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日焼け止めを塗ると出てくる「白いモロモロ」の正体は?【皮膚科医に聞く】原因とキレイに塗る方法

日焼け止めを塗ると、消しゴムのカスのような白い“モロモロ”が出た経験はありませんか? 皮膚科医の小林智子先生は「モロモロが出たら日焼け止めの効果は半減」と話します。美容ライターが「『内側からきれいに』UVケア勉強会」に参加して、モロモロが出ないようにする対処法を教えていただきました。

日焼け止めを塗ると出る”モロモロ”の正体

©artiemedvedev/Adobe Stock
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小林先生 診察時やSNSで「日焼け止めに関して何か質問はありますか?」と質問を募ると必ず出てくるのが「日焼け止めを塗ると、白い消しゴムのカスのようなものが出るのですが、どうしたら良いでしょうか」という質問です。よく“モロモロ”と言われるものですね。

モロモロの正体は、ウォーターベースタイプの日焼け止めに配合されている増粘剤です。
増粘剤はテクスチャーをよくするために配合されていて、日焼け止め以外にもトロっとした化粧水やオールインワンゲルなどのスキンケアアイテムにも配合されています。また、増粘剤配合の日焼け止めを使用している際に、ビタミンC配合の保湿アイテムを併用するとモロモロが出やすいと言われています。

日焼け止めのモロモロを防ぐ3つのポイント

ーーモロモロの正体は、日焼け止めに含まれている成分だったのですね! 日焼け止めを使う以上はモロモロが出てしまうのは仕方ないことなのでしょうか。モロモロを防ぐ方法はありますか?

日焼け止めのモロモロを防ぐ3つのポイント

  1. オイルベースの日焼け止めを選ぶ
  2. 日焼け止めを塗る前に、ビタミンC配合のトロっとした保湿アイテムは避ける
  3. 日焼け止めは、すり込むように塗らず「点置き」して塗る

小林先生 モロモロを防ぐには3つポイントがあります。まず、ウォーターベースタイプの日焼け止めには増粘剤が含まれているので、オイルベースの日焼け止めを選ぶこと。次に、先ほどお伝えしたように、日焼け止め前にビタミンC配合のトロっとした保湿アイテムの使用は避けましょう。

さらに、塗り方にも注意してみましょう。
指先で日焼け止めをすり込むように塗ると、摩擦で日焼け止めがダマ(モロモロ)になりやすいです。日焼け止めは、両頬、額、あご先、鼻先の5カ所に点置きして、広げていくとムラなく塗れます。

ーー小林先生曰く「モロモロが出たら、その分日焼け止めが取れてしまっているので日焼け止め効果は半減します」ということなので、上記のポイントを意識してしっかり対策しましょう!

日焼け止めの新基準「UV耐久性」とは?

ーー日焼け止めの耐水性については、2022年から試験的に「UV耐水性表示」※が始まりました。店頭に並んでいる日焼け止めをよく見ると「UV耐水性★」「UV耐水性★★」と記載されている商品があります。今年新しく日焼け止めを買うとしたら、耐水性の表記があるアイテムを選んだ方が良いですか?

小林先生 日焼け止めは「SPF」と「PA」の表記は必須ですが、耐水性の表記は任意です。耐水性の試験は、とてもお金がかかるものなので、大手は試験をするかもしれませんがあくまでも任意のため耐水性の試験をしない会社もあると思います。

そのため表記の有無が各メーカーよって異なりますが、一つの基準として表記があれば安心ではあります。ちなみに、耐水性の表記は日本独自のものです。

耐水性表記の有無に関わらず、汗をかく真夏や海のレジャーシーンで耐水性を意識したい場合は、シャカシャカ振って使うオイルベースの日焼け止めを選ぶと良いですよ。油は水を弾く性質があるので、オイルベースを選ぶだけで落ちにくくなります。

※日焼け止めの新基準「UV耐水性」とは
日本化粧品工業連合会が定めた、SPFを対象とする水に濡れた状態でも一定の紫外線防止効果が維持されることを意味する基準。強さの段階は★(もしくは☆)の数で記されます。40分間水に浸かり50%以上耐水性効果があると認められた場合は「UV耐水性★」、80分間水に浸かり50%以上耐水性効果があると認められた場合は「UV耐水性★★」と表記されます。

美肌を目指すなら「日焼け止め」+「緑黄色野菜」

皮膚科医 小林智子先生
皮膚科医 小林智子先生

小林先生 美肌を維持するためには、日焼け止めと同時に食事内容にも意識を向けることが大切です。緑黄色野菜を摂取することで、紫外線対策を補完しましょう。

にんじんやトマトなどの緑黄色野菜に多く含まれている成分「カロテロイド」は、紫外線によって生まれる活性酸素を除去する働きがあります。活性酸素の刺激が肌の奥でメラニンを作り、これがシミの元である「隠れジミ」になるといった悪影響も及ぼすので、健康や美容のためにも緑黄色野菜をおすすめします。

カロテロイドの一種で、にんじんに多く含まれている「β-カロテン」は、皮膚や粘膜の生成や維持につながります。トマトに多く含まれている「リコピン」も、カロテノイドの一種で活性酸素を除去して紫外線による炎症を軽減させる働きが期待できます。β‐カロテンもリコピンも体内でつく出すことができない成分なので、継続的に外部から補うことが大切です。

また、β-カロテンもリコピンも生で食べるより加工した方が体内への吸収率が高いことがわかっているので、野菜ジュースや炒め物で摂るとより良いですよ。加工によって失われる成分もありますので、紫外線が気になる方は様々な方法で緑黄色野菜を摂ってみてください。

ーー小林先生直伝の「日焼け止めのモロモロ対策」と「インナーケア」をダブルで行うと、外側と内側から紫外線対策ができます。今年の夏からぜひ意識してみてくださいね!

<教えてくれた人>

小林智子さん
皮膚科専門医・医学博士。日本医科大学医学部卒業後、名古屋大学皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了。2015年よりアメリカ Northwestern大学でポストマスターフェローとして、皮膚科の臨床研究に従事。
帰国後は同志社大学アンチエイジングセンターにて糖化についての研究を行う。医学的な立場から食事、健康、美容情報を発信するブランド「ドクターレシピ」を監修。

<筆者情報>

玉絵ゆきの(たまえ・ゆきの)

anan等Webメディアの記事執筆&書籍制作を手掛ける美容ライター。タレント、美容家、医師等のインタビュー実績も多数。書籍実績はこれまで6冊。

ライター・玉絵のX(旧Twitter)&Instagramはこちら。
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https://twitter.com/YUKINOte_
Instagram
https://www.instagram.com/tamae_yukino

<Information>

カゴメ あざやか生活研究所
www.kagome.co.jp/company/nutrition-health/azayakaseikatsu

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