コンドームの使用期限守ってる?【産婦人科医監修】女性も知っておくべき「避妊具の基本知識」
コンドームは、日本で一番多く用いられている避妊方法。性感染症を予防するためにも大切なアイテムです。一般的に使用されるのは、男性が着用するものですが、正しく使用することができれば約98%の避妊効果が得られると言われています。ただし、正しい使用方法を知らずに使用していると、避妊効果は約85%程度まで下がってしまうことも。避妊に失敗したときに、妊娠してしまうのは女性側です。今回は望まない妊娠を避けるために、女性も知っておくべきコンドームの基礎知識について、産婦人科専門医の筆者が解説します。
コンドームの正しい取り扱い
コンドームの使用期限とは?
コンドームはゴム製品なので、取り扱う際に破れてしまったり、時間とともに劣化してしまうことがあります。JISマークのついた品質の保証されているものを使用し、使用期限を守ることが大切です。通常は製造から5年程度となっていることが多く、外箱に期限が記載されているので、しっかり確認するようにしましょう。
コンドームが劣化して破れる!? 正しい取り扱い方法
意外と知られていないのが、軟膏やハンドクリームなどがコンドームに付着すると、劣化して破れることがあるということです。もし性行為の際に潤いが必要な場合は、安全に使用できる潤滑剤を使うようにしましょう。
また、コンドームを保管する際には、直射日光が当たらず、涼しくて湿気のない場所に保管するようにしましょう。財布などに入れて携帯すると、包装が破れたり穴が開く恐れがあるので、ハードケースなどに入れて携帯するのが安全です。
素材やアレルギーに注意
コンドームの素材にはラテックスやポリウレタンなど、いくつか種類があります。潤滑剤としてのゼリーが付着していることもあるのですが、これらにアレルギーがあると、かぶれやかゆみの原因になることもあります。もしコンドームを使用して異常を感じた場合は、ゴムの素材やゼリーを他の種類のものに換えましょう。
ラテックスの手袋を使用する機会が多い方は、ラテックスアレルギーを発症することがあります。また、バナナやキウイ、栗などのアレルギーがある方はラテックスアレルギーのリスクが高いため注意が必要です。
コンドームの正しい使い方
装着のしかた
続いて、コンドームの使用法についてです。正しい装着方法でないと、避妊率が下がってしまうことを知っていますか? 男性側がリードして付けることが多いと思いますが、望まない妊娠を避けるためにも、女性側もコンドームの付け方について知っておくのがいいですね。
まずは、コンドームには裏表があります。そのため、表面が外側になるようにして装着する必要があります。表裏を誤って装着してしまった場合、すぐに気付いて装着し直したとしても、表面の部分にはすでに微量の精液が付着している可能性があります。それが原因で妊娠する可能性もゼロではありませんので、注意が必要ですね。
通常は、コンドームの先に精液だまりと呼ばれる部分がついているので、そこを軽くおさえて空気を抜いた状態で装着する必要があります。空気が入ったままで装着すると使用中に破れてしまう恐れがあるため、注意が必要です。
また、コンドームは男性器が勃起した状態で装着する必要があるのですが、しっかりと根本まで下げて装着するのが大切です。きちんと根本まで下げておかないと、使用中にまくれ上がって、外れたり破れたりする可能性があります。
使用後の注意
射精したあとは、すみやかにコンドームの根本を抑えながら抜く必要があります。これは男性器が勃起状態から元に戻っていく際にコンドームとの間に隙間ができてしまって、精液が漏れてしまったり、コンドームから抜けてしまったりするリスクが高くなるからです。
おわりに
コンドームは男性主体の避妊方法ですが、他にも女性主体の避妊方法として、低用量ピルや子宮内避妊具という選択肢もあることを知っておきましょう。ただしこれらは、避妊効果は高いものの、性感染症の予防効果は残念ながらありません。そのため、性感染症予防のためにはコンドームを併用しましょう。
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筆者情報
ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは3人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は15万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