いまわたしたちにできること~美容・健康・環境も~

体を酷使した翌日はやりません! 30代の女医が実践する「疲労回復法」

忙しい日々を過ごす現代人にとって、旅行や仕事で体を酷使した翌日は、体が悲鳴を上げていることが多いですよね。特に年齢を重ねると、今までは無理がきいていたのに、翌日や翌々日まで疲れがとれにくくなっていると感じる人もいらっしゃると思います。そんなときには、無理をせずに体を労わることが大切です。今回は、体を酷使した翌日に実践すべき「疲労回復法」について、30代の女医としての視点からご紹介します。

疲労回復のための基本原則

疲労回復のための基本原則

休養は最優先

疲れた体には、まず休養が必要です。疲れている体にムチを打って頑張ろうとしても、本来の力を発揮できないだけでなく、いらぬミスを招いてしまうなんてことも起こり得ます。まずは十分な睡眠をとることで、体が回復するための時間を確保するようにしましょう。

特に筆者は、深い睡眠を促すために、就寝前にはスマートフォンやパソコンなどの電子機器を避けるようにしています。ブルーライトは睡眠ホルモンであるメラトニン(※1)の分泌を妨げるため、質の良い睡眠が得られなくなる可能性があります。

水分補給を忘れずに

疲労回復には、適切な水分補給が欠かせません。水分が不足すると、血液の流れが悪くなり、疲労物質の排出が遅れることがあるとされています。また、旅行や運動後は特に水分を失いやすいので、意識的に水分を摂取するようにしましょう。

軽いストレッチで体をほぐす

体に疲れがたまっているときには激しい運動は避けるべきですが、軽いストレッチは逆に疲労回復に役立ちます。体を酷使した後は筋肉が硬くなってしまい、血流が悪くなりがち。筆者も、全身を軽く伸ばすストレッチを取り入れることで、筋肉の緊張を和らげ、血流を促進するようにしています。これにより疲労物質の排出がスムーズになり、翌日に持ち越す疲れを減らすことが期待できますよ。

体を酷使した翌日に「やってはいけないこと」

やってはいけないこと

NG1.無理な運動

疲れた体にさらに負荷をかけると、回復が遅れるだけでなく、怪我のリスクも高まります。特に年齢を重ねると、若い頃のような無理が効かなくなりますので、疲労が溜まっているときには運動は控えましょう。体を動かしたい場合は、前述のように軽いストレッチや、リラックス効果が期待できるヨガなどをおすすめします。

NG2.アルコールの摂取

「疲れたときにはお酒を飲んでリラックスしたい」と思うかもしれませんが、アルコールは疲労回復には逆効果。アルコールを摂取すると、一時的にリラックスした気分になるかもしれませんが、体内でのアルコールの分解にエネルギーを使うため、結果的に体がさらに疲れてしまうでしょう。また、アルコールは睡眠の質を低下させるため、十分な休養が取れなくなる可能性もあります。

NG3.重い食事

体が疲れているときは、消化器官も疲れています。脂っこい食事など、重い食事は消化に時間がかかり、体にさらなる負担をかけることに……。消化の良い食べ物や、栄養バランスの取れた軽い食事を心がけることで、体の負担を減らし、回復を促進することができるでしょう。

疲労回復を助ける食事

疲労回復を助ける食事

タンパク質を摂取する

疲労回復には、筋肉の修復を助けるタンパク質が重要です。特に、肉や魚、大豆製品、卵などの良質なタンパク質の摂取は、筋肉の回復をサポートします。疲れた体には、消化しやすいものを選ぶと良いでしょう。

ビタミンB群を含む食品

ビタミンB群は、エネルギー代謝に関わる重要な栄養素で、疲労回復にも効果的。豚肉やレバー、全粒穀物、ナッツ類などに多く含まれています。これらの食品を積極的に取り入れることで、エネルギーの産生を助け、疲れにくい体を作ることができるでしょう。

ビタミンCと抗酸化物質

ビタミンCや抗酸化物質(※2)には、体内の疲労物質である活性酸素を除去する効果が期待できます。疲労回復を早めるためには、柑橘類やキウイ、トマトなどのビタミンCを豊富に含む食品を摂ることが重要です。また、緑茶やブルーベリーなどの抗酸化物質を含む食品もおすすめです。

無理せず楽しみながら疲労回復を目指しましょう

疲労回復のために最も重要なのは、無理をしないことです。旅行や忙しい日の翌日は、ついついやるべきことに追われがちですが、何よりも自分の体を優先することが大切。適切な休養とケアを心がけることで、次のアクティビティも元気に楽しむことができますよ。

繰り返しになりますが、体を酷使した翌日は、無理をせずに体を労わる時間を確保することが、長期的な健康維持に繋がります。体をケアすることで、明日もまた元気に頑張ることができますよ。
【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット メラトニン
※2 厚生労働省.e-ヘルスネット 抗酸化物質
©polkadot/Adobe Stock ©miya227/Adobe Stock ©polkadot/Adobe Stock

筆者情報

ちえこ-1-1-768x213-1-2

ママ女医ちえこ(産婦人科医)
産婦人科専門医であり、プライベートでは4人の子どもを育てる母。2020年からはYouTuberとしても活躍し、性教育としての医学情報や健康情報を中心に、女性が自分の体について考えるきっかけになる専門性を生かした情報を発信。現在のチャンネル登録者数は17万人を超える。著書に『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)、『医師がすすめる エビデンスベースの「体にいい」食習慣』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))がある。
YouTube:https://www.youtube.com/c/mama女医ちえこ
X:@mamajoy_chieko