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月経前症候群の原因は睡眠の質かも! 専門家直伝「自律神経を整え快眠できる」方法

月経前は決まってイライラしたり、憂鬱になったり、自分を過度に責めてしまったり…生理前だから当然! と、半ば諦めている方は少なくないようです。しかも、月経が始まれば症状が軽減ないし消失するため、改善せねばならないという意識自体が低いという問題もあります。でも、辛い症状を放置するのはもったいない! 限りある人生、1度きりの人生。月経前でも快適に過ごすことができるように、眠りとお風呂の専門家でSleepLIVE(株)代表の小林麻利子さんに聞きました。

月経と睡眠の関係からの対策

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月経前数日間にわたる、精神的・身体的な症状をPMS(月経前症候群)といい、特に精神症状が強く生じている状態を、PMDD(月経前気分不快障害)と呼んでいます。原因はさまざまですが、今回は月経と睡眠の関係から解説し、対策を述べていきます。

月経前は深部体温が下がりにくい

体の内側の深部体温は1日の中で変動があります。19時頃が最も高く、就寝2~3時間前から体温が下がっていき、就寝後さらに体温が下がり、最も低くなる早朝4時頃に向けて深部体温が下がっていき、覚醒に向けて体温が上がるというリズムがあります。

私たちは、深部体温が低下することで覚醒度が下がり、深い眠りに入れるようになっていますが、月経前は、この深部体温がしっかり低下していかないことがわかっています。つまり、月経前は寝つきが悪くなります。寝つきが悪くなり、深い眠りまでの到達スピードが遅くなれば、総睡眠時間内での深い眠りの長さが短くなってしまい、睡眠中の覚醒が増えることも多くなります。

月経前はメラトニン分泌も少ない

日中はつらつと過ごすために必要なセロトニンは、太陽を浴びたり、歩行などのリズム運動をすることで分泌します。夜暗くなると睡眠を促し安定させるメラトニンが分泌します。
しかし、月経前は、メラトニン分泌も通常よりも少なくなるということがわかっています。

月経前は睡眠の質が悪い

このように月経前は、深部体温もメラトニン分泌も両方とも課題が生じやすく、結果、睡眠の質が悪くなってしまいます。

睡眠の質が悪くなると、前頭連合野という論理的思考に関係のあるおでこのあたりの脳機能が低下することがわかっています。

低下すると、論理的な思考が難しくなり、普段ならイライラしないようなことでもイライラしたり、自分を責めてしまって自己嫌悪に落ちいりがち。もしかしたら、あなたは、睡眠の質が悪いことで、前頭連合野の働きが悪くなり、メンタル面に影響が出ているかもしれません。

とにかく、睡眠の質をあげよう!

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月経前の睡眠の質を高めるための対策を考えていきましょう!

1. 月経前は40.5度のお風呂に15~20分浸かる
通常ですと、40度のお風呂に15分浸かることで、深部体温が約0.5度上昇させられるのでその入浴法で問題ありませんが、月経前でPMSの症状が出ている場合、温度を少し上げて、時間も15~20分と長くしていきましょう。

給湯器の温度設定とは、実際のお風呂の温度を測っているわけではないので、実際の温度とかけ離れていることもあります。可能ならば水温計をご用意いただき、自宅のお風呂の水温を測ってみましょう。ぷかぷかと浮くタイプのものであれば、手軽に測ることが可能です。

2. 夕飯前の運動で体温の高低差を高める
体温というのは面白く、日中体温があがれば、その分体温が下がるという性質があります。これを利用して、夕飯前、例えば18時とか19時頃に、軽くランニングしたり、ジムやヨガに行ったりと、体温をあげていきましょう。この時、汗がじんわり出るほど行うのがポイントです。汗が出るということは、体温が上がったので、放熱して深部体温が下がっているという証です。

3. 日中セロトニンをたくさん分泌させる
先述のように、睡眠を安定させるメラトニンは、月経前には少なくなる傾向にあります。そのため、日中にしっかり日光浴をしたり、電車やホームなどでは日光があたるところで電車を待ったり、お昼ご飯はお昼休みに買いに出かけたり外で食べたりと、工夫をしてみましょう! セロトニンが日中分泌することで、夜、暗くなってきたときにメラトニンの分泌を促してくれます。

4. ガムを噛んだり一定の速度のウォーキング
ガムの咀嚼やウォーキングなどは、一定の速度で時を刻みますが、メラトニンの前身であるセロトニンを分泌させてくれます。

忙しくて食事時間があまり取れないようであれば、食前5分間ガムを噛んでみてください。セロトニンの分泌だけでなく、食事時間が延びることで満腹中枢も刺激できます。

上記以外にも、寝る前にアロマのピローミストやキャンドルをともしたりと、自律神経の副交感神経を刺激できるようなケアを取り入れて、リラックスゆっくりお休みしてくださいね!

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眠りとお風呂の専門家
小林麻利子さん

同志社大学卒業、京都市出身。SleepLIVE株式会社代表取締役社長。生活習慣改善サロンFlura主催。公認心理師。科学的根拠のあるデータや研究を元に、睡眠と入浴を中心とした生活習慣を見直すことで、自律神経を改善していく指導が人気。約3,000名以上もの悩みを解決し、テレビや雑誌など、多くのメディアで活躍中。不規則な生活になりがちな、芸能人やモデル、アナウンサーへも指導。

企業向けには、健康経営や睡眠関連事業支援などを行う。著書に『入浴の質が睡眠を決める』(カンゼン)『不美人習慣を3日で整える熟睡の練習帳』(G.B.)など多数。プライベートは、3歳児と0歳児の母。

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(C)Brooke Fasani Auchincloss/Getty Images