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月経前になるとメンタルトラブルが強く出る…。PMDDを知っていますか?

月経前に体や気分の変調が起きる、PMS(月経前症候群)。広く知られるようになり、低用量ピルなど治療法も浸透しているけれど、その一方で、月経前に特に心の症状が強く現れる「PMDD」に悩む人が増加中。その背景や治療法を、専門家に聞きました。

【PMDDとは?】
月経前に特に感情の起伏が激しくなる状態。身近な人に当たってしまうことも。

「月経前に現れる不調・PMSの中でも特に心の症状が強く出る状態を、月経前不快気分障害、英略語でPMDDと呼びます」

とは、心療内科医・田中奏多先生。ささいなことで怒りが爆発する、突然悲しくなる…。そんな症状が見られるという。

「時期は人によりますが、月経2週間前から、月経開始後3日頃までというパターンが大多数です」

女性ホルモンの変動がきっかけと考えられているけれど、

「直接の原因はストレス。それも、異動や人間関係など、ちょっとしたことが引き金になる。加えて、心が揺れやすい人は普段から真面目で、悩みを抱え込む傾向があります。いろいろな要素が重なり合って形成されていった感情が、女性ホルモンの変動を機に噴出するのが、PMDDなのです」

コロナ禍で、世間全体にストレスが広がった昨年と今年。

「ここ最近PMDDを訴える人が増えていますが、コロナ禍とも決して無縁ではないと思います」

PMDDの特徴としてもうひとつ挙げられるのが、自分が心を許せる相手に感情の矛先が向かいがちであるということ。

「そして、生理が始まって症状が落ちつくと罪悪感にさいなまれてしまう。パートナーが心配して受診をすすめるケースも少なくありません。診断を受けて原因が分かったことで安心し、症状が軽くなる方もいます。辛い時は、ぜひ医師の手も借りて」

主な治療法は下記の通り。自分が該当するかも、と思ったら、

「心療内科も併設する婦人科や、メンタルクリニックで相談を。ストレスから身を守るための日々のケアも、ぜひ心がけてください」

お話を伺った方・田中奏多(かなた)先生
心療内科医、産業医。東京TMSクリニック勤務。ハーバード大学TMSコース修了。著書に『眠る投資 ハーバードが教える世界最高の睡眠法』(アチーブメント出版)がある。


月経前のこんな状態は、PMDDのサインかも。

  • 気分が激しく落ち込む
  • 身近な人に対してひどく攻撃的になる
  • 自分で自分のことが嫌いになる
  • 緊張感やイライラ感がひどい
  • 仕事や趣味に集中できない
  • 自分は他の人に比べて劣っていると思う
  • 寝ても寝ても眠く、起きられない
  • 何もする気になれない
  • 誰にも会いたくないと思う
  • びっくりするほど食べてしまう

パートナーに対して急にきつく当たり始める、家族の前で突然取り乱すなど、身近な人への行動が変わるという特徴が。


PMDDの治療法

東洋医学

西洋医学とは異なる観点で診断。心身のバランス全体を整える。

問診のほか、脈をみたり、腹部に触れる触診で体調を判断。心身を「気」「血」「水」という構成要素で捉え、漢方薬や鍼、お灸を施すことで体と心の双方を整える。「PMSやPMDDを抱える女性の中には、精神的な症状に翻弄されて、不調をうまく言葉にできない方も。そうした時に、こうした東洋医学でのアプローチが有効なことがあります」

東洋医学

低容量ピル

女性ホルモンの波を穏やかに。月経痛などの症状にも効果的。

PMSの治療にも使われているのが、この低用量ピル。「女性ホルモンのアップダウンを穏やかにして、気持ちへの影響を抑えるのが目的です。PMDDだけでなく、月経痛や貧血がひどい、にきびができやすいなど、体の症状が強く出るような場合にも使います。女性ホルモンの変動によって起こる悩みにまとめて対処できるというメリットも」

低容量ピル

抗うつ剤

セロトニン量を調整する、長く使われている治療薬。

精神的な症状が強い場合は、SSRIと呼ばれる抗うつ剤も検討。「SSRIは“選択的セロトニン再取り込み阻害薬”の英語の略称。抑うつ感の原因のひとつである、脳内のセロトニン不足を調整して、緩和する働きがあります。月経前に少量の抗うつ剤を内服することで、PMDDの落ち込みやイライラなどの症状に対して、キレのある効果が期待できます」

抗うつ剤

TMS

磁気で脳を“マッサージ”。副作用が少ないうつ治療。

日本ではあまり知られていないけれど、欧米では10年以上前から行われているうつの治療法。「外部から前頭葉を磁気で刺激し、脳内のネットワークを調整します。受けている体感は、脳のマッサージのような感じ。薬に比べて副作用が少なく、効果が早く表れることもメリットです。短期間に続けて受けることで効果が高まります」

TMS