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乳酸菌とビフィズス菌、違いはある? 管理栄養士直伝「体にもっと良いヨーグルトの選び方」

毎日、健康や腸活のためにヨーグルトを食べている人も多いのでは? 最近はいろいろな菌が含まれているヨーグルトもあり、どれを選ぶべきか迷いがち。素朴な疑問を管理栄養士にうかがいました。

今さら聞けない! ヨーグルトを食べることのメリットって?

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ヨーグルトを食べるのをなんとなく「健康にいいから」と習慣化している人も多いのでは。

でも、もっとヨーグルトのことを知れば、ヨーグルトを選んだり、食べたりするときにより楽しく有意義になるかもしれません。

今回は、ヨーグルトに詳しい管理栄養士の浅野まみこさんに、ヨーグルトや腸活にまつわるよくある疑問に回答していただきました。

まずは今さら聞けない疑問から。ヨーグルトには、どんな効果が期待できるのでしょうか?

浅野さん ヨーグルトを食べることで腸内環境改善に効果が期待できます。代謝向上、生活習慣病予防、便通の改善などさまざまなメリットがあります。またヨーグルトは乳製品の一つですから、たんぱく質や不足しがちなカルシウムを摂ることができます。

ーーヨーグルトは嬉しい効果がいっぱいなんですね。やはり日々、続けたくなります。

ビフィズス菌が入っているヨーグルトってどうなの?

続いては、ヨーグルトの選び方についての質問。ヨーグルトには乳酸菌のほか、プラスしてビフィズス菌も入っているものがありますが、乳酸菌だけのものとどう違うのでしょうか?

浅野さん ヨーグルトは乳酸菌が発酵することによって作られるため、すべてのヨーグルトに乳酸菌が入っています。メーカーによっては、発酵の過程でビフィズス菌を加えたり、後から加えたりすることがあります。

ビフィズス菌も乳酸菌の一種と間違われがちですが、乳酸菌とは菌の種類が異なるため働きも大きく異なります。乳酸菌は主に小腸で働きますが、ビフィズス菌は主に大腸で働きます。ビフィズス菌は腸内環境を整えるほか、大腸では腸内細菌によって脂肪酸の一種である「短鎖脂肪酸」を生み出します。

短鎖脂肪酸にはいくつか種類があり、代表的なものに酪酸や酢酸、プロビオン酸などがあります。ビフィズス菌は、主に酢酸を作る働きがあります。

乳酸菌+ビフィズス菌入りヨーグルトのほうが“健康コスパ”が高いワケ

浅野さん 短鎖脂肪酸は、腸内を弱酸性に保ち、有用な菌を増やして腸内環境を高める、ぜん動運動を促し便通改善を行う、腸管のバリア機能を強化する、免疫の働きを整える、血糖値の安定に関与する、生活習慣病予防にも効果が期待できるなどさまざまな働きをします。 

短鎖脂肪酸は一部の食品にも含まれますが、口から摂取した脂肪酸は、胃で消化され吸収されてしまうため、大腸内で作ることが重要です。

善玉菌の一つであるビフィズス菌は短鎖脂肪酸を産生するため、乳酸菌だけのヨーグルトよりもビフィズス菌もプラスされているヨーグルトを選ぶほうが、いわば、「健康コスパ」が高いと言えます。

健康コスパとは、健康を軸にしてコストパフォーマンスを見る指標のこと。食品を摂取する際にカラダにとってできるだけ多くの価値やメリットが得られるものを意識すると、より健康効果が高まります。

乳酸菌のみのヨーグルトと乳酸菌+ビフィズス菌入りヨーグルトの例

ヨーグルト

浅野さん 乳酸菌のみのヨーグルトには、「明治ブルガリアヨーグルト LB81プレーン」(明治)、「カスピ海ヨーグルト プレーン」(フジッコ)、「チチヤス ヨーグルト 低糖」(チチヤス)、「ダノンオイコス」(ダノン)などがあります。

乳酸菌とビフィズス菌入りのヨーグルトには、「ビヒダス プレーンヨーグルト」(森永乳業)、「BifiX」(江崎グリコ)、「小岩井 生乳100%ヨーグルト」(小岩井乳業)、「ナチュレ 恵 megumi」(雪印メグミルク)などがあります。

乳酸菌+ビフィズス菌入りヨーグルトを選ぶ際には、パッケージの記載をよく見て確認してください。またビフィズス菌は酸素や酸に弱い菌です。開封後は空気(酸素)に触れやすくなることから、早めに食べるのをおすすめします。

腸活におすすめのヨーグルトを食べる頻度とタイミングは?

ーー腸活のためにヨーグルトを食べるなら、どのくらいの頻度で、いつ食べればいいのでしょうか?

浅野さん 少量ずつでも毎日、食べるのがおすすめです。菌は便と一緒に排泄されますし、日々の食事や生活によっても腸内環境は変わっていくためです。

食べるタイミングについては、腸活を目的とした場合は特にいつでも問題ありません。ただしビフィズス菌は酸に弱いため、空腹時に食べるよりも、胃酸の影響が少ない食事と一緒のタイミング、もしくは食後などに食べるのがよいかもしれません。

乳酸菌入り食品やサプリメントはヨーグルトとどう違うの?

ーーヨーグルト以外の乳酸菌入りの加工食品やサプリメントは、ヨーグルトとどう違うのですか?

浅野さん 腸内環境を整える目的に関して言えば、菌の種類による働きの違いはあるものの、ヨーグルトでも、乳酸菌入りの食品やサプリメントでも同じと考えてよいかと思います。

ヨーグルトの乳酸菌は生菌で作られるのに対し、乳酸菌入りの食品やサプリメントの菌の配合状態はさまざまです。また、菌数などを特徴としているものもあります。また、乳酸菌といっても、たくさんの種類があり、各社で使われている乳酸菌の種類が異なります。

乳酸菌の状態は生菌、死菌、休眠状態にした菌、カプセルで包んだ菌などさまざま。死菌は腸内細菌のエサとして使われるため腸内環境を整えますし、休眠状態の菌やカプセルで包んだ菌は胃酸や体温刺激で腸内活動を始めて働きます。

どんな特性の乳酸菌が配合されているか、また配合状態、さらにその食品に含まれるその他の栄養成分などを確認し、より自分に合ったものを選びましょう。

ーーヨーグルトに関する素朴な疑問、解消されましたか? 今後はぜひ、ヨーグルトの菌の種類まで注目して選び、毎日の腸活を通じて健康を目指しましょう。

Information

教えてくれた人… 浅野 まみこ(あさの・まみこ)さん

浅野まみこさん

管理栄養士。株式会社エビータ代表取締役。総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて糖尿病の行動変容理論をベースに1万8千人以上の栄養相談を実施。現在は、健康経営サポート、レシピ開発、食のコンサルティングをはじめ講演、イベントなど多方面で活躍中。

(C)nensuria/Getty Images