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食事で痛みを和らげる?【医師が本気で伝えたい】月経がつらくなるNG食習慣

毎月、月経痛に悩まされている人は多いはず。いろいろ工夫してみても、なかなか改善されないと悩んでいるかた必見! 今回は、栄養療法で数多くの患者さんを救ってきた内科医の梶尚志さんに、月経痛によくない影響を与えてしまう「NGな食事習慣」について教えていただきました。

月経痛で悩んでいる人必見! 内科医が勧める食事法

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月経痛は重い人もいれば軽い人もいますが、いずれにしても毎月のことなので、悩ましいですよね。仕事やプライベートに支障をきたしてしまうことも。一般的に月経痛への対応策としては鎮痛薬やピル、漢方薬などがありますが、日ごろの食生活に気を付けることも対処法の一つになると、梶の木内科医院の院長 梶尚志さんは話します。

これまでに医学的根拠に基づいた食事法「栄養療法」で、延べ500人以上の患者を救ってきた梶さん。著書の『え、私って、栄養失調だったの? その不調は病気でなく状態です! ~内科医が本気で教える、薬より効く食事法』(みらいパブリッシング刊)では薬を飲んでも改善しない不調を、病気ではなく栄養失調と伝え、栄養とからだのしくみや効果的な食事を解説しています。

今回は梶さんに、特に月経痛に悩んでいる女性に足りていないと思われる栄養素やNGな食べ方、そして正しい食べ方を聞いてみました。

月経痛に悩む人がよくしている、NGな食事内容と食べ方5つ

下腹部痛や頭痛などの月経痛(月経困難症)に悩む人は、よく次のような食事内容や食べ方が見られるそうです。当てはまっていないかチェックしてみましょう。

NG1. 朝食を抜いている

梶さん 朝食を抜くことが月経困難症に悪影響を及ぼしたり月経不順をきたしたりするという医学論文も多数あります。基本的に1日3食、バランスよく食べることが重要ですが、朝は特に1日のエネルギーチャージとして大切な役割を果たします。パンやおにぎりだけといった炭水化物だけではなく、肉か魚、卵、大豆製品といったタンパク質を少なくとも2品は食べましょう。

NG2. ごはんやパン、パスタなど炭水化物中心の食事

梶さん 月経痛の原因として最も顕著なのは、鉄不足です。鉄不足が酸素を運ぶヘモグロビンの質を落としてしまうことで子宮の酸素不足をきたし、月経痛の原因にもなります。また、鉄は子宮内膜の状態を整えるためにとても重要な働きをしているため、女性にとって大切なのです。

ごはんやパン、パスタなどの炭水化物中心の食事になっていませんか? 炭水化物に偏るとどうしても肉や魚などの鉄分が豊富な食材の摂取が少なくなり、鉄分不足になってしまいます。3食とも、特に動物性のタンパク質をしっかりと摂るように心がけましょう。

また炭水化物に偏る方は、ビタミンB6と亜鉛も不足しがちです。これらは女性ホルモンを活性化させる栄養素としてとても大切なビタミンとミネラルです。ビタミンB6と亜鉛を多く含むのは、牡蠣などの魚介類や赤身肉、レバーなど。亜鉛はカシューナッツや卵にも多く含まれるので、意識して摂取するようにしましょう。

NG3. 脂肪分は太るので避けている

梶さん 「脂肪分は太る」との誤った認識で、脂肪分の摂取が極端に少なくなっている場合があります。脂肪分の中でも、オメガ3系脂肪酸であるEPAやDHAは炎症性の物質の産生を抑える働きがあるため、月経痛を緩和します。また脂肪分を控えることによって、コレステロールを原料とする女性ホルモンのバランスが崩れて、月経不順や月経痛の原因にもつながります。

特に月経の間は、オメガ3系脂肪酸を多く含む、魚やエゴマ油の摂取を意識しましょう。

NG4. ナッツ類などのビタミンEを含む食品を摂取しない

梶さん ビタミンEの摂取が月経痛の軽減に効果が期待できるという医学論文があります。ビタミンEには抗炎症作用と血流の改善作用があるため、子宮内膜の炎症を抑え子宮周囲の血流を改善することで月経痛が緩和することが期待できます。

ビタミンEを多く含むアーモンドやカシューナッツなどのナッツ類には、子宮の収縮を抑制するマグネシウムも豊富ですし、女性ホルモンの原料となる脂質の摂取にもつながるので、ぜひ取り入れましょう。

NG5. 日光を浴びることが少なく、ビタミンD不足の状態を放置

梶さん 現代人はビタミンD不足のかたが増えています。ビタミンDは日光を浴びることによって体内で生成されますが、今の地球環境はオゾン層の破壊によって紫外線量が増加しており、紫外線による皮膚がんや皮膚炎などが問題になっています。また美肌を維持するために日焼け止めを1年中使用するかたも多くいます。

ビタミンDは、卵巣機能と月経周期の調節に好影響を与えるという研究報告があります。またプロスタグランジンなどの代謝産物を減少させ、子宮の血管収縮や子宮収縮を抑えることで、月経痛を緩和するなどの作用があります。

紫外線対策をすると、実はビタミンDが生成されにくくなくなってしまいます。ビタミンDは魚介類とキノコ類に多く含まれるので、これらの食品を積極的に摂取しましょう。

ーーまずは1日3食、炭水化物、タンパク質、脂質と野菜をバランスよく摂ることが基本。そのうえで、今回紹介された栄養素を意識してみましょう。シンプルで簡単なので、実践してみて月経痛の様子が変化するかをチェックしてみるのもよいのではないでしょうか。少しでもよくなったなら、継続していきましょう。

Information

<教えてくれた人>

梶 尚志(かじ・たかし)さん

梶の木内科医院 院長総合内科専門医、腎臓専門医。総合内科専門医として患者を診察する中で、通常の診察では解決できない「体の不調」に栄養学的なアプローチから治療と生活指導を行う。

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<筆者情報>

椎原茜
ライター。記事を通して、読者の方々に役立つ情報を知ってもらい、ハッピーかつ快適な生活を送っていただきたいという思いで執筆中。

(C) Joshua Resnick/AdobeStock