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快眠のコツは体温を下げること!? プロが教える「ぐっすり眠れる方法」6つ

睡眠中に何度も起きてしまったり、起きた後すっかり眠れなくなってしまったり…中途覚醒に悩む方は、加齢と共に増える傾向にありますが、コロナ禍の今、20代30代でも悩んでいる方は多いようです。みなさんはいかがでしょうか?
今回は、眠りとお風呂の専門家で公認心理師のSleepLIVE(株)代表・小林麻利子さんが、中途覚醒の原因と対策についてお伝えします。

問題のある覚醒と、問題のない覚醒

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中途覚醒とは、入眠障害、早朝覚醒、熟眠障害などと分類される、不眠症の1つで、途中で目覚めた後、再度寝付くことが困難であり、それが継続的に続いている場合、そう判断されます。実際は、不眠症とは言わなくても途中で起きてしまうことがストレスになっている方もいらっしゃいます。

睡眠中の覚醒には、問題ない覚醒と問題となる覚醒があります。前者は、1度や2度起きたとしても、すんなりとまた眠りにつけるものです。後者は、何度も起きてしまったり、起きた後に再度入眠することが困難な場合です。

通常、誰もが脳波上では睡眠中に覚醒している

筆者が経営している会社では、睡眠研究所を立ち上げ、睡眠研究も行なっています。睡眠効率が良かったり熟睡感がある方でも、脳波を測ると、眠中に何度か覚醒しています。覚醒の自覚がなくても、覚醒しているのです。

実際に、就寝すると浅い眠りから深い眠りに入ってまた浅い眠りに向かって…というように、睡眠中は常に深い眠りが続くわけではなく、浅くなったり深くなったりを繰り返しますので、浅くなった際に、何かのきっかけがあって覚醒してしまうということはいたって自然です。

だって、夜中にもし大きな地震が起こったら…もし強盗が入ったら…? 覚醒して自分の身を守らなければなりません。家族がいたらなおさらです。ですので、覚醒すること自体は悪いことではありません。

ただし、先ほどお伝えしたように、毎晩「問題のある覚醒」が繰り返されているならば、眠るということ自体がストレスに感じてしまうこともあります。そのための対策はきちんと行ったほうがいいですね!

睡眠中の覚醒の例

筆者のInstagramで、睡眠中の覚醒についての状況を調べると、以下のような回答がありました。一部をご紹介します。

1. 変な夢を見て寝汗をかいて起きたり、目覚ましが鳴らないか気になり起きてしまう。
2. 夜中の3〜4時頃、夫の動きで目が覚める。その後眠れず朝まで起きている。
3. 尿意や子どもの寝相で起きてしまう。
4. 夜12時に寝て2時までに3、4回ほど起きる。

皆さんはいかがでしょうか? それでは早速、睡眠中の覚醒の対策についてご紹介します!

対策1 深部体温の高低差を大きくする

中途覚醒の対策のために大切なことの1つ目は、脳や内臓などの深部体温の高低差を大きくすることです。大体19時頃が最も深部体温が高く、早朝4時頃が最も低いですが、日中の活動が少なければ、体温が上昇せず、その結果、夜はしっかり体温が下がらないことがわかっています。

日中、特に深部体温が高い19時前後に体温上昇できる習慣を取り入れて、体温上昇を図りましょう。最も効率が良いのは骨格筋を動かす運動です。運動と言っても、早歩きで帰宅したり、階段を1段飛ばしで上がったりと、できる範囲でOKです。汗がじんわり出るかどうか、を目安に行ってみましょう。

対策2 深部体温をしっかり急降下させる

だいたい就寝2、3時間前までは体温が高い状態で、そこから深部体温が低下し、睡眠に入るとさらに低下していくメカニズムがありますが、お風呂で一時的に深部体温を上昇させることで、通常よりもしっかり低下させることができます。

一時的に深部体温を上昇させるには、40度のお風呂に15分浸かること。こうすることで、深部体温が約0.5度上昇することがわかっています。15分が厳しければ、高濃度の炭酸ガス系の入浴剤を入れて5分短縮させたり、雑誌やリラックスグッズなどを持ち込んでお風呂の中を居間のようにして楽しく過ごしてみてください。

