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節約に超役立ちます! 管理栄養士直伝「鶏肉のお得な買い方と簡単冷凍術」

お肉のなかでも安価なイメージがあるのが鶏肉。管理栄養士の三城円さんに、コスパの良い鶏肉の選び方や基本的な保存方法を聞きました。また、脂肪が少なく価格がより手頃なことから節約とダイエットが両立できる鶏むね肉を大量に購入したときの保存方法まで教わります。

鶏肉の賢い選び方と扱い方を教えて!

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「節約したい」と「ダイエットしたい」の両方の願望を叶えてくれるものと言えば、比較的安価に買える鶏肉が挙げられるのではないでしょうか。なかでも、より手頃でヘルシーなのは鶏むね肉ですよね。

お得に買うには、業務スーパーやコストコなどで大量にまとめて買うのが良いですが、使い切れなかった経験がある人もいるのでは。また、同じメニューが続くと飽きてしまうことも。

そんな悩みを解決すべく、今回は食品全般の活用法や保存方法に詳しい管理栄養士の三城円さんに、コスパの良い鶏肉の選び方から鶏むね肉の保存方法、大量にあるときの下味の付け方まで教わります。

コスパの良い鶏肉の選び方

まずは、コスパのいい鶏肉の選び方を教えていただきました。

1.  冷凍保存するなら「凍結品」か「生鮮品」がおすすめ

三城さん まずは表示をチェックしましょう。加工の状態を表す「凍結品」と「解凍品」と「生鮮品(または表示なし)」の3種類の表示のうち、まず注目したいのは「凍結品」と「解凍品」です。

「凍結品」は凍結させた状態のもの、「解凍品」は凍結させたものをチルド状態まで戻したものです。購入後、冷凍保存をする場合は「凍結品」を選ぶとコスパが良いといえるでしょう。なぜなら「凍結品」は一度も解凍していないため、鮮度や質は比較的保たれているからです。生肉のような生鮮食品は特に一度解凍したものは味、香り、食感などの品質がが大きく落ちてしまいます。「凍結品」は使う分だけ解凍して使い、使わない分は冷凍のまま保存しておけば、鮮度や質をより長く保つことができます。

一方、「解凍品」は一度解凍しているため、できるだけ早めに食べ切る必要があります。再冷凍は避けるようにしましょう。

また「生鮮品」と表示されているもの、もしくは表示なしのものは、一度も凍結されずにそのまま店舗に並んでいるものです。これは購入後、できるだけ早めに使い切るか、すぐに冷凍保存すれば鮮度は保たれます。

できるだけ長持ちさせて少しずつ使うなら「凍結品」、長持ちさせつつ、すぐに食べる機会もあるなら「生鮮品」がよいでしょう。

2. 質の良い鶏肉を選ぶ

三城さん できるだけ質の良い鶏肉を選ぶこともコスパを高めるポイントです。まずドリップと呼ばれる解凍したときに肉の内部から出る液体が少なく、肉に水分が含まれてふっくら張りがあること。ドリップがあると菌が繁殖しやすくなるからです。特に食中毒菌のカンピロバクターには注意が必要です。

色は身に透明感があり、薄いピンク色のものがおすすめです。皮つきの場合は、毛穴がつぶつぶしていて盛り上がっているのが新鮮な証です。

骨付き肉は、農林水産省の「食鶏取引規格」の品質標準にもある通り、骨が折れていないものが外傷なく質が高いといえます。肉や骨に損傷があるとドリップが出て鮮度が落ちてしまうので避けましょう。

3. プチ贅沢するなら「銘柄鶏」

森林どり

銘柄鶏「森林どり」イメージ

三城さん 最近は節約疲れの声がよく聞かれるようになりましたので、鶏肉に飽きてくる頃かもしれません。そんなときには、鶏肉の中でもプチ贅沢ができる「銘柄鶏」がおすすめです。

鶏肉は、一般的にスーパーマーケットなどに流通しているブロイラー、銘柄鶏、地鶏の3種に分かれます。銘柄鶏とは、飼料や環境など工夫を加えて飼育されたことにより、ブロイラーよりも味や風味などを改良した鶏のこと。地鶏は在来種と呼ばれる希少な鶏の血が半分以上入っており、飼育方法が日本農林規格(JAS)によって定められている高級食材です。

