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実は一緒に使えません! 掃除のプロ監修「洗剤のNG使い方」

ジメジメした梅雨がやってくると、カビやヌメリが気になりますよね。よく効く洗剤を使って、簡単にお掃除したいと考える方も多いはず。しかし、洗剤のパッケージを見ると「まぜるな危険」と書いてあり、どうやって使ったらいいのか迷うことはありませんか? 今回は、整理収納アドバイザーでありクリンネストの資格をもつ筆者が、カビ取りによく使う塩素系洗剤のNGな使い方について詳しく解説します。

洗剤の種類は大きく分けて3種類

家庭で使用する洗剤は、pH値によって「中性・酸性・アルカリ性」の3種類に分けられるとされます。

■中性
台所洗剤、フローリング用洗剤など

■酸性
クエン酸水、酢、水あか用洗剤、トイレ用洗剤など

■アルカリ性
・弱アルカリ性:石鹸、セスキ炭酸ソーダ、重曹水、酸素系漂白剤など
・強アルカリ性:塩素系漂白剤、アルカリ電解水など

洗剤選びのコツは、汚れと反対の性質の洗剤を選ぶこと! キッチンの油汚れ、リビングの手あかなど、家の中の汚れの多くは酸性です。毎日の掃除には、主に中性洗剤やアルコール、弱アルカリ性の洗剤を使えば、ほとんど簡単に落とせます。

しかし、梅雨時期に悩みやすいお風呂場の黒カビ、キッチンのヌメヌメなどの頑固な汚れは、普段の掃除ではなかなか落としにくいですよね。落とすのが難しい汚れには、塩素系漂白剤などが有効です。筆者宅でも、塩素系漂白剤の「キッチン泡ハイター」をよく使用しています。

ただし、塩素系の洗剤を使用する際には、とても重要な注意点があります! 使用時の注意点を詳しく見ていきましょう。

こんな使い方はNG

塩素系漂白剤

キッチンでよく使用する「キッチン泡ハイター」の容器には、「混ぜるな危険」と赤い文字で表記されています。どうして混ぜてはいけないのでしょうか? その理由は、塩素系洗剤と酸性洗剤が混ざると、有害な塩素ガスが発生してしまうからです(※1)。

家庭でよく使う塩素系洗剤と酸性洗剤には、以下などが挙げられます。

■塩素系洗剤
お風呂のカビ取り剤、キッチンの漂白剤、衣類用の漂白剤、排水口クリーナ―、トイレ用洗剤、洗濯槽クリーナーなど

■酸性洗剤
トイレ用洗剤、お風呂や洗面所などの水あか用洗剤、手作りのクエン酸水など

普段よく使う洗剤でも、誤って混ぜて使用すると塩素ガスが発生してしまい、次のような危険な症状が出る可能性があるので注意が必要です。

・目や皮膚に刺激があり、痛みを感じる
・鼻や喉に刺激臭を感じる
・気分が悪くなる、めまいや吐き気などの症状が出る

なお、トイレ用洗剤などは商品によって酸性もアルカリ性もあるため、事前に必ず確認し、同じトイレ用だとしても混ぜて使わないようにしましょう。

間違えやすい! 洗剤のNG組み合わせ

洗剤の組み合わせについて、よくあるNGパターンを3つご紹介します。

(1)お風呂の水あか用洗剤×カビ取り用洗剤

お風呂場の鏡の水あか取りに酸性洗剤を使いながら、同時に塩素系漂白剤を使って床掃除をするのはとても危険です。

違う洗剤を同じ場所で使用する場合は、先に使った洗剤をしっかりと水で洗い流してから、次の洗剤を使用しましょう。または、それぞれ別の日に洗剤を使うことをおすすめします。

(2)クエン酸水×排水口クリーナー

クエン酸水×排水口クリーナー

キッチンのシンク掃除にクエン酸水を使用しながら、同時に塩素系洗剤の排水口クリーナーを使うと、排水口にクエン酸水が流れ込み、塩素ガスが発生する恐れがあります。

また、三角コーナーにレモンの皮や果肉が入ったままの状態で、塩素系漂白剤を使用するのもNG。洗剤だけでなく、酢やレモン、梅干しなどのクエン酸が含まれる食品にも注意してくださいね。

(3)塩素系漂白剤×アルコール

塩素系漂白剤×アルコール

酸性洗剤の他、塩素系漂白剤とアルコールを混ぜて使用するのも避けましょう。「キッチンハイター」を販売する『花王』のサイトには、以下のように記載されています(※3)。

●酸性タイプの製品や塩素系の排水口ヌメリ取り剤・生ごみ・食酢・アルコールと混ざらないようにする。有害なガスが発生して危険。

塩素系×酸性洗剤だけでなく、塩素系×アルコールの組み合わせも、有害なガスが発生する恐れがあります。同時に使用しないように徹底しましょう。

間違えて混ぜて使ってしまったら?

・立ち上がって、その場からすぐに離れる
・換気扇をまわして窓を開け、有毒なガスを外に追い出す
・刺激臭が消えたら、すぐに水でしっかり洗い流す

これらの対応を行い、気分がすぐれなくなった場合は、使用した商品を持参して病院に行きましょう。

ゴム手袋、メガネ、マスク

今回挙げた洗剤の注意例はあくまでも一部です。商品によって異なる場合があるので、使用前にラベルをよく読み、注意事項を必ず確認しておきましょう。洗剤のタイプや注意事項を確認しておくことで、意図せず危険な使い方をしてしまうことを正しく防げます。

なお、どんな洗剤を使用する際も、以下の4つに注意してください。

・よく換気しながら、洗剤を使用する
・マスクやゴム手袋、メガネなどをして、肌に直接付着することを防ぐ
・洗剤を勝手に混ぜたり、同じ場所で複数の洗剤を同時に使用したりしない
・洗剤を使用した後は、水でしっかり洗い流しておく

特に「強力な洗剤を混ぜたら、もっと汚れ落ちがよくなりそう」という考えは絶対にNGです! 安全にさっぱり気持ちよくお掃除をして、カビやヌメリをしっかり撃退できるよう、今回の記事を参考にしてみてください。

【参考】
※1 花王製品Q&A
※2 花王.製品カタログ|キッチンハイター

筆者情報

のぞみ
シンプル志向の整理収納アドバイザー・ライター。クリンネスト1級。「暮らしもこころも かろやかに」をテーマに、ものとじぶんとゆっくり向き合える、続けやすい暮らしのちいさな仕組みを提案しています。Instagram▶@non.karoyakani