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実は、半身浴はダメ! プロ直伝「ぐっすり快眠できる」簡単なコツ

起きなければいけない時間よりも1時間も2時間も早く起きてしまう、早朝覚醒。もう少し寝たいのに…とヤキモキされている方もいらっしゃるようです。そこで、眠りとお風呂の専門家で公認心理師のSleepLIVE(株)代表・小林麻利子さんが早朝覚醒の対策をお伝えします。

1. 「自然な現象である」可能性もあります

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私たちの体内時計は、日の出時刻によってコントロールされています。例えば、夏は日の出時刻が早く、睡眠時間が冬よりも短くなる傾向にあり、起床時刻が早く、早起きがしやすくなります。

日の出時刻は季節によって大きく変わり、例えば東京の1月1日の日の出時刻は6:51ですが、6月6日では、4:25。日の出時刻が、約2時間半も違います。冬はそれだけ遅起きになりやすいと言えます。

今の時期はと言いますと、例えば5/15ですと日の出時刻は4:36。とても早いです。つまり、最近朝起きるのが早くなったなぁと感じるのは、日の出時刻が早いことで引き起こった自然現象かもしれません。

とはいえ、そんなに早く起きてしまえば、睡眠時間も短くなるし、しんどくなってしまう方もおられるかもしれません。

2. カーテン

まずは日の光が室内に入らないよう、カーテンで工夫しましょう。
皆さんのカーテンの遮光等級はどのくらいでしょうか? もし新しくするならば、寝室の方角によって遮光等級は変えた方がよいでしょう。

遮光1級は、遮光率99.99%以上で、光はほぼ入りません。寝室が東向きの場合は、早朝の低い位置からの光が入ってきますので、遮光1級がおすすめです。

南側や他の方角でも、外の明るさを感じやすい場合は、この遮光1級か、遮光率99.80-99.99%未満の遮光2級が良いでしょう。西や北向きなど、朝の光があまり入らないご家庭の場合は、99.40-99.80%未満の遮光3級や先ほどの遮光2級が良いでしょう。

遮光1級カーテンを使うと、光がほぼ入らないので、逆に朝目覚めにくいと感じる場合があります。その場合は、夏以外は、カーテンの隙間を少し開けておやすみすると良いでしょう。

3. そのまま起きてしまうのもあり

自然に早く起きてしまったとしても、午前中に眠気がなく、日中活動的に行動することができるのであれば、何度も二度寝を繰り返さず、潔くそのまま起きてしまうのもいいでしょう。早く起きすぎてしまったからと、二度寝三度寝を繰り返すと、かえって体がだるくなってしまったりして、日中の行動に影響が出る可能性もあります。

自然に早く起きた場合は、アラーム音などで起きた訳ではなく、眠りが浅くなったタイミングで自然に起きているため、寝起きが良いことが多いです。そのまま起きてしまって、朝の日の出を全身で浴びるのも気持ちが良いと言えます。

ただし、日の出時刻よりも1時間以上早く起きてしまった場合は、そもそも睡眠の質が悪い可能性があります。その日は二度寝を行い、日中は極力活動的に行動して、次の4、5の対策で睡眠の質をあげていきましょう。

4. しっかりお風呂に入って、その後、脳と体の体温を低下させる

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睡眠の質を高めるために、お風呂と睡眠は1セット! 就寝前にお風呂にしっかり浸かって、深部体温を一時的に上昇させることで、その後、通常よりもしっかり体温が低下し、寝つきもよくなり、睡眠の質も上がります。40度のお風呂に全身浴で15分浸かりましょう。だいたい40度、ではなく、水温計で測って、「確実」に40度になるようにしていただくことで、眠りの質がグッと上がります。

半身浴では、深部体温が短時間で上がりませんので非効率。心臓に疾患がある方を除いては全身浴一択です。

5. アロマの力で自律神経を整える

睡眠の質を高めるためには、寝る前の自律神経の副交感神経を優位にする必要があります。その対策の中でも最も簡単でたくさんの研究報告があるのは、アロマテラピー。嗅覚刺激は五感の中でも手っ取り早く、脳をリラックスさせます。

先述の通り、お風呂と睡眠は1セット! 寝る前だけでなく、入浴中から香りを感じることで、よりうっとりと心が休まります。

鎮静作用のある酢酸リナリルやリナロール成分が含まれるラベンダーが、結局、就寝前使用のものとして最も良いアロマといえます。さまざまな研究でそれが実証されていますし、筆者の会社でアロマの睡眠研究を行った際も、ラベンダーが用いられている精油は、寝つきが良くなる結果となりました。

6. 夏用の寝具を使用する

四季のある日本ですから、やはり気温・湿度によって寝具をチェンジすることは大変重要です。深く眠るためには、深部体温が低下する必要があり、その際に放熱するため、発汗します。その際に、手触りだけで選んだポリエステル素材のような非天然素材では、汗を吸い取って放散する機能が低いため、快適におやすみすることができません。

そのため、夏用の寝具として特化した、天然100%の綿や麻が用いられているものがベストです。もちろん肌触りも快眠には必要なポイントになるので、その点にもこだわりのある寝具が良いと言えます。

これらの対策をしても、なかなか早朝覚醒が改善せず、高頻度で数週間続き、ストレスを感じている場合は、あきらめず、睡眠を専門としている機関にご相談ください。

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眠りとお風呂の専門家
小林麻利子さん

同志社大学卒業、京都市出身。SleepLIVE株式会社代表取締役社長。生活習慣改善サロンFlura主催。公認心理師。科学的根拠のあるデータや研究を元に、睡眠と入浴を中心とした生活習慣を見直すことで、自律神経を改善していく指導が人気。約3,000名以上もの悩みを解決し、テレビや雑誌など、多くのメディアで活躍中。不規則な生活になりがちな、芸能人やモデル、アナウンサーへも指導。

企業向けには、健康経営や睡眠関連事業支援などを行う。著書に『入浴の質が睡眠を決める』(カンゼン)『不美人習慣を3日で整える熟睡の練習帳』(G.B.)など多数。プライベートは、3歳児と0歳児の母。

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