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寝室のエアコン、妻は寒く夫は暑い! 眠りのプロが教える「夫婦で快眠のコツ」

俺は暑い! 私は寒い! 夏の寝室の温度設定は夫婦間でのもめごとの1つ。結局どちらかが我慢して寝苦しい夜をお過ごしのご家庭もあるようです。今回は、長年睡眠のマンツーマンレッスンを行っている、眠りとお風呂の専門家、SleepLIVE(株)代表の小林麻利子さんにその対策をうかがいました。

夏のエアコン温度設定の戦い

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1. 基準の気温と湿度を用意

まずは、基準の気温湿度を確認しましょう。ご夫婦それぞれの骨格や過ごし方によって、快適な温度は変わりますし、暑い方に合わせた設定をしたとして、寝始めは快適でも朝方寒くなることも多々あります。

まずは主観で温度を決めるのではなく、さまざまな研究結果による、夏の睡眠に適した温度と湿度に設定しましょう。
気温は26度、湿度は50%台です。しかもそれは、エアコンのリモコン設定ではなく、実際の寝室の環境を確認する必要があります。温湿度計を用意して、寝室の気温湿度を見える化し、その表示を確認することが大切です。

この温度で暑いor寒い、ということであれば、それぞれの対策を行う、という流れになります。

2. 暑い人の対策

暑い場合に試していただきたいことは、2つ。

1. お風呂に浸かることによって深部体温を一時的に上昇させて、入浴後の急降下を作ること。
2. 自律神経のうち副交感神経の活動を活発にして、末端からの放熱を促すこと。

熱い夏はシャワーですませている方も多いと思いますが、暑くて暑くて眠れない…という状態は、もしかしたら体の内側の深部体温がうまく下がらず、熱ごもり状態なのかもしれません。

お風呂にきちんと浸かって、あえて一時的に深部体温を上昇をさせることで、その反動で入浴後の体温低下を作るのです。

方法はこちら。
洗髪のあと、水温計で測ったぴったり40度のお風呂に全身浴、15分浸かり、就寝1時間半から2時間前に上がります。夏用の「cool」などと記載のある入浴剤などを使うと、ストレスなくお湯に浸かることができるでしょう。

お風呂上がりはバスローブなどを羽織って汗がひくのを待ち、ドライヤーは扇風機を利用しながら、「暑い」というストレスを取り除いて行いましょう。

汗が完全に引いて、手足がぽかぽかしている状態になったら就寝です。

また寝る前にリラックス状態になることで、手足がぽかぽかして、体の内側の熱の放熱を促します。スマホやテレビを、寝るギリギリまで見るのではなく、ベッドで仰向けになり、心拍をコントロールする副交感神経が優位になることがわかっている、吸って吐いての1呼吸が10秒になるような深呼吸を繰り返したり、ラベンダーなどのピローミストやボディオイルで香りを感じてみましょう。

3. 寒い人の対策

寒い方はもしかしたら、日中のエアコンにおいても苦手意識があるかもしれません。日中の寒さ対策はもちろんですが、特に朝食をよく噛んで摂取していただいたり、日光浴を心掛けたり、運動量が少ないということであれば、19時前後に軽くスクワットをするなどして、深部体温の上昇を試みましょう。

夜は、ゆったり38~40度のお風呂に全身浴で10~15分ほどします。バスミルクなどを入れたお風呂にゆったり浸かり、就寝1時間半から1時間前に上がります。

ベッドの上では、夏用の天然素材のネックウォーマーとレッグウォーマーを装着しておやすみします。この部分は脂肪や筋肉が少なく、冷えを感じやすいです。この対策だけでもかなり効果的です。

もし風が少しでも体に直接吹きかけているならば、天蓋ベッドや蚊帳のようなもので、風が直接肌に触れないよう工夫をしましょう。パートナーが暑いからといって、風をパートナーの方へ直接吹きかけるような設定であれば、始めは心地良くても、睡眠の質が悪くなりますので、お互い風がかからないように、エアコンの風向きは、風が当たらないところに固定しておくことが大切です。

4. 夏用の寝具

暑い方も寒い方も、夏用の寝具は不可欠です。特に、触ったときの一時的な冷却感を感じるものよりも、汗を吸い取って、外に放ち、通気性がある天然100%の素材がおすすめ。綿に麻素材が入っているものはさらに、快適です。朝方の寒さにも対応できるような、薄手すぎず、中材に天然100%の綿が入っているキルトケットがよいでしょう。たとえ、寝始めに暑く感じる方でも、深部体温が低くなる朝方には重宝します。

薄手のタオルケットや軽すぎるものは、寝返りのたびに、体から離れる可能性があります。中材はポリエステル素材の方が軽いのですが、適度な重みのある綿や麻素材がいいです。

また、シングルサイズのベッドの方なら、セミダブルサイズのキルトケット、セミダブルサイズのベッドならダブルサイズのキルトケットであれば、寝返りのたびにどこかにいくことなく、体を包んでくれます。寝始めはお腹あたりにかけて、朝方は自然に全身キルトケットをかけられるようなものがベストです。

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いかがでしたでしょうか?
寝室の環境は、それぞれの感覚で決めるのではなく、ある程度の基準を用意し、そのうえで、それぞれの対策をすれば、夫婦円満に就寝することが可能になります。ぜひ試してみてくださいね!

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眠りとお風呂の専門家
小林麻利子さん

同志社大学卒業、京都市出身。SleepLIVE株式会社代表取締役社長。生活習慣改善サロンFlura主催。公認心理師。科学的根拠のあるデータや研究を元に、睡眠と入浴を中心とした生活習慣を見直すことで、自律神経を改善していく指導が人気。約3,000名以上もの悩みを解決し、テレビや雑誌など、多くのメディアで活躍中。不規則な生活になりがちな、芸能人やモデル、アナウンサーへも指導。

企業向けには、健康経営や睡眠関連事業支援などを行う。著書に『入浴の質が睡眠を決める』(カンゼン)『不美人習慣を3日で整える熟睡の練習帳』(G.B.)など多数。プライベートは、3歳児と0歳児の母。

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