いまわたしたちにできること~美容・健康・環境も~

夕方に光を浴びるといい人も! 医師直伝「不眠タイプ別ぐっすり快眠テク」

秋はもっとも過ごしやすい時期。睡眠をたっぷりとりたくなりますよね。そんなとき眠れない、日中に眠くなるなどの睡眠悩みはありませんか? 不眠の4タイプ別に医師が対策を解説します。ぜひこの秋、ぐっすり眠りましょう!

秋はぐっすり快眠を目指そう!

不眠 解消 改善 解決 対処 快眠 熟睡 質 医師 漢方

これからの季節は、どんどん夜が長くなるとともに気温が低下し、ぐっすり眠るには良い時期です。でもそんなときに眠りたいのに眠れない、寝ても日中眠くて仕方がない、途中で目が覚めてしまうなどの睡眠悩みを抱えていると、つらいものがありますよね。

不眠症とまではいかなくとも、原因を知って何らかの方法で改善したいという人は多いはず。

そこで今回は、一般的な不眠のタイプ別に、自分でできる対処法を医師に教えていただきました。ぜひ自分の不眠タイプの対策を試してみましょう。

医師が解説! 4つの不眠のタイプ別対処法

今回お話をうかがったのは、「たまきクリニック」院長 玉木優子さんです。心療内科・漢方を中心に、睡眠に関するお悩みの相談も受けており、治療を行っています。

玉木さんによると、不眠のタイプは4つに分かれるのだそう。自分の不眠タイプはどれ? さっそく、対策を教えていただきましょう。また、それぞれのタイプにおすすめの漢方薬の例も合わせて教えていただきます。

玉木さん 漢方では不眠の要因となる疲労やストレスは気の巡りを乱すものと考え、不足している気は補い、過剰な気は鎮め、気の流れを良くして心を落ち着かせ、眠りを妨げる原因に働きかけ、良い眠りに導いていきます。おすすめする漢方薬はあくまでも一例ではありますが、ご参考にしてください。

1. 入眠障害:眠いのに寝つけない

玉木さん 入眠障害の方は、睡眠ホルモンであるメラトニンをしっかり分泌させるために、朝は決まった時刻に起きて、太陽の光を浴びることが大切です。曇りや雨の日でも同様です。

また、夜は脳の覚醒モードをリラックスモードに切り替えるため、カフェインなど覚醒作用のあるものの摂取は控え、食事は満腹でも空腹でもなくほどほどにしましょう。またカラダをリラックスさせれば自然に眠りやすくなりますので、ストレッチをするのもおすすめです。

次々と思考が止まらず覚醒してしまう場合は、意図的に思考を断ち切るために呼吸だけに集中する方法がおすすめです。

おすすめの漢方薬

玉木さん 一般的な寝つきの悪さには「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」、イライラや興奮で眠れないときは「抑肝散(よくかんさん)」や「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」等がよいでしょう。

2. 中途覚醒:夜中に起きてしまう

玉木さん 途中で目が覚めてしまったときは、仰向けのままお腹に手を当て、息を吸うときにお腹がふくらむ腹式呼吸をしてみましょう。息を吐く時間を吸う時間の2倍くらいにし、自分のカラダがだんだん床に沈み込むように意識すると、自律神経が副交感神経優位に変わっていき、リラックスできてきます。

おすすめの漢方薬

玉木さん なかなか眠れない場合は、一度起きて「抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)」や「加味帰脾湯(かみきひとう)」等を服用するとよいでしょう。

3. 早朝覚醒:2時間以上早く目覚めてしまう

玉木さん 早朝覚醒の方は、光のコントロールが重要です。日光を浴びることで睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が停止します。そして分泌が再開されるのが約15時間後といわれていますので、早い時間に日光を浴びるとその分、眠くなる時間が前倒しになってしまいます。

そこで遮光カーテンを利用し午前中の光を遮り、夕方に光を浴びるなどして体内時計の前倒しを防止してみましょう。

おすすめの漢方薬

玉木さん 早朝覚醒は抑うつ症状が背景にある場合も多いため、「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」や「加味帰脾湯(かみきひとう)」等がよいでしょう。

4. 熟眠障害:日中に眠くなる

玉木さん 熟眠障害の対策は、早朝覚醒とは逆に午前中からしっかり日光を浴びるのがおすすめです。エアコンや除湿器で温度・湿度を快適にし、自分に合った心地良い寝具を選びます。また就寝時間前に入浴でカラダを温め、ストレッチなどで心身をリラックスさせることも熟眠につながるため、積極的に取り入れましょう。

おすすめの漢方薬

玉木さん 寝ても疲れが取れず、熟眠が得られない場合は「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」「温経湯(うんけいとう)」等がよいでしょう。

ーー玉木さんによれば、今回紹介された不眠のタイプもおすすめの漢方も、あくまでも目安だといいます。医師は病態や体質・体力・生活様式などの環境要因を含めて、さまざまな要素から薬を選びます。また、市販の漢方薬を服用する際は、自分の体質や症状に合ったものを選ぶことが大切です。

病状の相談は心療内科や睡眠外来へ、漢方をドラッグストアなどで購入する場合は薬剤師や登録販売者へ相談してから、自分に合ったものを購入ましょう。

Information

●教えてくれた人…玉木優子(たまき・ゆうこ)さん

「たまきクリニック」院長。東京・自由が丘のたまきクリニックで心療内科・漢方を中心に西洋医学と東洋医学を統合させ心とカラダの両面からの医療をおこなっている。

(C)Inside Creative House/Getty Images