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雨の日の頭痛、怠さ…プロに聞く『スッキリ対策5』

今の時期でも快適に過ごす方法を自律神経を整えることを専門にされている、眠りとお風呂の専門家で、SleepLIVE(株)代表の小林麻利子さんに伺いました。

気圧や気温の差で不調になる、気象病

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全体的に気温が高くなったとはいえ、梅雨の時期は時折ひんやりとした気温が低めの日もあります。そんな雨の日は、1日の中の寒暖差に加え気圧差もあり、前後日が晴れであれば日ごとの寒暖差など、空気や気温の変動が大きくなります。

気象の変化によって不調になることを気象病と呼びますが、こうした変化に自律神経が敏感に対応しようとした結果、過剰に自律神経が働き、うまく対応できずに、頭痛やだるさなど、体のさまざまな症状が出やすくなるのです。

自律神経と内分泌は密接に関わるため、特に月経や更年期の時期は、気象の変化が自律神経に働き、内分泌に影響し、時期によっては体に強く症状が出ることもあります。

気圧の変化で自律神経が乱れてしまうと、睡眠にも影響が及びます。
本来は、寝る前は副交感神経が優位になって、耳を含め体の末端の血管は拡張してぽかぽかするものですが、自律神経が乱れた状態で血流が悪くなっていると、内臓などの体の深部体温が放熱しづらくなり、体温の低下を妨げてしまいます。
私達は就寝すると、深部体温がどんどん低下していき、深い眠りに到達するようになっていますが、この状態の場合、寝つきが悪くなったり、たとえ眠れたとしても途中で何度か起きてしまいます。

また寝る前に副交感神経がしっかり優位になっていなければ、深い睡眠に入りづらくなりますので、当然睡眠に課題が出てしまいます。

日本は世界平均の2倍の降水量!

少し前の調査になりますが、トリップアドバイザーの調査によると、世界1891か所において1961〜1990年の間で1日のうちに合計で0.1ミリ以上降雨量があった日をカウントした結果、東京の降水日数は113.2日、つまり31%という結果でした。日本で最も雨の多い上越では206.9日で56%。すごい数字です。

そして日本の1年間の降水量は1,718mmであり、世界平均880mmの約2倍にあたります。晴れが好きな筆者としては、衝撃の結果でした。

あなたはこの結果に落胆しますか? でも、これは事実。この状況を受け入れて、今こそ、どんな状況でも快適に過ごすことができるような対策を行っていきましょう!

まずは睡眠負債の返済を!

日本人はとにかく睡眠時間が短く、睡眠満足度が低いことが知られています。休日に平日よりも2時間以上睡眠時間が長くなれば、それは睡眠負債が蓄積している証拠。しかし睡眠負債というのは、お金の借金とは違い、ちょっと長く寝たくらいでは返済が難しいもの。睡眠の質を高くして、毎日少しずつ返済する計画が必要になります。

休前日から実行! 最適睡眠時間の目安を知る

自分に必要な睡眠時間を測ります。土日が休みなら金曜日の夜から、3連休以上の長期休みがあれば、休前日から行っていきましょう。

まずはいつもの就寝時刻に寝るようにします。休前日だから遅寝は今日は厳禁。この時、ただ寝るのではなく、睡眠の質を高めるために、お風呂に浸かりましょう。

先に頭を洗い、40度のお風呂に全身浴で15分しっかり浸かったら、1時間を目安にお風呂から上がり、汗が引いたら眠りに入ります。睡眠に誘導するメラトニンをきちんと分泌させるため、浴室や寝室の照明を消して、浴室に入るときは脱衣所の光を、寝室で寝る前のリラックスの際は、フットライトなどの間接照明の利用を利用します。

そして就寝し、朝起きた時の時刻をメモします。睡眠負債がある状態では、睡眠時間ははじめは長く出るはず。人によっては返済されるまで数週間かかるため、この3連休で正確な睡眠時間が出ることはないかもしれませんが、その目安を探るべく、2日目3日目も同じように過ごしてみて起床時刻をメモして睡眠時間を出してみます。

