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“うなぎと梅干は一緒に食べちゃダメ”ってホント!? 管理栄養士が解説「食べ合わせが悪いといわれる食材」10選

「うなぎと梅干は食べ合わせが悪い」と聞いたことはありませんか? 古くから迷信のように伝わる話ではありますが、このほかにも食べ合わせが良くないといわれる組み合わせはいくつか存在します。今回は管理栄養士の筆者が、食べ合わせが悪いとされる食品についてご紹介しましょう。

食べ合わせが悪いといわれている食品

具体的な食品を紹介しながら、なぜ食べ合わせが悪いといわれているのかを解説します。

うなぎと梅干

「うなぎと梅干は一緒に食べちゃダメ」ってホント!? 管理栄養士が解説する“食べ合わせの悪い食材”

結論からいうと、「うなぎと梅干は食べ合わせが悪い」という言い伝えに医学的根拠はないようです。梅干は食欲を増進させやすいため、高級食材であるうなぎの食べすぎを防ぐために、このような迷信が広まったと考えられています。

天ぷらとスイカ

天ぷらは油が多く、消化に時間がかかる食べ物です。そしてスイカは水分が多く、胃液が薄まり消化を悪くするおそれがあるため、天ぷらとスイカは相性が悪いといわれていたようです。

実際には体に影響が出るほど食べすぎることはほぼ無いと思われるため、あまり気にしなくて大丈夫でしょう。

ただし、夏バテなどで胃腸が弱っているときには、下痢などの不調を招く可能性があるため、食べすぎには注意してください。

トマトときゅうり

きゅうりに含まれる「アスコルビナーゼ」という酵素が、トマトに含まれるビタミンCの酸化を促進してしまうので、よくないとされていたようです。

しかし、体内に入れば酸化型ビタミンCは体内で還元型ビタミンCに変化するため、特に食べ合わせによる影響はないといわれています。

もしきゅうりの酵素による影響が気になるようであれば、ドレッシングやマヨネーズをかけて食べるのがおすすめ。ドレッシングなどに含まれている「お酢」が酵素の働きを抑えてくれるでしょう。

ほうれん草とベーコン

ほうれん草とベーコンの組み合わせが良くないといわれる理由は、ベーコンに含まれるリン酸が、ほうれん草に含まれる鉄分やカルシウムの吸収を阻害してしまうからだそうです。また、ほうれん草の硝酸とベーコンの成分が反応して体に害を及ぼすという説も。

とはいえ、健康に影響するほどの量を食べることは現実的には考えられないレベルなので、そこまで気にする必要はないと思います。

人参と大根

先ほどのきゅうりと同様に、人参の「アスコルビナーゼ」という酵素が大根のビタミンCを破壊してしまうため、食べ合わせが悪いといわれていたようです。しかし、きゅうりと同じように体内に入れば特に問題はないでしょう。

焼き魚と漬物

「うなぎと梅干は一緒に食べちゃダメ」ってホント!? 管理栄養士が解説する“食べ合わせの悪い食材”

焼き魚の「焦げ」に含まれるジメチルアミンと、漬物に含まれる「亜硝酸塩」が結合すると、「ニトロソアミン」という発がん物質が生成される可能性があるといわれています。ただし、実際には大量に焦げた部分を食べないかぎり、影響は少ないとされています。

ビタミンCがニトロソアミンの働きを抑えられるといわれているので、もし気になる方はレモン汁や大根おろしなどを添えたり、野菜や果物を摂ったりするとよいでしょう。

ナスとそば

ナスとそばの組み合わせは、体を冷やす食材と考えられていたようです。もし一緒に食べるなら、ナスは漬け物以外の調理法にして、そばは温かくして食べるというように工夫すれば問題ないでしょう。

わかめとネギ

わかめとネギは味噌汁や麺類のトッピングなど、一緒に食べることも多い食材ですよね。しかしネギの成分が、わかめに含まれるカルシウムの吸収を阻害してしまうという説があるようです。カルシウムの吸収を優先するなら、ネギの代わりに豆腐を一緒に食べるといいとされています。

カニと柿

「うなぎと梅干は一緒に食べちゃダメ」ってホント!? 管理栄養士が解説する“食べ合わせの悪い食材”

カニと柿は、“ナスとそば”と同様に体を冷やす食材の組み合わせだと考えられています。

また、流通の発達していない時代では、傷みやすいカニと消化の悪い柿の組み合わせは、食中毒へのリスクが高いといわれていた説も。とはいえ現代の日本ではあまり心配はないでしょう。

納豆と生玉子

納豆には「ビオチン」というビタミンが含まれますが、卵白の「アビジン」という成分を一緒に摂ることで、ビオチンの吸収を妨げてしまうと考えられています。

しかし、ビオチンはさまざまな食品から摂れるため、過剰に心配する必要はないといえるでしょう。

食べ合わせの良い組み合わせは?

食べ合わせが悪いといわれている食品の例を紹介しました。では、逆に食べ合わせが良いといえる食品の組み合わせはあるのでしょうか。具体的な例を解説します。

豚肉と玉ねぎ

豚肉には疲労回復などに役立つビタミンB1が豊富に含まれています。玉ねぎに含まれる成分がビタミンB1と結びつくと、吸収率がアップするのです。豚肉と玉ねぎを使った生姜焼きは食べ合わせの良い料理といえるでしょう。

ヨーグルトとバナナ

「うなぎと梅干は一緒に食べちゃダメ」ってホント!? 管理栄養士が解説する“食べ合わせの悪い食材”

腸内環境を整えるためには、善玉菌を増やすことが大切。ヨーグルトには善玉菌の一つである乳酸菌が含まれており、バナナには善玉菌のエサとなるオリゴ糖などが含まれています。そのため一緒に摂ることにより、腸にとっていい働きが期待できるのです(※1)。

食べ合わせが悪いといわれている食品は食べすぎに気を付けて

昔から言い伝えられている食べ合わせの悪い食材は、「食べすぎを防ぐ」ために言い伝えられてきたという説もあります。今回紹介したなかでは絶対に組み合わせてはいけない食品はありませんが、何でも摂り過ぎには注意が必要です。

今回お伝えした食べ合わせの良い食材は、ぜひ積極的に食卓に取り入れてみてください。

【参考】
※1 厚生労働省.e-ヘルスネット 腸内細菌と健康

©Goran13/Kitti Boonnitrod/masahiro Makino/Thanit Weerawan/Caterina Oltean / 500px/gettyimages