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季節の変わり目に要注意!【管理栄養士監修】秋バテが加速する「NG食材」

夏の厳しい暑さがやわらぎ、秋の気配を感じる季節が近づいてきました。夏の疲れを引きずったまま涼しい季節になると、夏バテと同じように体のだるさや食欲不振などの「秋バテ」を感じる人もいるようです。今回は管理栄養士の筆者が、秋バテをまねく食生活や、秋バテ予防におすすめの食材についてお伝えします。

“秋バテ”とは?

秋バテとはなにか

夏の暑い日々が過ぎ、少し涼しさを感じる季節になると、なんとなくだるさや体調不良を感じることはありませんか? 冷房や冷たいもので「冷え」が起こりやすい夏のあと、気温が下がってくることで自律神経が乱れやすくなり、秋まで不調が続きやすくなる状態がいわゆる「秋バテ」といわれています(※1)。

秋バテを予防するためには、生活習慣を見直すことが大切です。そこで、秋バテにならないために食生活で気を付けていただきたいポイントをお伝えします。

秋バテをまねくNG食材

秋バテを加速させてしまう食材とは、基本的に夏バテをまねく食材と同様に、栄養バランスの偏りが起こりやすかったり体を冷やしてしまったりするものが挙げられます。以下で具体的なNG食材と、摂る際の注意点をお伝えします。

冷たいジュース

夏は暑い日が続き、冷たいジュースを飲むことが習慣になっていたという人もいるでしょう。ジュースやアイスなど冷たいものばかりを摂っていると内臓が冷えてしまい、自律神経のバランスが乱れて不調が起こりやすいのです。

また、甘い飲み物を飲みすぎると血糖値が上昇してのどが渇き、さらにジュースを飲んでしまうという悪循環に陥りやすくなります(※2)。水分を摂る際は水やお茶など糖分が入っていない飲み物を選びましょう。

冷たいそばやそうめん

冷たいそばやそうめん

夏は冷たいそばやそうめんなど、冷たい麺類を食べる機会が多かったのではないでしょうか。しかし秋になっても冷たいメニューばかり摂っていると、体の中から冷えてしまい、体の不調を招きます。涼しくなってきたら温かい麺類も取り入れてみてください。

また、麺類は炭水化物に偏りやすく、栄養バランスが崩れやすいメニューでもあります。栄養バランスが偏った食事を続けると体調不良の原因となるため、ビタミンやたんぱく質を補えるように組み合わせを工夫しましょう。たとえば、そばを頼むなら山菜やきのこ、玉子などが一緒に摂れるといいですね。

さつまいもや栗のスイーツ

秋になるとさつまいもや栗を使ったお菓子やスイーツが並びはじめ、つい手が伸びてしまう人も多いでしょう。筆者もさつまいもや栗は大好きで、秋は誘惑が多い季節です。

さつまいもや栗は、食物繊維やビタミン・カリウムなどが豊富で栄養価が高く、おやつにおすすめしたい食品です。しかし、糖質も多いため、砂糖やバターなどをたくさん使うケーキやお菓子などを選ぶと高カロリーになってしまいます。スイーツを摂りすぎると栄養バランスが乱れてしまい、不調の要因にもなるため、ほどほどに抑えましょう。1日の間食で摂るカロリーは200kcal程度が理想的です(※3)。

最近は甘栗や焼き芋など、素材そのものの形で販売されている商品も増えているため、なるべく加工度が低い商品を選びましょう。

秋バテ予防におすすめの食材

ここからは、秋バテ予防のためにおすすめしたい食材をご紹介します。秋に旬を迎える食材を選んだので、ぜひ参考にしてみてください。

鮭

秋に旬を迎える鮭は、DHAやEPA、良質なタンパク質やビタミンDなど、健康のために必要な栄養素が豊富に含まれているとされます。また、鮭の赤い色素のもとであるアスタキサンチンには抗酸化作用があり、免疫力の低下防止が期待できます(※4)。季節の変わり目に体調を崩しやすい人は、ぜひ摂ってみてください。

山芋

山芋はカリウムやマグネシウムなどのミネラル、ビタミンB群、ビタミンCなどをバランス良く含みます。また、山芋に含まれているネバネバ成分には胃粘膜を保護する働きがあり、ジアスターゼという消化酵素には胃腸の働きを促す効果が期待できます。夏に疲れた胃腸をいたわるために、とろろなどを取り入れるとよいでしょう。

きのこ

秋の味覚であるきのこ類も秋バテ予防におすすめの食材です。きのこには、食物繊維やビタミンD、ビタミンB群も含まれており、栄養価が高いうえに低カロリー。食物繊維を意識して摂ることで腸内環境が整い、免疫力アップが期待できます(※5)。また、ビタミンB群は疲労回復効果が期待できる栄養素です。これからの季節は味噌汁やスープなど温かいメニューに入れてもよいでしょう。

食事を工夫して秋バテを予防しましょう

食事を工夫して秋バテを予防しましょう

涼しくなってきた秋の初めにだるさや食欲不振などを感じたら、今回お伝えしたポイントを参考に食生活を見直してみましょう。秋バテを予防するためには適度な運動や睡眠をしっかり取ること、ゆっくり入浴して体を温めることなども大切です。毎日の生活習慣を整えて秋バテを予防し、心地よい秋を過ごしましょう。

【参考】
※1 全国健康保険協会.秋バテしていませんか?
※2 厚生労働省.e-ヘルスネット 嗜好飲料(アルコール飲料を除く)
※3 厚生労働省.e-ヘルスネット 間食のエネルギー(カロリー)
※4 厚生労働省.e-ヘルスネット 抗酸化物質
※5 厚生労働省.e-ヘルスネット 腸内細菌と健康

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筆者情報

寺内麻美
管理栄養士を取得後、病院での給食や栄養管理、クリニックで生活習慣病予防のための食事指導に携わる。現在はダイエットサポートやレシピ制作、根拠のあるデータをもとに食や健康コラムの執筆などを行なっている。