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快眠できて体調が良くなる! プロ直伝「梅雨前の今するべき」毎日習慣

梅雨に入ると、低気圧による頭痛や疲れ、むくみ、気温と湿度の上昇に伴う汗や皮脂の分泌過剰…、エアコン使用による乾燥肌に、もちろん紫外線も気になります。さまざまな体のプチ不調に陥りやすい方は、心配の種ですよね。でも、実は梅雨に入ってから対策をするのではなく、その前に対策することが大切なようです。今回は、梅雨に入る前に行う美容習慣を、眠りとお風呂の専門家で、SleepLIVE(株)代表の小林麻利子さんにうかがいました。

1.肌の体内時計を整える

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梅雨に入る前に行いたいのは、肌の体内時計を整えていくことです。皮膚は、夜はお肌の修復に、昼間は太陽から身を守る防御にといったように、時間によって機能を変化させる体内時計が備わっています。体内時計が乱れた状態では、修復機能や防御機能が低下してしまうので、肌荒れやシミ、しわといった老化サインの増加につながることがわかっています。

そのため、肌に本来備わっている機能を整えてあげることが大切です。しかし、梅雨に入ってから気をつけるのでは遅い! 体内時計は1日で整えられるものではありませんので、今から数日かけて、リズムを整えていきましょう。

2.体内時計の司令塔を味方につける

体内時計を整えるために大切にしたいのは、体の細胞や臓器に備わっている体内時計を取りまとめている、体内時計の司令塔を味方につけることです。具体的には、目と目の奥にある、視交叉上核という部分が、体内時計の司令塔になるのですが、この部分は、明るさと暗さから判断して、「今は朝である、夜である」と認識しています。

朝起きたときに、カーテンを開けて光を浴びたほうがいいとよく言うのは、目から光の情報を取り入れ、視交叉上核に、「今、朝だよ!」と信号を送り、体を朝モードに切り替えるためなのです。太陽が高いところまで昇っているのに、部屋を真っ暗にして遅くまで寝ていたり、太陽が沈んで深夜になったのに、電気が煌々とついている部屋でスマホやテレビを観ていたりすると、視交叉上核の体内時計は混乱してしまって、体内時計が乱れてしまいます。

3.体内時計が後ろにずれてしまうと…

光を夜遅くまで浴びる生活をしてしまうと、眠りの質を高める「メラトニン」というホルモンの分泌が遅くなります。メラトニンは強い抗酸化作用があるため、メラトニンの分泌が遅く、総分泌量も少なくなってしまえば、活性酸素が適切に処理されず、肌荒れしてしまったり、日焼けした肌の修復が遅くなってしまったりと、お肌にとってもよくありません。

夜更かしはなんとなく美容によくないと思う方は多いと思いますが、睡眠の質の低下がお肌に与える影響の1つにメラトニンの分泌不足があるのです。

4.土日も平日も基本的に同じ時刻に起床を!

大切なことは、土日だから遅寝遅起き、平日だから早寝…といったように、日によって起床就寝時刻を変えないことです。土日の遅寝遅起きは体内時計を後ろにずらし、平日になったからといって、即座に体内時計を前に戻すことは不可能。

土日に遅起きになってしまうその理由は、平日がそもそも睡眠時間が足りておらず、睡眠負債が蓄積している状態かもしれません。たかが睡眠、されど睡眠。高い化粧品を導入する前に、まずは睡眠を見直し、お肌の修復力を底上げしていきましょう!

