物質を吸着して体の外に出したりするため、腸をきれいに保つサポートをしてくれます。

便秘になると腸内環境は悪化しやすいので、便秘対策として早めに腸活を取り入れてみましょう。

2.ダイエット中の人

腹の贅肉をつまむ女性

先ほどお伝えした食物繊維ですが、実は、整腸作用だけでなく、血糖値上昇を抑える、コレステロール値を下げるなど、体にうれしい生理作用があることがわかっています。糖や脂質を吸着して体の外に出してくれるので、ダイエットのためにも積極的にとりたい栄養素です(※2)。

食物繊維は野菜・果物・大豆製品・いも類・きのこ・海藻などに多く含まれています。

3.風邪や花粉症に悩まされたくない人

腸内細菌のなかにある善玉菌は、私たちの健康にとって多くの有用な働きをしてくれることもわかっています。

悪玉菌の増殖を抑え、食中毒菌や病原菌による感染の予防や、免疫機能を高めることも期待できるのです。よって、風邪や花粉症が気になる季節は、特に腸内環境を整えることを意識できると良いでしょう(※1)。

文・寺内麻美
2022年3月6日配信

腸活のためにやってはいけないこと

便秘に悩む女性

腸活をするにあたって、食事には気をつけていても意外と見落としがちなのが生活習慣。管理栄養士の筆者が腸内環境にとって悪い影響を与えると考えている生活習慣は次の3つです。

暴飲暴食をする

まずは暴飲暴食。私たちの腸内環境を整えるのは、腸内細菌です。腸内細菌のなかでも悪玉菌が増え過ぎると肥満の原因になるなど、体にとってはよくない影響を及ぼす可能性もあることがわかっています。

悪玉菌は、たんぱく質や脂質が中心の食事によっても増えやすいと言われているため、揚げ物や脂身の多い肉など、脂っこい食事ばかり摂っている人はなるべく控えると良いでしょう(※1)。

運動をしない

運動不足は、便秘の一因となる恐れがあります(※3)。特に、在宅時間が長くあまり歩いていない人は要注意。

腸の働きがあまりよくないと悩んでいる人は、適度な運動を取り入れてみてください。まずは散歩から始めて、歩くことを習慣にするのも良いでしょう。

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ストレスを溜める

私たちの体では、活動的なときに働く交感神経と、体を休めるために働く副交感神経の2つの自律神経がバランスを保つことで体の調子をコントロールしています。

しかし、不規則な生活で興奮状態が続いたりストレスが積み重なっていたりすると、自律神経のバランスが崩れて下痢や便秘の症状が引き起こされることも(※4)。

バランスを適切に保てるように、ストレスとうまくつきあう方法を見つけ、規則正しい生活習慣を心がけていきましょう。

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文・寺内麻美
2022年3月9日配信

腸活に向いている食べ物とは?

善玉菌を増やす食べ物

腸内の善玉菌を増やす方法は、2つあります。1つは、生きた善玉菌を直接摂ること。もう1つは、腸内にいる善玉菌を増やしてくれる食品を摂取することです。

1つ目については、乳酸菌やビフィズス菌のような善玉菌を含む食べ物を直接摂ることで、腸内に住む善玉菌の割合を増やすことができます。しかし、善玉菌は腸内に長く住みつくことはないと言われているため、継続的に摂取する習慣を作る必要があります(※1)。

2つ目は、善玉菌を増やす成分だと言われている食物繊維やオリゴ糖を摂る方法。これらは消化・吸収されずに大腸まで届き、善玉菌のエサになるとされています。善玉菌を補給できる食べ物と一緒に食べるのが理想的でしょう(※1)。

