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おしゃれさんは着ている! 男女で着られる「ジェンダーフリーファッション」の意外な秘密

ファッションでは、ジェンダーフリーがトレンド。どんどん男女の差がなくなってきています。そのため、男女共に着られる服作りには、知られざる工夫がいっぱい。今注目の2つのジェンダーフリーのブランド、オンワード『IIQUAL』とRebetta『HUU』の服作りの工夫をうかがいました!

ジェンダーフリーのファッションが浸透中!

最近、ファッションの分野ではジェンダーフリーがトレンド。女性が男性のようなカッコいい洋服を着たり、男性がスカートをカッコよく着こなしたりと、ナチュラルで素敵なファッションが浸透してきています。

特に韓国のジェンダーフリーブランドが日本でも人気ですが、日本のブランドもジェンダーフリーのファッション作りに取り組んでいます。

とはいえ、ジェンダーフリーはまだまだ着やすいとは言えませんし、男女ともに着られるようにするには工夫が必要。今回は、今年2021年にデビューした2つのブランド、オンワード『IIQUAL』とRebetta『HUU』のこだわりや服作りの工夫をうかがいました。

ジェンダーフリーのファッションブランド2選

1.オンワード 誰かが決めた“らしさ”を脱げる『IIQUAL』

IIQUAL

ファッションの世界でジェンダーイコーリティ(文化・社会面での男女格差の是正)に向き合うブランド『IIQUAL(イーコール)』が、オンワードから2021年4月22日(木)より販売がスタート。

IIQUALの服はメンズ、ウィメンズという概念がなく、誰かが決めた“らしさ”を脱いで、自分の“らしさ”を着られる服がコンセプト。ワンピースもスカートもシャツもパンツも、性別を問わず自由に着こなすことが可能とのことで、いったい、どんな工夫をしているのでしょうか? デザイナーの山内芽衣さんにうかがいました。

――IIQUALの服は具体的に、どんな工夫をしているのでしょうか?

ワンピース
男女の体格差によってウエスト位置やボディラインが違うため、少しゆとりのあるストレートシルエットを採用し、さまざまな体型に似合うようデザインしました。さらにサロペット風にしてレイヤードアイテムとしてコーディネイトしやすいよう考慮しています。

後ろのファスナーを上げることも男性は慣れないのでむずかしく、引き手に長めのテープを付けることで手が届きやすくする工夫をしています。

スカート
男性にスカートを履いてもらってヒアリングしたところ、見た目の抵抗感に加えて慣れないので、着心地が心もとないという意見がありました。そういった課題を解決するために「スカート風パンツ」を提案しています。前から見ると一見ラップスカートに見えるパンツで、男女問わずコーディネイトに取り入れやすいアイテムに仕上げています。

シャツ
男女でも首の太さが違うので、首まわりのサイズ感や衿(えり)の形にこだわりました。また、従来、男女で前開きの左右が逆という違いがありますので、スナップボタンにすることで違和感を軽減させています。

パンツ
パンツはもともと性差が少ないアイテムではありますが、ウエストゴム仕様にしたり、裾を折り返してもきれいに見えるような工夫をしたりして、幅広い体形の方にフィットするパンツを目指しています。

――デザインや縫製などで、苦労したことを教えてください。

従来メンズアイテムを女性が着ることで、ユニセックスと謳ってきたブランドは多いですが、服のジェンダーフリーを実現するためにウィメンズアイテムを男性が着ることにも挑戦しました。しかし世間ではまだ定着していないなかで、そこをどう伝えるか、どう表現するか、その加減がむずかしかったです。

「ここまでやると男性が着づらくなるのではないか」といった意見に対して、男性が着やすいように修正しすぎると逆に女性が着たいものではなくなってしまうのではないか、という話し合いはチームで常に行っていました。

現状のアイテムはまだ改善の余地があると思っているので、意見をいただいてさらにアップデートさせていきたいと考えています。

――IIQUALというブランドが広がることで、日本社会にどのようなことをもたらしたいとお考えですか?

