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ふるさと納税、本当にお得? 税理士が教える「 簡単に“お金を溜める方法”」

何かと節約したい昨今ですが、節税も試してみたいと考えていませんか? 特にふるさと納税が節税になると聞いて気になっている人もいるかもしれません。今回は会社員でも節税対策はできるのか、ふるさと納税のメリットやお金を貯める方法について税理士に伺いました。

節税とは? 控除とはどう違う?

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日々の生活の中で、思わぬところで税金を払い過ぎていたり、節税できる方法があるのに行っていなかったりしていないか、気になることはありませんか?

また自治体への寄附と共に、地方の特産品を中心とした返礼品を受け取ることができるふるさと納税で節税できると聞いて、興味がある方もいるでしょう。

今回は税理士の久保佑紀さんに、会社員ができる節税対策について教えていただきました。

久保さんは先日、スマホ会計アプリ「FinFin」を手掛ける「会計バンク」が、子育て中のフリーランス向けに開催したイベントで、経理処理や確定申告のポイント、インボイス対策などのほか、気になる節税方法やふるさと納税についても解説しました。

まずは節税の意味から確認していきましょう。

久保さん 節税とは税務制度に則り、ご自身にとって有利な選択をして、できるだけ税金を少なくすることです。例えば会社や自営業者は経費を適切に計上することで節税が可能です。

会社員の方は、控除のほうが身近ではないでしょうか。控除とは、納税額を算出する際に、所得から一定の金額を差し引くことによって課税対象額を減少させる仕組みです。税金の公平性や社会的な配慮のために、個人や家族の状況や支出に応じて取り決められています。

例えば、医療費控除や住宅ローン控除などがあります。会社で自動的に行われるものもありますが、自分自身で申請することで控除を受けられるものもあります。法律の範囲内で使えるものは使わないと逆に損をしてしまうので、もれなく使っていただければと思います。

会社員の節税は控除をうまく使おう

ーー会社員が節税するにはどんな方法があるのでしょうか。

久保さん 会社員の方は、毎月給与が支給され、その支給額の中から所得税と住民税の2種類の税金と、社会保険料が差し引かれた金額を手取りとして受け取る仕組みになっています。

そして、1年間の給与総額が確定する年末に、その年に納めるべき所得税を正しく計算し、それまでに徴収した税額との過不足額を求め、その差額を徴収または還付し精算する手続きを行います。この精算の手続きが「年末調整」です。

税金は、基本的に売上や給与から経費を差し引いた金額に基づいて計算されます。会社員の場合、勤務に伴って必要となる経費の概算を控除する「給与所得控除」を受けられます。この給与所得控除の概算控除額は、基本的に給与の収入金額に応じて定められているため、経費が多くても少なくても、課税対象額に差は生まれず、支払う税金の額に影響を与えることはありません。

よって会社員が節税をしたいと思ったら、他の控除をうまく使うことにあるといえます。他の控除には扶養控除、医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、住宅ローン控除などがあります。

控除は、勤務先の年末調整の際に申請するなどして受けることができます。ただし、勤務先の年末調整によって控除が受けられるものとそうでないものがあります。

例えば住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを購入したり、リフォームしたりした場合に、税金の控除を受けられる制度ですが、適用を受けるためには条件を満たしたうえで、1年目は税務署へ確定申告を行う必要があります。2年目以降は、会社に申告書等を提出します。

ふるさと納税は節税になる?

ーーふるさと納税も、節税対策と聞くことがありますが、そうではないのでしょうか?

久保さん ふるさと納税は、「納税」という言葉がついていますが、実際には都道府県、市区町村への「寄附」に相当します。通常、自治体に寄附をした場合には、確定申告を行うことで、その寄附金額の一部が所得税と住民税から控除されます。

ふるさと納税では原則として自己負担額の2,000円を除いた全額が控除の対象となります。寄附額に応じて、自治体ごとに地域の特産物などの返礼品が送られてくるため、欲しい品がある方に人気の方法です。

とはいえ、実質、金銭的に得しているわけではありません。例えばふるさと納税として20,000円寄附した場合、18,000円が控除されることになります。つまり「お金を20,000円払って18,000円の税金が減った」ということになるので、実質的には税金を前払いしたことと変わらないため、節税対策とはいえません。

ただ返礼品でお目当てのものがあったり、特産物などをお取り寄せして食べることに価値を感じたりするなら、ある意味、得する方法といえるでしょう。

会社員がお金を貯めるのにおすすめの方法は?

ーー会社員がお金を貯めるのにおすすめの方法を教えてください。

久保さん NISAはいかがでしょうか。現行のNISA制度は、一般NISAであれば年間120万円まで投資することが可能で、最長5年間、投資から得た利益が非課税となる税制優遇制度です。つみたてNISAであれば年間40万円の積立が可能で、積立期間は最長20年間です。

なお、NISA制度は2024年以降に拡充されます。現行制度は一般NISAとつみたてNISAの選択制ですが、2024年以降はNISA制度が一本化され、年間投資枠が360万円に拡充されます。また非課税で保有できる期間の制限がなくなり、生涯1,800万円まで非課税で保有することが可能です。

また、日々の生活の中で節約をしてお金を貯める方も多いですが、ストレスを感じることもあるでしょう。その場合は、もう少し収入を増やすという視点を持つのもいいかもしれません。例えば5,000円を節約するのがストレスなら、5,000円儲けて5,000円を使ってストレス解消するという方法に変えてみるのも良いのではないでしょうか。

ーー会社員の節税方法やふるさと納税、お金を貯める方法を教えていただきました。節税や節約、貯金をしたい人は、ぜひ参考にしてみてください。

副業の収入が増えたら独立したほうが良い?

ーー会社員が副業をして収入が上がったら、会社を辞めて独立したほうが良いなどはありますか?

久保さん 会社員とフリーランスでは、どちらも税負担の観点からの損や得はありません。

ただしフリーランスになれば、健康保険や年金などの社会保険料は全額自己負担で払わなければならなくなります。会社員は健康保険料と厚生年金保険料に関しては、会社と50%ずつ負担する折半の制度となっていますが、フリーランスはそれがなくなる点は押さえておきましょう。

税負担という観点からは、会社員がそれほど悪いわけではないと思います。ですから節税をねらって独立するというよりも、独立されたいなら、ご自身の事業の状況、そして何より自分の気持ちに応じて判断するのが良いと思います。

ーー会社員として働きながら、今後、副業の額が増えたり、フリーランスとして独立したいと考え始めたりしたときには、参考になりそうですね。

Information

<教えてくれた人>

久保 佑紀(くぼ・ゆき)さん

久保佑紀さん

久保佑紀税理士事務所代表。2人の娘を育てるママ税理士。会計バンクが主催する会計セミナーなどで活躍中。

<筆者情報>

椎原茜
ライター。ライフスタイル、エコ、美容・健康、マネーなどのジャンルで執筆中。専門家取材の記事を通して、女性の読者の方々に正しい知識を知ってもらい、生活に役立ててもらうことを目指している。

(C)wakashi1515/Getty Images