これを目安に就寝を

この睡眠時間を目安にして、起きなければならない時刻から逆算して就寝時刻を定めます。平日も同じような過ごし方でお休みし、朝、たとえ考えている以上に早く起きた場合でも、睡眠時間が6時間以上あって、目がしっかり覚めて心地よく起きられたのであれば、そのまま起きておきます。

もし、午前中に眠くなるようであれば、睡眠時間や睡眠の質に課題があるかもしれません。先ほどの入浴法で水温や時間を再度確認したり、入浴剤を利用したりして、お風呂の質を高めてから、おやすみします。

月経前は特にお風呂に浸かる

先述の通り、月経周期によって症状が強くなることもあります。月経から約2週間前は、基礎体温が上昇して高温期になります。本来なら就寝前から深部体温が下がって、就寝後さらに体温が下がりますが、月経前はあまり下がらないことがわかっています。

その対策も兼ねて、先ほどの湯船の入り方をして、深部体温を一時的に上昇させ、その後の急降下を物理的に作っていきます。

シャワーとドライヤーで耳周りを温める

気象病と関係のある耳の周辺は、しっかり血流をよくしておきましょう。耳は体の他の部分よりも露出しているため、外気温に左右されがちです。不調になる方は必ず、この部分の血流をよくするよう、常日頃からモミモミマッサージしたり、耳全体を包み込んだりして柔らかくしておきましょう。

またお風呂に入ってシャワーを使う際は、耳の中にお湯が入らないよう手で工夫しながら耳の裏側にシャワーをかけます。またお風呂上がりのドライヤーの際は、顔から少し離して、耳や耳の周りを暖めておきます。

寝る前は副交感神経を刺激する

気象病になりやすい方は、普段から寝る前に自律神経を整える機会があまりないこともあるようです。寝る直前までSNSを見たりゲームをしたり、考えごとなどはされていませんか?

ゆったりしているかもしれませんが、副交感神経が刺激されているわけではないかもしれません。

特におすすめは深呼吸。吐けば、心臓の副交感神経が刺激されますので、吐く息を長くした呼吸を行なっていきます。

このとき、アロマ精油100%のボディオイルなどを手のひらに広げて、両手で鼻のあたりを包んでいただき、手の中の香りをしっかり感じながら、呼吸をゆったり繰り返していきます。

香りがあるおかげで、ゆったりと吸ってゆったりと吐くという楽な呼吸がしやすくなります。また、香りも、交感神経を低下させて血圧を低下させることが実証されている、リナロールや酢酸リナリルが成分のラベンダーがおすすめです。

顔、耳をタオルで包んでおやすみする

寒暖差が特に大きい地域では、まだまだ朝晩は寒いこともあります。1枚タオルを用意して、耳やお口、首あたりを包むようにして保温して、おやすみすることで、快適に就寝することも可能になります。

いかがでしたでしょうか? できる範囲でいいので、ぜひ実践してみてくださいね!

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眠りとお風呂の専門家
小林麻利子さん

同志社大学卒業、京都市出身。SleepLIVE株式会社代表取締役社長。生活習慣改善サロンFlura主催。公認心理師。科学的根拠のあるデータや研究を元に、睡眠と入浴を中心とした生活習慣を見直すことで、自律神経を改善していく指導が人気。約3,000名以上もの悩みを解決し、テレビや雑誌など、多くのメディアで活躍中。不規則な生活になりがちな、芸能人やモデル、アナウンサーへも指導。

企業向けには、健康経営や睡眠関連事業支援などを行う。著書に『入浴の質が睡眠を決める』(カンゼン)『不美人習慣を3日で整える熟睡の練習帳』(G.B.)など多数。プライベートは、3歳児と0歳児の母。

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