対策3 お風呂の入り方で就寝までの時間が変わる

深部体温を一時的に上昇した後、まず平熱まで下がり、その後、通常よりも深部体温が下がっていきます。就寝するタイミングは、平熱まで下がり、その後、さぁ今からさらに低下するぞ! というときです。体温が低すぎたり高すぎたりする状態では、睡眠持続時間が短くなってしまい中途覚醒が増えてしまうことがわかっています。

深部体温が一時的に上昇するまで浸かった場合は、暑い季節であれば、1時間〜2時間ほどあけてから就寝です。チャプンと浸かる程度だったりシャワーだけの場合は、汗が引いたら素早く寝室に入りましょう。深部体温が上昇しないので、体表面の血行が良い状態であれば、比較的早く深部体温が低下していきます。その場合も汗が引いてからお休みしましょう。

対策4 寝る前には交感神経を低下させる

就寝前に交感神経が刺激されている状態であれば、末端の血行が悪くなり、放熱を妨げてしまう可能性があります。寝る前15分間は、心からうっとりできるようなさまざまなツールを使ってリラックスさせましょう。

この状態は美容にも通じるため、筆者は「うっとり美容」と呼んでいます。

たとえば、ボディクリームやピローミストなど、天然アロマが使われているものを用いるのは簡単で取り入れやすいです。その際も、その香りを感じるように、ゆったりと呼吸を繰り返します。嗅覚の刺激だけでなく、意識的に呼吸が穏やかになることで、心拍自体も共鳴してゆっくりと穏やかに落ち着いていきます。

対策5 隣の人のいびきの対策

自分では制御できない、夫のいびきや外の音対策として、一番簡単なのは耳栓です。ロフトや東急ハンズの耳栓売り場に行くと、さまざまな種類の耳栓があります。それぞれそこまで高くありませんので、自分に合った耳栓を探すべく、いろいろ試してみるのも良いでしょう。隣に寝ている方のいびきであれば、横向き寝を促す枕や抱き枕などをプレゼントするなどして、いびきそのものを低減するサポートも良いでしょう。

対策6 睡眠に適した肌触りの良い寝具を用いる

睡眠中に、寝具が乱れて起きてしまったり、寝具が暑くて起きてしまったという方もいらっしゃいます。大切なことは深部体温の低下であり、その際に汗で熱が外に逃げる、放熱が行われます。そのとき、汗をしっかりと吸い取れない寝具を使っていると、暑くて起きてしまうことがあります。

夏は冷却素材の寝具などを用いる方も多いと思いますが、睡眠に適した寝具としては、極力天然100%のもので、通気性、吸放湿性が良いものがベスト。その上で、柔らかくて肌触りにこだわりのある寝具を用意するとよいでしょう。

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睡眠中に覚醒をしたとしても、気づかぬふりをしてお休みすることで、再度入眠しやすくなることも多いです。わざわざスマホや時計などを見ないで、「気のせい気のせい…」などと思いながらぜひ寝て見てください。今回ご紹介したことを合わせて行っていただき、ぜひ1人でも多くの方が、快適な眠りを得られますように。

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眠りとお風呂の専門家
小林麻利子さん

同志社大学卒業、京都市出身。SleepLIVE株式会社代表取締役社長。生活習慣改善サロンFlura主催。公認心理師。科学的根拠のあるデータや研究を元に、睡眠と入浴を中心とした生活習慣を見直すことで、自律神経を改善していく指導が人気。約3,000名以上もの悩みを解決し、テレビや雑誌など、多くのメディアで活躍中。不規則な生活になりがちな、芸能人やモデル、アナウンサーへも指導。

企業向けには、健康経営や睡眠関連事業支援などを行う。著書に『入浴の質が睡眠を決める』(カンゼン)『不美人習慣を3日で整える熟睡の練習帳』(G.B.)など多数。プライベートは、3歳児と0歳児の母。

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