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ちょっとした不調も我慢しないで…! 女医が解説「プレ更年期の過ごし方」

“プレ更年期”という言葉を耳にしたことがあるでしょうか? 実はこの言葉、医学的な正式な用語ではありません。しかし、多くの女性が「更年期」の前段階として感じる体調の変化や心の揺らぎを指して使われています。今回は、更年期が近づいていると感じる女性に向けて、適切な心構えと過ごし方についてお話しします。我慢することは決して良いことではありません。自分の身体と向き合い、適切に対処していくためのヒントをお伝えします。

プレ更年期とは?

プレ更年期とは?

まず、プレ更年期とは何かを確認しましょう。医学的には「更年期」という言葉は、閉経前後の数年間を指します。この期間は、卵巣の機能が低下し、女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少することで、様々な体調変化が起こります。

一方、プレ更年期というのは、更年期に入る前という意味合いで、医学用語ではありませんが、更年期の前の期間で、まだ月経があるものの、ホルモンバランスが徐々に崩れ始める時期を指して使用されることが多いです。

更年期のサインとは?

更年期にはいくつかの兆候があります。以下の症状が当てはまる場合、更年期の可能性があります。

不規則な月経: 月経周期が乱れることが増えてきた。
気分の変動 : イライラや不安感が増えた。
体の不調  : 疲れやすさや睡眠障害、ほてりなど。

これらの症状が見られ、日常生活に支障を来しているという方は、まずは無理をせず、医師に相談することをおすすめします。

NGな行動とは?

NGな行動とは?

更年期に突入する女性がやってしまいがちなNG行動をいくつか紹介します。これらを避け、より良い日常を過ごすための方法を考えましょう。

1.自分を責める

更年期の症状が出てくると、自分の不調や感情の変動に対して自己嫌悪に陥ることがあります。しかし、これらの変化はホルモンバランスの崩れによるもので、決してあなた自身のせいではありません。自分を責めるのではなく、まずは自分の状態を受け入れることが大切です。

2.我慢する

日本の女性は、体調の不調を我慢してしまう傾向があります。しかし、更年期の症状を無理に耐えることは、逆に症状を悪化させる原因になります。例えば、睡眠障害やほてりが続くと、心身のストレスが増大し、さらなる不調を招くことになります。また、更年期症状だと思っていたら、実は他の病気が隠れていたということもあったりするので、自己判断で我慢するのはやめておきましょう。

3.運動不足になる

不調を感じると、運動を避けがちになります。しかし、運動不足は体力の低下やストレスの増大を招くため、逆効果です。適度な運動はホルモンバランスの安定を助け、気分の改善にもつながります。特に、リズミカルな運動はメンタルの安定にプラスに働くことが知られていますので、気分転換に無理のない範囲でウォーキングなどを取り入れてみるといいですね。

プレ更年期を乗り越えるためのアドバイス

プレ更年期を乗り越えるためのアドバイス

1.自分の状態を知る

まずは、自分の体調や感情の変動を把握することが大切です。日記やアプリで体調を記録することで、どのような変化があるのかを知り、必要に応じて医師に相談することができます。

2.ストレスを溜めない

更年期の症状はストレスによって悪化することがあります。趣味やリラクゼーションを取り入れることで、ストレスを軽減し、心身のバランスを保つことが重要です。

3.適度な運動を取り入れる

ウォーキングやヨガなどの軽い運動は、ホルモンバランスを整え、心身のリフレッシュに役立ちます。無理なく続けられる運動を習慣化しましょう。

4.栄養バランスの取れた食事

更年期に向けて、体に必要な栄養素をバランスよく摂取することが大切です。特に、閉経後は骨粗鬆症のリスクが高まるとされるため、骨を守るためにカルシウムやビタミンDなどを意識して摂るようにしましょう。

女性の場合、更年期を経て閉経を迎えると、今まで体を守ってくれていたエストロゲンによるプラスの影響がなくなるため、悪玉コレステロール値が上昇しやすくなったり、骨が弱くなりやすくなったりすることも。そのため、以後の健康維持のためにも、自分の食生活や栄養について考えてみるきっかけにするといいですね。

おわりに

更年期は、女性にとって身体的・精神的な変化の多い時期です。しかし、我慢するのではなく、自分の身体と心に寄り添い、適切に対処することで、この時期を快適に過ごすことができます。この記事で紹介したアドバイスを参考にして、恐れることなく、更年期に向けた準備を進めましょう。
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筆者情報

ちえこ-1-1-768x213-1-2

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは4人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は17万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ
X:@mamajoy_chieko