善玉菌が直接摂れる食品4選

ここからは、善玉菌を増やすのにおすすめの食べ物をピックアップ。まずは善玉菌を直接補える食べ物をご紹介します(※1)。

ヨーグルト

ヨーグルト

ヨーグルトは一般的に乳酸菌を含んでいて、なかにはビフィズス菌を含んでいるタイプもあります。糖分を摂りすぎないようにプレーンタイプを選ぶことがおすすめです。

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乳酸菌飲料

乳酸菌が摂れる乳酸菌飲料も良いでしょう。しかし、ヨーグルトと同じく糖分が控えめのものを選びましょう。

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納豆

日本で昔から食べられてきた発酵食品。良質なたんぱく質も補えるため、毎日1パック食べるのがおすすめです。

漬物

漬物

納豆と同じように日本における伝統的な発酵食品。塩分の摂りすぎを防ぐためにも、ぬか漬けや減塩タイプを選ぶと良いでしょう。

食物繊維を含む食品9選

次に、食物繊維を多く含んでいる食品をご紹介します(※5)。

さつまいも

いも類は食物繊維の補給にぴったり。しかし、糖質やカロリーも高めなので、食べ過ぎないように注意は必要です。

そば

蕎麦

麺類を選ぶなら、食物繊維も摂れるそばがおすすめです。汁をあまり飲まないようにして、塩分の摂りすぎには気をつけましょう。

玄米

主食なら白米よりも玄米を選ぶと、食物繊維やビタミン類も補給できます。玄米が苦手であれば雑穀米を選んでみてください。

切り干し大根

切り干し大根

切り干し大根は、副菜として作り置きするのにうってつけ。煮つけにしたりサラダにしたりして食べてみて。

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かぼちゃ

かぼちゃは食物繊維のほかに抗酸化作用のあるビタミンAも多く含まれています。いも類と同様に糖質やカロリーは高めなので、食べすぎは注意。

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モロヘイヤ

モロヘイヤには抗酸化作用のあるビタミンAやビタミンC、カルシウムなども多く含まれている栄養価の高い食材です。

ブロッコリー

ブロッコリー

ブロッコリーは冷凍食品でもよく売られているため、一人暮らしでも手に取りやすい野菜の1つ。ビタミンCも多く含まれています。

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おから

おからは大豆から豆乳を絞った後に残るもので、食物繊維が豊富に含まれています。煮物にしたり、パウダー状のものをお菓子に使ったりといろんなレシピに応用できます。

しいたけ

干ししいたけには骨の健康に必要なビタミンDが多く含まれています。煮たり焼いたりして、お酒のおつまみにしても良いですね。

オリゴ糖を含む食品7つ

最後に、オリゴ糖を含む食品をご紹介します(※1)。

大豆製品

大豆製品である納豆や豆腐などは、日常的に摂ることをおすすめします。

たまねぎ

家庭料理にはもちろん、ドレッシングやスープなどにも使いやすい食材です。

ゴボウ

きんぴらごぼう

ゴボウには食物繊維も多く含まれているため、腸活にはぴったりでしょう。きんぴらごぼうや煮物など、作り置きメニューとして常備しておけると良いかもしれませんね。

ねぎ

ねぎにはビタミンCも含まれていて風邪が気になる季節は特におすすめです。

にんにく

食物繊維のほかにアリシンという成分がエネルギー代謝を助けるため、疲れやすい人は定期的に食べると良いでしょう。野菜と炒めたり、もちろん単品でホイル焼きなども良いかもしれませんね。

アスパラガス

抗酸化物質も含んでいるアスパラガスは5~6月に旬を迎えます。旬の時期は特に積極的に摂ることをおすすめします。

バナナ

輪切りのバナナ

乳酸菌を含むヨーグルトと一緒にとると腸活効果がより期待できます。毎朝の習慣として食べることをおすすめします。

文・寺内麻美
2022年4月28日配信

腸活の効果を感じないときは生活習慣を見直そう

今回紹介したような食品を積極的に摂ることで、腸活のためにプラスに働いてくれるはず。腸内環境を整えることは、健康だけでなくダイエットにも効果的!

しかし、食事だけではカバーできないこともあります。腸活のためには、良質な睡眠や適度な運動も必要不可欠なので、自身の生活習慣も見直してみましょう。

【監修】管理栄養士 寺内麻美

管理栄養士 寺内麻美

管理栄養士を取得後、病院での給食や栄養管理、クリニックで生活習慣病予防のための食事指導に携わる。現在はダイエットサポートやレシピ制作、根拠のあるデータをもとに食や健康コラムの執筆などを行なっている。

【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット 腸内細菌と健康
※2 厚生労働省.e-ヘルスネット 食物繊維
※3 厚生労働省.e-ヘルスネット 便秘と食習慣
※4 厚生労働省.e-ヘルスネット 自律神経失調症
※5 厚生労働省.e-食物繊維の必要性と健康

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