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マウスウォッシュしないと太りやすい? 腸の専門医が明かす「腸を整える食事&習慣」

日々、腸活を行っている、気にかけている人も多いでしょう。実は腸活はダイエットにも良い影響があるようなんです。また、腸活は口腔ケアとも密接な関係があるとのこと! くわしく医師が解説します。

腸活はダイエットにも良い影響アリ

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日ごろから腸活を「便通がよくなりそうだから」「お肌がキレイになりそうだから」と思いながら、実践している人も多いかもしれません。実はダイエットにも良い影響があると「しらはた胃腸肛門クリニック横浜院長」の白畑敦さんは言います。

白畑さん カラダづくりと腸内環境は密接に関係していることがわかってきています。腸内環境が整い腸内細菌のバランスが整うことによって、消化が良くなったり代謝が上がったり免疫力アップにつながったりします。腸内環境が整うことで脂肪の分解や代謝がスムーズにいくようになるため、太りにくいカラダになります。

ーー腸活はダイエットには良い影響があるようですね。腸内環境を整えるのにおすすめの食事法はありますか?

白畑さん 善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌などが豊富に含まれる発酵食品、例えばヨーグルトや納豆や、善玉菌のエサとなる食物繊維を積極的に摂ると、腸内細菌のバランスが整ってくるため、カラダづくりにも良い影響が見込めます。

腸内細菌には大きく善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つがありますが、そのバランスが重要です。科学的根拠に基づく目安量はなく、最適なバランスも人それぞれ違いますので、自分に合ったベストを見つけて保っていくことが大切です。

口腔内ケアは腸活にもつながるという意外な事実

近年は、口腔内ケアが腸内環境につながるのではないかという意外な事実がわかってきています。

米国発のマウスウォッシュなどを手がけるメーカーKenvueが発表した体調管理と口内環境に関する調査によると、2019年に行われた研究では、唾液と便から採取した菌の約3割が、唾液と便の両方に存在した(※1)とのこと。つまり口の中の悪玉菌が飲み込まれて腸まで届いて定着していることが考えられるといいます。

悪玉菌とは、主に虫歯の原因となるミュータンス菌や歯周病の原因となるジンジバリス菌(P.g.菌)などが挙げられます。

白畑さん 悪玉菌自体が直接、体内で何か悪さをするわけではありませんが、腸内に到達することで腸内細菌のバランスを壊してしまう可能性が指摘されています。

ーー腸活を行っている人にとって、知らぬ間に腸内環境を乱してしまっている可能性があるというのは盲点ですね。

白畑さん 悪玉菌の体内への侵入をできるだけ口の段階でストップし、コントロールすることは腸内環境を整える意味でも大切といえるのではないでしょうか。

悪玉菌ケアには「歯磨き+マウスウォッシュ」を

では、悪玉菌が体内に侵入することをできるだけ口の段階でストップするにはどうすればいいのでしょうか。

Kenvueの調査によると、悪玉菌は口の中の「バイオフィルム」の中に潜んでいるとのこと。バイオフィルムとは、歯垢やプラークとも呼び、歯の表面や舌、咽頭部を含む口腔内の粘膜面に付着した菌の集合体のことで、なかには歯周病菌や虫歯菌などの悪玉菌がひしめいています。

菌が出す粘着性のある物質がヌルヌルの膜を形成して、歯磨きだけでは簡単には洗い流すことができないのだそう。

白畑さん 日常的な歯磨きやフロスでのケアとあわせて、日々のルーティーンとして取り入れやすいマウスウォッシュなどを活用することは、口の中の悪玉菌退治につながります。

歯磨きやフロスでケアができるのは口全体の約25%(※2)ともいわれているため、マウスウォッシュを活用する利点は大きいと思います。

ーー腸活はダイエットにつながる事実と共に、口腔内ケアが腸活につながるという事実は知識として覚えておきたいですね。

腸内に悪玉菌が届かないように、毎日の歯磨きとマウスウォッシュを習慣化してみるのも良さそうです。

Information

<教えてくれた人>

白畑 敦(しらはた・あつし)さん
しらはた胃腸肛門クリニック横浜 院長。2002年、昭和大学医学部を卒業。山王台病院、昭和大学藤が丘病院、関東労災病院、横浜旭中央総合病院を経て、2017年にしらはた胃腸肛門クリニック横浜を開業。

<筆者情報>

椎原茜
ライター。記事を通して、読者の方々に役立つ情報を知ってもらい、ハッピーかつ快適な生活を送っていただきたいという思いで執筆中。

<出典>

※1 Elife. 2019 Feb 12; 8: e42693.
https://elifesciences.org/articles/42693
※2 J Dent Res. 1991 Dec; 70(12): 1528-30.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1774384/

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