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月経痛が酷くなるかも…【婦人科医が解説】月経中に避けたい「NG食事」

月経中は失血と急速なホルモン変化が同時に起こるため、体調的にも感情的にも不安定になりやすい時期です。また、月経痛の悩みをかかえる女性も多いはず。そこで今回は、産婦人科専門医の筆者が、月経中のNG行動について解説していきます。

月経中に避けるべき食べ物はある?

月経中に避けるべき食べ物はある?

月経のある女性は月経周期の中で、急激な女性ホルモンの変化が起こります。ホルモンの変化によって、月経前には精神的に不安定になる人も。また、月経中は出血があること、人によっては月経痛があることなどによって、身体だけでなく精神的にも負担が大きい時期。そのような時期に追い打ちをかけて症状を悪化させるような飲食物を摂るのは、できるだけ避けたいところです。

1.甘いもの・スイーツ

月経中の不調がある方は、甘い果物やスイーツは控えたほうがいいかもしれません。糖分の多い食物は血糖値を短期的に上昇させるため、一時的には満足感が得られるものの、時間がたつと血糖値が一気に下がってしまいます。その影響で眠気やイライラ、だるさなどが現れることもあるのです。

そもそも月経前後はこのような症状が起こりやすいのですが、甘いものやスイーツを食べることでさらに追い打ちをかける恐れがあります。甘いものやスイーツは肥満や脂肪肝の原因にもなるため気をつけましょう。

2.加工食品

缶詰食品や、ソーセージ・ビーフジャーキー・ベーコンなどの高度に加工された肉や加工食品は、お腹が張ったり、むくみが悪化したりする場合があります。これらの食品は、保存性を高める目的で塩分が多めに含まれる傾向があるため、月経中のむくみが気になる方は気をつけるといいでしょう。

また、サラダ油やごま油の他、揚げ物系の加工食品によく含まれるオメガ-6系の脂肪酸は、炎症を強める働きにより月経痛を悪化させる可能性があります。そのため、脂質を摂取する際には、サラダ油ではなくオリーブオイルやMCTオイルなどを選ぶのがおすすめです。

また、オメガ-3系の脂肪酸は魚の油としてよく含まれており、鯖や鮭のほか、イクラやタラコなどの魚卵にもよく含まれています。オメガ-6系とは反対に抗炎症作用があるといわれているので、月経中はぜひ積極的に摂りたいですね。

3.アルコール

月経中は、出血があるために血圧が下がりやすくなっています。アルコールを摂取すると血管が開くことでさらに血圧が下がり、だるさの悪化や出血量の増加を招くおそれがあるため、月経中はアルコール飲料の摂取を控えるのが安心でしょう。

4.辛い食べ物

辛い料理を食べると、おならが出やすくなったりお腹が張ったりと、月経中の症状に加えてさらなる不調が引き起こされるケースも。 月経中はできるだけ辛い食べ物は避けるのがベターかもしれません。どうしても辛い食べ物をやめられない場合は、新鮮な唐辛子などを選んでみるのも良いでしょう。

月経前後に摂るべき食材

月経前後で摂るべき食材

毎月の痛みや不快感を乗り切るためにも、月経前後には、ビタミン・ミネラル・水分・たんぱく質・鉄分・繊維質などの栄養素が豊富に含まれる食品を積極的に摂りたいところ。消化を助け、月経中に失われたものを取り戻すには、たくさんの果物や野菜を含み、食物繊維の多い食事を選ぶのがポイントです。

また、野菜を調理するときは、低温から中温で調理するようにしましょう。高温にするとビタミンが失われやすくなります。バターや油の使用をできるだけ控える代わりに、グリル・ロースト・蒸すなどの調理法を選び、ビタミンをしっかり摂っていきたいですね。

さらに、月経の出血で失われるミネラルを補うために、鉄分をはじめとして、メンタルの安定に大切なカルシウムやマグネシウムを摂ることも大切です。鉄分が摂れる食品というとレバーが有名ですが、ほかにも牛肉や赤貝、砂肝でもOK。カルシウムは牛乳、マグネシウムは魚に多く含まれます。特にかつおはマグネシウムに加えて鉄分も含むのでおすすめですよ。

よくある質問

Q1.月経中にチョコレートを食べたらダメ?

月経中にチョコレートが食べたくなる方もいるでしょう。チョコレートを食べると、気分を調節し、神経伝達物質のバランスを整え、リラックスを促すエンドルフィン(※1)とセロトニン(※2)が放出されると言われています。チョコレートを食べると気分が落ち着くことから、無意識に体がチョコレートを求めるようになる場合も。

ただし、血糖値の上昇により眠気やイライラ、だるさなどが引き起こされることもあるため、月経中に糖質を摂りすぎるのはあまりおすすめできません。摂るならば、砂糖の少ないダークチョコレートを選びましょう。

Q2.月経中に柑橘類を食べたほうがいいってホント?

レモンを少し加えた水はビタミンCの摂取量を増やし、水分補給を促します。絞りたてのジュースやブレンドスムージーは、糖質を最小限に抑えていれば、月経中に食べるのに最適と言えるでしょう。果物には天然の糖分が豊富に含まれているため、追加で加える必要はありません。

月経を穏やかに乗り切るために、良質な食事を

月経を穏やかに乗り切るために、良質な食事を

大前提として、月経中は食事を抜かないようにしましょう。食事を抜くことで吐き気や倦怠感を悪化させる場合があります。そして、可能な限り天然の未加工製品を選んで摂るようにしましょう。月経に伴う身体の不調を軽減するためには、水をたくさん飲むことも大切。月経時をより快適に過ごしたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット β-エンドルフィン
※2 厚生労働省.e-ヘルスネット セロトニン

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著者情報

ママ女医ちえこ

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは3人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は15万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