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ぐっすり眠れて集中力もUP! 香りのプロが教える「不調を改善する香りの選び方」

仕事に集中したいのになかなかスイッチが入らない。ストレスがたまってなんだかイライラしてしまう…。そんなときには、アロマを活用するのも一案です。気分に良い影響が出ることから集中力アップの可能性も。アロマの専門家が効果やシーン別のおすすめ精油、初心者向けの取り入れ方を解説します。

集中力アップやストレスケアにアロマを取り入れよう

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日々の生活で、集中力の低下やストレスに悩んでいませんか? さまざまな対策があるなかで、アロマの香りを取り入れるのもおすすめです。

例えば、今年のゴールデンウィークには、新しいアロマスポットに訪れてみるのも良いのでは?

2023年2月1日、東京・原宿にアロマの体験施設「AEAJグリーンテラス」がオープン。公益社団法人日本アロマ環境協会が手がけるもので、最大300種類もの世界中の精油の香りが試せる「アロマラボラトリー」や、ヒノキの香りに包まれながらオリジナルのボタニカルティーを堪能できる「アロマラウンジ」などがあり、たっぷりとアロマの世界に浸れます。

「AEAJグリーンテラス」

「AEAJグリーンテラス」の世界中の精油の香りが試せる「アロマラボラトリー」​。

もちろん、自宅でもアロマを取り入れることは可能。同協会理事長で薬剤師でもある熊谷千津さんに、アロマの効果やシーン別におすすめの精油をうかがいました。

アロマの香りの効果とは?

ーーアロマは、集中力をアップしたいときなどに、どのような効果があるのでしょうか?

熊谷さん アロマテラピーでは、花や葉、果皮などの植物から抽出される「精油(エッセンシャルオイル)」を用います。その香りが嗅覚を通じて脳に伝わることで、本能的な部分を司る大脳辺縁系や視床下部を刺激し、心身にさまざまな作用をもたらします。

ある小学生を対象とした実験では、スイートオレンジやペパーミント精油の香りを嗅いだ場合は、無臭の場合に比べ、計算問題の誤答率が下がったという研究結果が確認されています。

また、計算を行ったときの気分についても、ペパーミント精油を香らせたときには「集中している」「頭がスッキリ」「元気がある」、スイートオレンジ精油を香らせたときには「イライラしていない」「やる気がある」などの項目が有意に増加しました。

このような実験結果から、精油の香りが気分に好影響を与え、集中力がアップしたり、ミスが減ったりする可能性が考えられています。

4つのシーン別! おすすめ精油

ーーそこで熊谷さんに、日常でよくあるシーン別におすすめの精油を教えていただきました。

1.  朝や昼休み後の仕事はじめにシャキッと集中力が欲しいとき

熊谷さん 仕事はじめに集中力をアップさせたいときには、先ほどの実験でも紹介したペパーミントの爽やかな香りがおすすめです。

スーッとした香りが気持ちに区切りをつけて、快活な気分にしてくれます。食欲を抑えたり、頭をクールダウンしたりする作用も期待できます。同様にシャープさがある香りのローズマリーや、ユーカリ、レモンなどもおすすめです。

2.  ストレスをケアしたいとき

熊谷さん ストレスがたまっているときには、自律神経のバランスが乱れがちです。気持ちを落ち着かせる香りでゆっくりと深呼吸してみましょう。

自律神経のうち、副交感神経を優位に導いてリラックスするのを促すような、ラベンダーやフランキンセンス、スイートオレンジがおすすめです。イライラを鎮めるには、ローズやネロリ、ゼラニウムなど、フローラル調の優しい香りも良いでしょう。

3.  リラックスしたいとき・入浴中など

熊谷さん リラックスタイムにおすすめなのは、スイートマージョラムやイランイランの香り。ゆったりとした気持ちにしてくれます。

4.  眠れないとき

熊谷さん ストレスを軽減したいときと同様に、副交感神経を優位に導いてくれる、ラベンダーやスイートオレンジがおすすめです。ラベンダーは多くの実験で就寝前の気分を改善したり、睡眠の質をアップさせたりする結果が確認されています。

初心者におすすめ! 精油の取り入れ方

ーー精油というと、アロマディフューザーを用いて香らせるイメージがありますが、初めてだとちょっと面倒に感じてしまうかも。そこで初心者でも手軽に取り入れられる方法を、熊谷さんにうかがいました。

1.  ティッシュやコットンにたらす

熊谷さん 専用のアロマディフューザーがなくとも、ティッシュやコットンに数滴、精油をたらすだけでも香りを楽しめます。鼻に近づけたり、部屋に置いたりすると良いでしょう。

2.  アロマルームスプレーを手作りする

熊谷さん アロマルームスプレーもおすすめです。スプレー容器に無水エタノール5mlを入れ、精油を5~10滴たらし、よく振って混ぜます。その後、水を45ml程度加えたら完成です。

リフレッシュしたいときやリラックスしたいときなど、手軽に空間を香らせることができます。カーテンなどに使えるリネンスプレーにもなりますよ。

3. 入浴時に使用する

熊谷さん 入浴時に使用する場合は、バスタブのお湯に直接、精油をたらさないようにしましょう。そのお湯に入浴してしまうと皮膚に精油がついてしまうためです。精油の原液は皮膚に付くと刺激になりますので注意してください。

桶やマグカップにお湯を汲み、そのお湯に精油を数滴たらしてバスルーム内に置き、香りを楽しみましょう。

4. ネイルオイルに混ぜる

熊谷さん ネイルオイルに混ぜても使えます。ホホバオイルなどの植物油に対して精油が1%以下の割合になるよう、希釈して使用します。皮膚に直接塗布するのは避けてください。

ーー上手にアロマの香りを選べば、気分もリフレッシュできそうですね。集中力アップやストレスケアなどに精油を活用して、生活の質を向上させましょう。

Information

教えてくれた人… 熊谷 千津(くまがい・ちづ)さん

熊谷 千津さん

公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)理事長。アロマサイエンス研究所所長。博士(農学)。薬剤師。エビデンスに基づくアロマテラピーの普及に取り組む。

(C)RunPhoto/Getty Images