実は避けたほうがいいんです… 管理栄養士が教える「ナスのNG食べ方」
夏から秋にかけて旬を迎えるナスは、焼きナスや麻婆ナス、漬物などさまざまな料理に使えて魅力的な食材です。しかし、ナスの食べ方や調理方法には注意が必要なケースもあることをご存知でしょうか。今回は管理栄養士の筆者が、ナスのNGな食べ方や調理方法、ナスに含まれる栄養価やその効果について詳しく解説します。
ナスに含まれる栄養素とは
ナスは野菜の中でも比較的水分が多く、カロリーが低いためダイエット中の方にもおすすめな食材です。まずは、ナスに含まれているおもな栄養素や、期待される健康効果について詳しく説明します。
カリウム
ナスにはカリウムが多く含まれています。カリウムは、ナトリウムが腎臓で再吸収されるのを抑え、尿への排出を促すミネラルです。塩分の摂りすぎを調節するのに役立ち、高血圧やむくみ予防の効果が期待されます(※1)。
食物繊維
食物繊維は腸内に存在する善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える働きがあります。また、食物繊維は満腹感を得やすくし、血中コレステロール値を下げたり食後の糖の吸収をゆるやかにする作用もあるため、ダイエット中の方には特におすすめです(※2)。
ビタミンK
ビタミンKは怪我などで出血したときの血液凝固に関わる栄養素です。また、骨の健康維持に欠かせないビタミンです。ビタミンKは油に溶けやすいので、適度な油と一緒に摂ることがおすすめです。
ナスニン
ナスの皮に含まれている紫色は、ナスニンというアントシアニン系の色素です。ナスニンには抗酸化作用があり、老化予防や生活習慣病予防に役立つことが期待されています(※3)。
ナスのNGな食べ方とは
ナスには健康にうれしい栄養素が含まれていますが、食べ方によっては健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。ここからはナスのNGな食べ方を解説します。
ナスを水にさらしすぎるのはNG
なすにはアクが含まれるため、調理の際には水にさらしてアク抜きをすることもあるでしょう。しかし、長時間水にさらすと水溶性のビタミン・カリウム・ナスニンなどが流れ出てしまいます。10分ほどさらしておけばアクは抜けるので、水にさらしすぎないように注意が必要です。
ナスの食べすぎはNG
ナス自体は低カロリーですが、食べすぎには気を付けましょう。水分と食物繊維の摂りすぎにつながるため、便秘や下痢を引き起こしたり胃腸に負担をかけたりする可能性もあります。
成人1日あたりの野菜の摂取推奨量は350gとされています(※4)。ほかの野菜もバランスよく組み合わせた場合、ナスの適量としては1日1~2本程度が良いのではないでしょうか。
油の摂りすぎに注意
ナスは油を吸収しやすいため、揚げ物にすると大量の油を摂取することになります。油の摂取量が多くなるとカロリーも高くなるため、体重増加につながり健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
ナスを揚げ物にしたい場合は、揚げ焼きなど少ない油で調理するのがおすすめです。
塩分の摂りすぎには注意
ナスは漬物や塩もみなど、塩分の高い調味料で調理することもあるでしょう。ナスの水分を引き出しやわらかくするためには有効ですが、過剰な塩分摂取につながる可能性があります。特に、高血圧など塩分制限が必要な方には注意が必要です。
ナスは適量を健康的に楽しみましょう
ナスにはさまざまな栄養素が含まれ、低カロリーでダイエット中にもおすすめの食材です。しかし、食べすぎや調理方法によっては、体調に悪影響を及ぼす可能性もあります。日々の食卓に適量を取り入れて、健康的な調理方法で楽しみましょう。
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット カリウム
※2 厚生労働省.e-ヘルスネット 食物繊維の必要性と健康
※3 厚生労働省.e-ヘルスネット 抗酸化物質
※4 厚生労働省.e-ヘルスネット 野菜、食べていますか?
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筆者情報
寺内麻美
管理栄養士を取得後、病院での給食や栄養管理、クリニックで生活習慣病予防のための食事指導に携わる。現在はダイエットサポートやレシピ制作、根拠のあるデータをもとに食や健康コラムの執筆などを行なっている。