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実は五月病の予兆かも… 女医が教える「心身の不調をケアする対処法」

今の時期、新しい環境に適応しようとしてたまったストレスが爆発して、心身の不調を招いてしまうことがあります。今回は、五月病の症状とおすすめの対処法について、女医である筆者が詳しくお伝えしていきます。

五月病の症状と見分け方

実は五月病の予兆かも… 女医が教える「心身の不調をケアする対処法」

五月病の症状には個人差がありますが、以下のようなものが挙げられます。

・無気力感
・睡眠障害
・食欲不振
・頭痛
・イライラ
・憂うつ感

これらの症状が続く場合、五月病の可能性があります。五月病とは、実は医学的な病名ではありません(※1)。さまざまなストレスが原因で発症する適応障害やうつ病、あるいはそれらの予備軍状態を総称したものといえます。

五月病の原因

五月病の主な原因は、新しい環境や人間関係、仕事の負担などによるストレスなどが考えられます。また、春先の気圧の変化や気温の変動も、五月病を引き起こす要因となるでしょう。

おすすめの対処法

ここでは五月病の対処法を5つご紹介します。それぞれ具体的に見ていきましょう。

1.休息をとる

休息をとる

五月病の症状が現れたら、まずは十分な休息をとることが大切です。疲れがたまりすぎると、気分が落ち込む、イライラする、考えがまとまらない、不眠になる……など様々な症状が悪化することがあります。疲れをとるためには、まずは睡眠が大切。睡眠時間を確保することはもちろんですが、睡眠の質にもこだわってみてください。

睡眠の質を上げるためには、光や音をできる限り遮断しましょう。睡眠中は真っ暗になるように、寝室のカーテンを遮光性能の高いものにしたり、電気製品のランプ部分に目張りをしたりするのもいいですね。騒音対策としては、遮音性の高いカーテンなども販売されています。難しい方は、アイマスクや耳栓といったアイテムを活用してみましょう。

熟睡できるように、枕や寝具を調整するのもおすすめです。また、夕方以降はカフェインの摂取を避けましょう。睡眠時間は、7~8時間を目安として十分に確保してください。

2.リラックスできる方法を見つける

ストレスを軽減する方法を見つけることも重要です。仕事や人間関係のストレスなどを忘れてリラックスできる時間をつくってみましょう。リラックスできる趣味や音楽、アロマテラピーなど、自分に合った方法を探してみてください。

3.適度な運動を行う

適度な運動を行う

適度な運動はストレスを軽減し、心身をリフレッシュさせることにつながります。運動をすると、ストレスホルモンが代謝される働きが高まり、ストレスホルモンによる体への悪影響が減るといわれています。散歩やジョギング、ヨガなど、無理のない範囲で運動して気持ちよく汗をかきましょう。

4.人間関係や仕事の悩みを相談する

人間関係や仕事の悩みが五月病の原因になることがあります。ひとりで抱え込まず、信頼できる友人や家族に相談することで、気持ちが楽になることも。また、職場の上司や産業医に業務の悩みを相談してみるのも、状況改善に役立つかもしれません。

5.栄養バランスの良い食事をとる

栄養バランスの良い食事をとる

五月病の症状を緩和するためには、栄養バランスの良い食事をとることが大切です。ビタミンやミネラルを豊富に含む食品を摂取し、アルコールは控えてください。具体的には、次のようなビタミン・ミネラルを十分にとりましょう。

・ビタミンB1…疲労回復
・ビタミンB3(ナイアシン)…不安、不眠、緊張、注意力低下といった症状を緩和
・カルシウム、マグネシウム…メンタルの安定と筋肉の正常な働きのため
・ビタミンB6、葉酸…メンタルを安定させるセロトニンを体内で合成するため

6.必要に応じて医師に相談する

五月病の症状が重く、自身での対処が難しい場合は、専門家に相談することをおすすめします。医師による適切な診断と治療が、症状の改善につながります。

まとめ

五月病の予防や症状の改善のためには、休息をとる、リラックスする方法を見つける、適度に運動する、栄養バランスの良い食事をとるなどが役立ちます。

メンタル悪化の初期症状は、意外と自分では気付きにくい場合も。五月病は、誰にでも症状が出る可能性があるものです。今回ご紹介した対処法を行っても症状が続くような場合は、早めに医師に相談することをおすすめします。

【参考】
※1 厚生労働省.こころの耳 5月「五月病」とのつきあい方

©︎Ghislain & Marie David de Lossy/Westend61/AN Studio/Yagi Studio/gettyimages

ママ女医ちえこ

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは3人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の身体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は14万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