一般的なブロイラーのなかでも鶏むね肉は100gあたり50~70円程度が相場である一方、銘柄鶏のむね肉は安価なものでも80~150円程度、地鶏のむね肉は安価なものでも200~500円程度です。銘柄鶏は地鶏よりは手頃で、一般的な鶏肉よりもうまみがあるなど美味しさも上がるので、プチ贅沢に適しています。

ーー銘柄鶏といえば、北海道の「中札内産雪どり」や岩手県の「岩手で育てたフランス赤鶏(旧南部どり)」などが有名です。

また比較的新しい宮城県の「森林どり」は、食肉科学技術研究所で行った他社ブロイラーとの比較試験の結果、うまみが強くジューシーであるとの結果が数値としても明らかになっています。

たまにこうした銘柄鶏を選ぶことで、プチ贅沢ができそうですね。

鶏むね肉の基本的な保存方法

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ーー続いて、最も手軽に買える鶏むね肉の基本的な保存方法を教えていただきました。

三城さん 冷蔵保存と冷凍保存があります。お肉は空気に触れると酸化が進み、品質が劣化していきますので、どちらの場合も空気に触れないように保存することが大切です。

冷蔵保存する場合、ドリップがあるなら、キッチンペーパーなどでふきとり、保存袋に入れて空気を抜き、冷蔵庫のチルド室で保存します。冷凍保存する場合、平らにして保存するといいです。金属トレイの上にのせると温度が下がりやすく、効率よく保存できます。

鶏肉はもともと傷みが早いので注意してください。ドリップがあるものは、なおさら早めに使い切ってくださいね。賞味期限を守り、調理の際は中までしっかりと火を通しましょう。

鶏肉を大量買いしたときの保存・活用テクニック

下味

ーー鶏肉が大量かつ安価に手に入った! というときには、ぜひしっかりと保存して美味しく使い切りたいですよね。三城さんに保存と活用のテクニックについてうかがいました。

1. 脂肪を取り除き料理で使うサイズに切ってから保存

三城さん 購入した際、皮の下の脂肪を取り除き、料理に合わせた大きさに切って保存します。例えば唐揚げなら一口大に、鶏ソテーなら平たく伸ばして保存します。

2. 下味をつけて保存すると便利

三城さん 下味をつけて保存すると料理にすぐに使えて便利ですよ。特に大量購入したときは下味をつけて冷凍保存するのがおすすめです。傷みやすい鶏肉を長く保存できます。

下味は、酒、すりおろし生姜やニンニク、塩麹や醤油麹、オリーブオイル、マヨネーズ、カレー粉、焼肉のたれなどをお好みで。生姜などの香味野菜は肉の臭みを取り除き、どの料理にも使うことできます。また酒、麹やマヨネーズは肉をやわらかくする働きがあります。

その他、カレー粉などの香辛料や焼き肉のたれなどで漬け込んでおくと、焼くだけで立派なおかずが完成しますよ。

3. 鶏むね肉やササミは筋繊維を断ち切るようにそぎ切り

三城さん 料理をすると硬くパサつきが気になる鶏むね肉やササミは、筋繊維を断ち切るようにそぎ切りするとやわらかく仕上がります。

強火で調理をすると筋肉が縮み、パサつきやすいので、ふっくらと蒸すように料理をするといいでしょう。例えば、沸騰したお湯に鶏むね肉を入れて再沸騰させたら火を止めて蓋をし、20分ほど余熱で料理するなどです。

4. 冷蔵庫で解凍してから使う

三城さん 冷凍のまま料理に使うと、中まで火が通らず、食中毒の危険があります。冷凍保存したものを使用する際は、冷蔵庫に移して解凍をしてから使用しましょう。

ーー鶏肉はコスパの良いものを選び、大量買いのときには適切に保存・調理をして、賢く楽しみましょう。下味で好きなようにアレンジすれば、節約疲れも軽減するかも!?

Information

教えてくれた人…三城 円(さんじょう・まどか)さん

三城 円 さん

管理栄養士/日本パーソナル管理栄養士協会代表理事 “食べながらやせる”を基本とし、ダイエット、アスリート、摂食障害で悩む方々、のべ1万人以上の食事サポートを実施。現在は、パーソナル管理栄養士の全国ネットワークづくりも行っている。

(C)Deagreez/Getty Images