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出産直後の月経はどう過ごすべき?【女医が解説】妊娠と出産に関するQ&A

近年、初産年齢が上昇しているといわれている日本。いずれ子どもを産みたいと考えている方や、妊活をしている方、妊娠・出産に対して不安がある方もいるでしょう。今回は、妊娠・出産について寄せられた質問に、産婦人科専門医の筆者がお答えしていきます。

Q.今の医療で何歳まで妊娠できますか?

【女医が解説】妊娠・出産に関するQ&A

Q.今の医療で何歳まで妊娠できますか? 彼とも相談しているのですが、仕事でまだ子どもを育てられる余裕がなく、でもいつかはほしいと思っています

仕事と妊娠のどちらを優先するか、という問題は悩みのひとつでしょう。閉経しない限りは妊娠できると思っている方もいらっしゃいますが、残念ながらそうではありません。

妊娠・出産の適齢期は20代から30代前半とされています。現在の最高齢でいうと、インドで体外受精により妊娠し、帝王切開術で双子を出産した70代の女性がいます。また、自然妊娠の場合は50代後半で妊娠した女性が最高齢とされています。

しかしながら、日本産婦人科学会が発表した2020年のデータによると、40歳以上の女性が不妊治療で出産まで至る割合は、治療を受けたすべての女性に対して10%にも満たないことが報告されています。流産率が高まったり、染色体異常のリスクが増えることを考えても、高齢になると簡単に妊娠・出産できるというわけではないといえるでしょう。

Q.出産後の月経期間をどう過ごせばいいですか?

出産後に生理が始まる

Q.出産から1か月後に月経が始まってしまいました。授乳中なのに、痛みも強いし痛み止めも飲めないしでつらいです! 月経期間をどう過ごせばいいですか?

産後に月経が再開する時期は、かなり個人差があります。断乳後に月経が再開する方が多いですが、ご質問者様のようにかなり早期に再開される方もいらっしゃいます。

産後1か月で授乳中の場合は、低用量ピルは使用しない方がいいでしょう。また、子宮内黄体ホルモン放出システム「ミレーナ」は、出産後6週間以上経過している場合に使用できることになっています。ただし、乳汁中へ成分の移行が報告されているため、授乳回数が多い時期は第一選択にはならないでしょう。

それ以外の方法として、「ロキソニン」や「カロナール」などの鎮痛剤は、国立成育医療研究センターの情報でも授乳中に使用しても安全であるとされています(※1)。また、授乳中でも安全に使用できる漢方薬があるので、婦人科で相談してみるのがおすすめです。

Q.堕胎すると妊娠しにくくなりますか?

人工妊娠中絶手術を受けることで、将来妊娠しにくくなるのではと心配される方は多いです。しかし、中絶手術を受けた後の妊娠には影響しないことがほとんどであると考えられています。

中絶手術のときに子宮穿孔(せんこう)や子宮内感染などの合併症が起こったり、術後にアッシャーマン症候群と呼ばれる癒着が起こってしまった場合は、今後の妊娠に影響するリスクがあります。ただし、合併症が起こる率がすごく高いわけではないため、過度な心配は不要でしょう。

Q.子宮外妊娠で右の卵管がないのですが、妊娠しにくいですか?

右の卵管を摘出した場合でも、左の卵管が正常に残っている場合は問題とならないことがほとんどです。しかしながら、子宮外妊娠の原因として、クラミジアや淋菌による骨盤内感染症による癒着であったり、子宮内膜症による癒着がある場合は妊娠しにくい可能性があります。

元々子宮外妊娠を起こす原因として、骨盤内や卵管での癒着が要因となっている場合があります。絶対に妊娠できないというわけではないですが、妊娠しづらいと感じる場合は産婦人科で相談するのがおすすめです。

Q.不妊治療をしているのですが、サプリ選びが難しいです

サプリ選びが難しい

Q.不妊治療をしているのですが、サプリ選びが難しいです。ビタミンDと葉酸を摂れといわれているのですが、どのサプリにしたらいいかわからず悩んでいます

ビタミンD不足と不妊症との関連性についてはよく知られているところなので、補充するのがおすすめです。葉酸は神経管閉鎖障害や産科合併症のリスクを下げられる可能性があると考えられています。

また、30代から40代女性の多くが、ビタミンやミネラルの摂取量が十分でないともいわれています。どのようなサプリメントを摂ればいいのか迷う方は、手始めにビタミンやミネラルを総合的に補充できるものがおすすめです。

プラスアルファを求める方は、コエンザイムQ10やレスベラトロールなどの抗酸化作用をもつ成分を摂取するのもいいでしょう。妊娠しやすい体作りは、将来の健康のためにもプラスになります。サプリメントだけではなく、これを機に食生活も見直してみるのもいいですね。

【参考】
※1 国立成育医療研究センター.授乳中に安全に使用できると考えられる薬

©︎Milatas/maroke/gettyimages

ママ女医ちえこ (産婦人科医)

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは3人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の身体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は13万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
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