昨今ではさまざまな場面でジェンダーに関する問題が取り上げられるなか、男性はこうあるべき、女性はこうあるべきという今まで当たり前だったことが見直される時代になっています。

ファッションの世界でも長らくメンズ・ウィメンズという区分があり、男性らしい服装、女性らしい服装というものを提案し続けてきましたが、それがジェンダーバイアスを助長してきた可能性もあるのかもしれないと感じています。今回、ジェンダーフリーをごく一部の人たち向けのハイファッションではなく、普通の人に向けて提案することに意味があるのではと考えています。

私たちが発信できるのはただの服ではありますが、IIQUALというブランドを通して、男性らしさ、女性らしさを押しつけない新しい選択肢を提供することが誰かの助けになって、自由に自分を表現しやすい世の中になっていってほしいなと思います。

2.Rebettaの性別にとらわれない自分らしさを追求する「HUU」

HUU

続いては、2021年1月14日にデビューした、性別にとらわれないスタイルをコンセプトに、時代の流れを反映させ、上品で洗練された服を提案する『HUU(フウ)』。性別を超え、着る人の自分らしさを引き出す新ブランドです。

ラメストライプのテーラードショートジャケットやコルセット調ベスト 、ロングパンツ、ショートパンツなどスタイリッシュなラインアップ。同時発売の数量限定プレミアムライン『HUU+』は、シルク100%使用の高級感のある装いで魅力的です。

どのようなこだわりがあって、どんな工夫をしているのか、ブランドを展開する株式会社REBETTA代表取締役 小林真帆さんに伺いました。

――HUUの服は具体的に、どんな工夫をしているのでしょうか?

ジャケット
誰もが自信にあふれ、自分らしく美しくなれるという気持ちを反映するために、スタイルがよく見えるジャケットに仕上げ、堂々とした重厚感のある雰囲気を演出しています。逆三角形になるよう肩パッドの大きさにこだわり、肩の位置を高くしました。

体のラインが見えるように裾丈はウエストが細い部分にしています。腕のラインをきれいに見せるために、肘(ひじ)のエルボーラインは細くし、袖のカーブにこだわりました。ラペルはメンズのシルエットにし、センシュアルなシルエットにマニッシュな着こなしができるようにしました。

ベスト
ベストは、コルセットを彷彿とさせる美しいウエストのシェイプが特徴です。メンズウェア要素を入れ、くびれがきれいに見えるように切り替えのラインにこだわり、前みごろを細くして女性のラインを作りだしました。

着る人のウエストにきれいにフィットするよう、バックのバックルでウエストを調節できます。ジェンダーが融け合うことで、違和感のないこなれ感が備わります。

ロングパンツ
男女共に着心地をよくするために、ダブルタックにし、腰回りにゆとりを作りました。センター折り目(クリース)にコバステッチ(布の端ギリギリのラインのステッチ)を入れて、上品に仕上げました。

――HUUというブランドが広がることで、日本社会にどのようなことをもたらしたいとお考えですか?

女性は女性らしく、男性は男性らしくあるべきとといった固定概念は、知らず知らずに私たちの意識の中に根付き、ときに”個性”を自由に表現することを難しくします。もっと自由に選んでいいことは、本当はたくさんあるはずです。何事も「自由に選択して自分らしくいられる」そんな生きやすい世の中になってほしいと思っています。

ファッションは、自由に自分を表現するツールだとHUUは考えます。HUUのデザインを通じて、性別にとらわれず真の自己表現をし、誰もが自分らしく心地いいファッションを楽しんでいただきたいです。

HUUが、世の中にメッセージを発信し続ければ、世の中は少しでも変わると思います。ファッションを通し、自由に自分を表現できるようエンパワーしていくのがHUUの願いです。

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ジェンダーフリーのブランドのこだわりや服作りの工夫についてご紹介しました。どちらも、まだ始まって間もないブランドで、これからどんどん着る人が増えていき、浸透していくでしょう。

積極的に着用して、ブランドにフィードバックをしながら、自己表現をしていくことで、世の中は変わっていくのかもしれません。

Information

IIQUAL

Huu