なんだかずっとダルい、頭が痛い…【女医監修】秋の体調不良の「特徴と対策」
暑い夏が過ぎて、一般的には過ごしやすい季節となる秋。そんな季節でも、頭痛や肩こり、だるさなどの不調に悩まされる方がいます。実は注意すべき意外な原因のひとつは、「気圧」。今回は、秋に起こりがちな不調の原因について解説します。
秋に起こる不調は「気象病」のひとつかも
季節の変化や天候など、気象条件によって体に起こる様々な不調を、一般に「気象病」と呼ぶことが増えています。正式な医学の病名ではないのですが、こうした環境の変化が体に及ぼす影響は大きなもので、実際に様々な不調のきっかけとなることがあります。
秋に起こりがちな気象病
秋は暑い夏が過ぎて、また冬ほど寒くもないことから、一般的には過ごしやすい季節とされていますよね。それにもかかわらず、気象病をおこしてしまう場合もあります。秋に気象病を起こす原因は大きく分けてふたつあると考えられます。
1.気圧の変化
秋も台風が来たり、秋雨前線が停滞したりと、低気圧による影響が出やすいことが考えられます。気圧が変動すると、耳の奥にある内耳という部分が刺激され、脳の自律神経中枢である視床下部に刺激が伝わり、自律神経に負担がかかる可能性が。自律神経系に一定以上のストレスがかかってしまうと、様々な体調不良につながります。
2.日照時間が減少することによる影響
人間は日光を浴びることで、体内でメンタル安定ホルモンであるセロトニン(※1)を合成します。セロトニンの一部は、さらに体内で睡眠を司るホルモンのメラトニン(※2)にも変換されます。日照時間が少なくなると、セロトニンやメラトニンが不足状態になることで、気持ちが不安定になったり、不眠を起こしたりすることも。こうしたホルモンバランスの変化は、自律神経の負担になることがあります。夏に受けた夏バテのダメージが残っている場合は、さらに症状が出やすくなることも考えられますね。
秋の気象病でよくある症状とは?
1.頭痛
頭痛のなかにも様々な原因がありますが、特に片頭痛において、自律神経中枢である視床下部との関連が指摘されています。そのほか、片頭痛以外で頭痛の原因として大きな割合を占める緊張性頭痛でも、自律神経の乱れによって症状が強くなったり、頭痛の頻度が増えたりする可能性があります。
2.肩こり
肩こりは肩の筋肉の疲労やこわばりといった筋肉の問題と思いがちなのですが、実はここにも自律神経が関わっています。気圧の変化や天候、ホルモンバランスの乱れなどが総合的に影響することで、無意識のうちに体のストレスが高まり、首や肩に力が入って緊張してしまうことが考えられます。また、日照時間が短くなることで睡眠が浅くなると、疲れが十分とれず、これも肩こりを悪化させることが考えられますね。
3.だるさ
だるいことを医学的には倦怠感といいますが、倦怠感は様々な病気のサインでもありうる症状で、考えられる原因は幅広いです。気象病の症状としてもだるさを感じる場合があります。また、晴れの日でも日照時間が短くなる季節や、秋の長雨の最中などは朝もあまり明るくならず、すっきり目が覚めにくくて眠気が残りがち。セロトニンも減少しやすく、抑うつが強まってしまい、それがだるさとして感じられる場合もあるでしょう。
しっかり休息を取って心身を整えよう
今回ご紹介したような症状は、気象病以外でも起こりうるものです。そのため、まずは内科で精査して、異常がないかどうかをチェックしてみましょう。気象病が原因と考えられる場合は、自律神経が整うような生活を工夫してみてください。大切なのは、生活リズムを整え、適度に運動し、良質な睡眠をとることです。無理せず休息をとることも意識してくださいね。
【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット セロトニン
※2 厚生労働省.e-ヘルスネット メラトニン
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筆者情報
ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは3人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は14万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