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実は避けたほうがいいんです… 管理栄養士が教える「味噌汁のNG食べ方」

和食に欠かせない味噌汁は、健康にいいイメージもあり毎日食べているという人もいるでしょう。野菜や豆腐などあらゆる具材に合い、栄養バランスも取りやすい味噌汁はまさに健康食といえます。しかし、作り方や食べ方によっては味や健康効果が損なわれる可能性も。今回は、味噌汁を食べるときに気を付けたいポイントを解説します。

味噌汁を作る、食べるときに気を付けること

味噌汁を作る・食べるときに気を付けること

沸騰させるのはNG

味噌汁は沸騰させると味噌の風味が飛び、味が落ちてしまいます。味噌独特の香りは、味噌が熟成されるときに発生するアルコールやエステルなどの成分に由来するとされています。これらは沸騰させると揮発するため、香りが飛んでしまうのです。

鍋に味噌を入れる前は一度火を止め、沸騰がおさまってから味噌を溶かし入れましょう。沸騰直前で火を止めて、お椀によそえば食べる頃にちょうど良い温度になりますよ。

あくが出る食材に注意

味噌汁を作るときにはあらかじめ食材に火を通す工程がありますが、その際に“あく”を取っておくことでおいしく健康的な味噌汁ができます。

肉や魚、野菜や山菜などを煮たときに出てくる茶色く濁ったものがあくです。これは臭みや雑味の要因となったり、おいしさが損なわれたりするため取り除きましょう。かつお節でだしを取る際にもあくが出ます。かつお節を入れ、ひと煮立ちしたタイミングであくを取っておくと、風味豊かなだしが取れますよ。

また、ほうれん草やたけのこなどにはシュウ酸という成分が含まれています。シュウ酸は尿路結石の材料となるため、大量に摂取すると結石ができるリスクが高まるとされています。これらの食材は下茹でして水にさらすことでシュウ酸が流れ出やすくなるとされるため、あらかじめ下茹でしておきましょう。

塩分が気になる人は食べすぎないように

塩分の摂りすぎはむくみや高血圧の要因となることがわかっています。日本人は和食に使われる塩分が多いことや、近年外食の機会が増えたことなどの理由により、世界的にみても塩分摂取量は多めと言われています。

一日の塩分摂取目標量は、成人男性は7.5g未満、女性では6.5g未満とされています。また、高血圧予防のために推奨されている塩分摂取目標量は1日6g未満です(※1)。ほかの食事による塩分も考慮すると、味噌汁を1日に何杯も飲むことは控えると良いでしょう。

よりおいしくなる味噌汁の作り方

よりおいしくなる味噌汁の作り方

だしにこだわる

だしによって味が変わるのも味噌汁の特徴です。最近はだし入りの味噌や顆粒だしなど便利なタイプもありますが、昆布・かつお節・煮干しなどを使ってお好みのだしを見つけてみるのもおすすめです。

また、昆布やかつお節などお好みの材料を水に浸けて、冷蔵庫で一晩置いておくだけの“水だし”という方法もあります。食材をお茶パックなどに入れ、麦茶ポットなどを使うと便利ですよ。冷蔵庫保存で3日~長くとも1週間くらいで早めに使い切りましょう。

具材を煮る時間や順番に注意

味噌汁を作るときは、味噌を入れてから沸騰させないように、あらかじめ具材に火を通しておきましょう。

大根・ごぼう・じゃがいも・玉ねぎ・にんじんなどは火が通るのに時間がかかるため、最初に鍋に入れてやわらかくなるまで煮ておきます。白菜やキャベツなど火が通りやすい野菜は、火が通りにくい食材が煮えるころに入れましょう。豆腐など煮崩れしやすいものは火を消す少し前に入れます。青ねぎなどは香りが消えやすく変色しやすいため、器に盛ってから加えると良いでしょう。

味噌汁はおいしく健康的にいただきましょう

味噌汁はさまざまな食材と相性がよく、1品で副菜にも主菜にもなり得るメニューです。味噌やだしの種類を変えることで、いろいろな味わいが楽しめるのも魅力的ですよね。今回お伝えしたようなポイントをおさえれば、さらにおいしく体にもうれしい味噌汁を食べられますので、ぜひ参考にしてみてください。

【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット ナトリウム
©Nishihama/Adobe Stock ©buritora/Adobe Stock

筆者情報

寺内麻美
管理栄養士を取得後、病院での給食や栄養管理、クリニックで生活習慣病予防のための食事指導に携わる。現在はダイエットサポートやレシピ制作、根拠のあるデータをもとに食や健康コラムの執筆などを行なっている。