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8項目をチェックするだけ! 睡眠のプロが教える「ぐっすり眠れる方法」

沖縄、奄美地方以外はまだ梅雨にも入っていない5月なのに、暑くて暑くて寝苦しい…みなさんは何か対策されていますか? 今回は、今の時期におすすめの快眠方法を、眠りとお風呂の専門家、SleepLIVE(株)代表の小林麻利子さんに伺います。

1. 寝室の気温と湿度を「見える化」しよう

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まずお伝えしたいことは、熟睡に適した気温・湿度があり、それをきちんと「見える化」する、ということです。多くの方は、なんとなくの「感覚」だけにとらわれていて、暑い寒いを判断しがちです。そのお陰で、快適とは言えない環境で、寝ている途中で目覚めてしまったりと、睡眠に影響が出てしまうことも多々。

そのためには、安くてもいいので、温湿度計を用意することです。特にお子さんがおられるご家庭の場合は、親と子の睡眠サイクルや深部体温の変動が違うため、親が快適でも子どもは快適ではない、ということもあります。感覚に任せずにきちんと温湿度計で確認することが大切です。

2. 寝具を用いる場合の快適な温度は26度台(個人差あり)、湿度50%台。

温湿度計を用意できたら、気温湿度を確認いただき、温度27度以上、湿度60%以上のどちらかであれば、具体的に対策をする必要があります。さまざまな研究によると、パジャマを着用して、寝具を用いる場合の快適な温度は26度台、湿度50%台(個人差あり)。それを超えたら睡眠に悪影響を及ぼすことがわかっています。

26度だと寒いと感じる人は、エアコンをつけた時に、体に風が当たっていたりして体感温度が低いのかもしれません。体感温度ではなく、空間自体が26度台である必要があります。

また湿度は60%以上、特に70%以上であれば、快適な温度であったとしても、中途覚醒が増えることがわかっています。

3. まずは湿度を下げよう

まずは換気が大切です。1つの窓を開けたら、それの対角線上にある窓、または玄関扉を開けて、サーキュレーターや扇風機を用いながら、家の中に風の流れを作りましょう。

マンションなどの高機密・高断熱の住宅であれば、室内で湿気が発生すると、なかなか外に逃げにくい構造になっているところが多いです。雨の後などで、外よりも室内の方が湿度が高いということもあります。強風・大雨の場合は別ですが、湿度が高い場合は、自宅の風の流れを作って、換気するのも手です。

これからの季節、気になるのはカビ。カビの条件は、20~30度の温度、70%以上の湿度、カビの餌となる埃、そして、「空気の動きがない環境」です。しっかり換気をして、カビが生えない環境を作りましょう。

4. 温度を下げるには?

換気をして湿度を下げることで、温度も下がることが多いです。その上で、窓を閉めて、エアコンを稼働させましょう。まだ5月なのにエアコンを使用してもいいのか…と思うかもしれませんが、睡眠中は無防備な状態。暑かったり寒かったりした時に、自分の服装で温度調整をすることは不可能です。

睡眠というのは、日中酷使した体を修復して、翌日のパフォーマンスを高め、美容や健康にとって大変重要なものです。快適な環境ではないと、睡眠の質が悪くなり、翌日に影響が出てしまって大問題。

もちろん節電は大変重要な項目ではありますので、例えば日中はエアコンなどには頼らず衣類や扇風機などで対処し、夜、睡眠中だけは自分に甘くして、快適な温度に設定することを勧めています。

5. エアコンの設定温度と風量、風向き

先述のように、睡眠中の快適温度は26度でありますが、エアコンの温度設定を26度にするのではありません。就寝時に26度になるようにエアコンの温度を設定する必要があります。

帰宅時間やエアコンの機能にもよりますが、短時間で冷やしたい場合は、強風にして温度も低くする必要がありますし、時間があれば、26度設定で良い場合もあります。風向きですが、上向きにすることで、冷気が自然に対流を起こして部屋全体が涼しくなると考えられています。しかし、室内の構造や室内の空気の状況によってそうとも言い切れないため、どちらが部屋の温度が下がりやすいかは各家庭の状況を見ながら調整しましょう。

そして26度になったら、その温度が変動した時に自動で冷風が出るように、自動モードにしておきましょう。風向きは体に一切風が当たらないように、一定にしておくと良いでしょう。冷風である限り、ほんの少しでも風が当たらないようにすることが大切です。

6. つけっぱなし? 途中でタイマーオフ?

5月頃では地域によっては、朝晩の気温差が大きく、夜中はエアコンをつけなくても涼しいこともあります。その場合は、3時間でタイマーオフしてOKです。ただし、高機密のご自宅で、真夜中、早朝になっても気温が下がらない場合は、つけっぱなしがベスト。その日の天気予報などをみながら検討しましょう。

7. つけっぱなしの場合は、女性はレッグウォーマーは必須!

エアコンをつけっぱなしにする場合は、脂肪や筋肉が少ない足首が冷えてしまって、就寝中に寒くて起きてしまうこともあります。そのため、綿素材のレッグウォーマーはあった方が安心です。

ポリエステル素材のものしかない場合は、綿のパジャマのズボンの上から装着すれば、肌が痒くならなくてすみます。レッグウォーマーはものによっては締め付け感が強いものもあります。分厚い本などを中に入れて振り回したりして、柔らかくしてから装着することもおすすめです。

8. エアコン冷えにも考慮した、夏用の天然素材100%の寝具を用いる

夏は、タオルケットやガーゼ素材の薄手の寝具に変えたり、触った瞬間冷たく感じる素材の寝具を用いられる方もおられますが、エアコンをつけっぱなしにする場合、前者のものでは寝返りのたびに体から寝具が離れて、寝冷えを感じやすくなります。ある程度体にまとわりつくちょうどいい重みのある、エアコン冷えにも考慮した寝具がベストです。

また後者の、触った瞬間冷たいものは、天然素材ではないものがほとんど。眠りに着くと、深部体温が低下していき、その際に放熱するため発汗します。天然素材のものでないと、汗を吸着して放散する機能がかなり低くなるので、寝具内の環境としては望ましくありません。

また、店内のように常にエアコンが効いている場所であれば快適ではありますが、今の季節、エアコンを途中で消す場合、気温が上昇することで、冷たい感触を感じにくくなることもあります。

従って、天然素材の麻や綿が使われているもので、エアコン冷えにも考慮された寝具を用いることをお勧めします。もちろん、肌触りも快眠には欠かせないポイントになるので、その点も考慮されたものであれば、とても良いかと思います。

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これから、梅雨が来て、暑い夏がやってきます。それまでに暑い夜にバテてしまわないよう、今からしっかり対処していきましょう!

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眠りとお風呂の専門家
小林麻利子さん

同志社大学卒業、京都市出身。SleepLIVE株式会社代表取締役社長。生活習慣改善サロンFlura主催。公認心理師。科学的根拠のあるデータや研究を元に、睡眠と入浴を中心とした生活習慣を見直すことで、自律神経を改善していく指導が人気。約3,000名以上もの悩みを解決し、テレビや雑誌など、多くのメディアで活躍中。不規則な生活になりがちな、芸能人やモデル、アナウンサーへも指導。

企業向けには、健康経営や睡眠関連事業支援などを行う。著書に『入浴の質が睡眠を決める』(カンゼン)『不美人習慣を3日で整える熟睡の練習帳』(G.B.)など多数。プライベートは、3歳児と0歳児の母。

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