5.残業帰りは電車の中でブルーライトカット眼鏡を装着

夜の電車は、外界の暗さとは反して、かなり明るく感じます。いつもなら自宅でゆっくりしている時間帯に、残業や飲み会などで帰りが遅くなったら、潔くブルーライトカット眼鏡をかけて帰宅するのもよいでしょう。

メラトニンは暗くならないと分泌しません。帰宅後も居間の照明をたくさんつけるのではなく、間接照明にとどめておき、入浴する際は、浴室は照明を消して、脱衣所の光だけで入ったり、入浴後にスキンケアをする際は、脱衣所の照明を消して、浴室の照明だけをつけて入ったりと工夫して、基本的に外界の明るさと連動させて行動していきましょう。

6.お風呂には入浴剤を必ず入れること

気温や湿度が上がってくると、どうしても乾燥対策が怠りがちなのですが、6月とは言え、エアコンをつけている建物も多く、肌表面はべたつくのに、実は乾燥していることも多いです
(皮膚なので深部ではなく浅いところです。皮脂が出てべたついているのに乾燥している状態で、触った感じは潤っているようでも脂があるだけで水分量が少ない状態です)。そんなときに、塩素が入ったお風呂に浸かることで、乾燥しやすくなったり、かゆみを感じたりとお肌に違和感が出てくることも多いです。

対策は、何らかの入浴剤を入れることです。浸透圧の関係で、お風呂のお湯は皮膚の方に入り込み、保湿因子などを外へ流出させてしまいます。それを防ぐために、お湯の中に入浴剤などを溶け込ませて浸透圧を調整すると、皮膚に水が入りづらくなって、乾燥肌を防ぐことが可能です。

お湯の水温を低めにセットして、炭酸ガス系の入浴剤を入れたり、薬湯の入浴剤を入れて温熱作用を高めるのもよいでしょう。血流がよくなればそれだけ保湿力も上がることがわかっていますし、お湯の量が多ければ水圧が体にかかるのでむくみ予防にもつながります。毎日シャワーの方は、ぜひお風呂に浸かる習慣も取り入れていきましょう。

7.睡眠の質を高めよう!

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最後はやはり睡眠の質です。良質な睡眠を得ることで、自律神経を整えることができますので、雨天が増える梅雨の時期に入る前に、眠りの質を高めて、自律神経を整えていきましょう。

方法は2つ。深部体温のコントロールと、寝る前のリラックスです。深部体温は、内臓や脳といった体の内側の温度を指すのですが、眠りの質が悪い方は、日中あまり高くならず、夜もあまり下がらないということがわかっています。眠りの質を高めるためには、深部体温が最も高い19時頃に軽く運動をして深部体温を上昇させ、寝る前にもお風呂に浸かって、放熱を促してあげることが大切です。

そして、汗が引いてからベッドに入りますが、ベッドの上では具体的にリラックスすることが大切です。ダラダラではなく、「うっとり」という言葉が適切かと感じます。スマホを見ながらゴロゴロすることはダラダラ、でも、アロマを嗅ぎながらストレッチをしたり深呼吸するのはダラダラよりも「うっとり」に感覚的に近いのではないでしょうか?

あくびが出たり、手足がぽかぽかしてきたら、副交感神経が刺激された証拠。深部体温と自律神経のケアを行うことで、眠りの質がぐっと上がり、自律神経が整い、体内時計が整って、適切に深部体温が変動する、体にとってとてもいい状態になります。

いかがでしたでしょうか? 梅雨に入る前に体内時計や自律神経を整えることで、肌や体のプチ不調を予防することにつながります。マイペースにぜひ実践してみてくださいね!

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眠りとお風呂の専門家
小林麻利子さん

同志社大学卒業、京都市出身。SleepLIVE株式会社代表取締役社長。生活習慣改善サロンFlura主催。公認心理師。科学的根拠のあるデータや研究を元に、睡眠と入浴を中心とした生活習慣を見直すことで、自律神経を改善していく指導が人気。約3,000名以上もの悩みを解決し、テレビや雑誌など、多くのメディアで活躍中。不規則な生活になりがちな、芸能人やモデル、アナウンサーへも指導。

企業向けには、健康経営や睡眠関連事業支援などを行う。著書に『入浴の質が睡眠を決める』(カンゼン)『不美人習慣を3日で整える熟睡の練習帳』(G.B.)など多数。プライベートは、3歳児と0歳児の母。

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