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“健康に良さそう”でも、実は逆効果かも… 管理栄養士監修「食べすぎ注意な食材」5選

”健康のために”と、特定の食材を日々意識して食べている人もいるでしょう。一般的に体に良いといわれている食材でも、実は食べすぎるとNGなものがあります。今回は管理栄養士の筆者が、食べすぎに注意したい食材を解説します。

基本的に何でも食べすぎはNG!

“健康に良さそう”でも、実は逆効果かも… 管理栄養士監修「食べすぎ注意な食材」5選

筆者が食事について相談を受けるときに、「食べてはいけないものはありますか?」といった質問をされることがあります。もちろん、健康上の理由で制限されているものや、明らかに毒性を持つようなものはNGですが、管理栄養士として“食べてはいけないもの”はないと考えます。

しかし、一般的に健康的といわれているような食べ物でも、食べすぎると体に負担になります。たとえば、野菜や水でもとりすぎは体にとって毒に。つまり、何でもほどほどに抑えること、バランスの取れた食事をとることが大切なのです。

食べすぎに気を付けたい食材5選

ここからは、一般的に体に良さそうなイメージがある食材の中で、特に食べすぎに気を付けたい食材を5つ紹介します。

大豆製品

大豆製品

納豆や豆腐、みそなどの大豆製品は、健康に良い食品として昔から食べられてきました。しかし、食べすぎると腹痛や下痢などを引き起こすケースも。これは、大豆に食物繊維が含まれるためです。食物繊維は、適量であれば便通を良くする効果が期待できますが、とりすぎるとおなかの調子を悪くする可能性があります。

また、大豆製品に含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモンに似た構造をしていることから、適量であれば体に有益な成分であるといわれています。しかし、とりすぎることで健康を損なう可能性も示唆されているのです。

ただし、食品安全委員会によると、短期間で大豆製品をとりすぎたからといって、すぐに健康被害に結びつくわけではないことが示されています(※1)。納豆であれば1日1パック、豆腐なら1/2丁(150g)、豆乳はコップ1杯(200ml)程度を目安として、大豆製品ばかりに偏らないように気を付けるのがおすすめです。

ナッツ類

アーモンドやくるみ、カシューナッツなどのナッツ類は、ビタミン・ミネラル・食物繊維などを多く含み、栄養価が高いため、おやつ代わりに食べている人もいるでしょう。

ナッツ類は脂質を多く含むため、食べすぎるとカロリーオーバーにつながりやすい食品です。たとえばアーモンドは100gで約600kcalあり、ごはん100gよりもカロリーが高いのです(※2)。1日あたりの間食でとるカロリーの目安は約200kcalなので、ナッツ類だけで間食をとる場合は、30g程度に抑えておくとよいでしょう(※3)。

また、製品によっては揚げたり塩が添加されたりしているものもあります。健康のためにナッツ類を食べるのであれば、なるべく無塩や素焼きタイプを選ぶことで、余分な脂質や塩分を抑えられますよ。

ドライフルーツ

ドライフルーツ

ドライフルーツは、ビタミンやミネラルが豊富に含まれる、果物を乾燥させた食品です。お菓子よりは体に良さそうだと思い、間食に選んでいる人もいるでしょう。

果物を乾燥させたドライフルーツには、栄養価がぎゅっと凝縮されていますが、その分カロリーや糖分も凝縮。たとえば、ドライマンゴーの100gあたりのカロリーは、生のマンゴーと比べて5倍ほどあります(※2)。そのため、カロリーを摂取しすぎてしまう可能性があるのです。

また、食物繊維が豊富に含まれるドライフルーツは、便秘予防などの効果が期待できます。しかし、食べすぎると腹痛や下痢など、お腹の調子を崩してしまうことも。

ドライフルーツを食べるときは、1日あたり200kcal程度にしておくとよいでしょう。製品によってカロリーに差があるため、成分表示を確認してみてください。

グラノーラ

グラノーラは、オートミールやナッツ、ドライフルーツなどを混ぜ合わせた食品です。手軽に栄養がとれるイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし、先ほどもお伝えしたように、カロリーが高いナッツやドライフルーツが含まれているグラノーラは、食べすぎに注意が必要です。

また、グラノーラには食感や味を良くするために、砂糖や油が加えられている製品もあるため、食べすぎると糖分や脂質のとりすぎにつながる可能性があります。グラノーラを食べるときには、製品に記載されている適量を守るようにしましょう。

アボカド

アボカド

健康や美容に良いイメージがあるアボカドは、ビタミンやミネラルを多く含む栄養価の高い食品ですが、「森のバター」と呼ばれるほど脂質が高い食品でもあります。

アボカド1個あたりのおおよその可食部(150g)のカロリーは約264kcalであり、これは、ごはん約1杯分(150g)と大きく変わらないレベル(※4)。カロリーや脂質のとりすぎが気になる人は、アボカドは1日1/2個程度にしておきましょう。

食事は適量とバランスを意識しよう

今回お伝えした食材に対し、どれもがヘルシーなイメージを持っていたという人もいるかもしれません。しかし、どれほど体に良いといわれている食材でも、食べすぎは栄養の偏りを招き、健康を損なう可能性あります。

健康的な食事をとるためには、何でも適量を意識して、さまざまな食材をバランスよくとることを心がけましょう。

【参考】
※1 農林水産省.大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
※2 文部科学省.日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 第2章
※3 厚生労働省.e-ヘルスネット 間食のエネルギー(カロリー)
※4 文部科学省.食品成分データベース

©︎Cavan Images/HUIZENG HU/AlasdairJames/Westend61/gettyimages

寺内麻美
管理栄養士を取得後、病院での給食や栄養管理、クリニックで生活習慣病予防のための食事指導に携わる。現在はダイエットサポートやレシピ制作、根拠のあるデータをもとに食や健康コラムの執筆などを行なっている。