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女性ホルモンとココロの関係、知っておきたい4つのこと。

生理前のイライラ&体調不良と女性ホルモン、自律神経…。何となくつながっていると知ってはいるものの、うやむやになりがちなこの関係を専門家が解説。心身を健やかに保つための基本のセルフケアもチェック!

お話を伺った方々

田中奏多(かなた)先生
心療内科医、産業医。東京TMSクリニック勤務。ハーバード大学TMSコース修了。著書に『眠る投資 ハーバードが教える世界最高の睡眠法』(アチーブメント出版)がある。

宗田 聡先生
産婦人科医、広尾レディース院長。長年の経験をもとに、女性たちの悩みに心と体の両面からアプローチ。著書に『31歳からの子宮の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。


女性ホルモンの変動が、“幸せホルモン”にも影響を与えている。

「女性の体内ではエストロゲンとプロゲステロンの2つの女性ホルモンが分泌され、常に変動しています。その波が体調や、時として気持ちに影響を及ぼすことがある。特に生理前はPMS(月経前症候群)のひとつとして、イライラや不安などのメンタルトラブルが現れることも少なくありません」(産婦人科医・宗田聡先生)

女性ホルモンが心に作用する、その仕組みとは?

「エストロゲンが減ると、幸せホルモンと呼ばれる“セロトニン”も減り、それが憂鬱な気分やイライラを招くとされています。ただ、それだけで大きな不調が出るわけではなく、そこに精神的・身体的ストレスが加わることで症状が強くなる場合がほとんどです」(心療内科医・田中奏多先生)

つまり、憂うべきはホルモン変動ではなく、ストレスの放置。

「健康な女性にとって、女性ホルモンが変動するのは自然なこと。気持ちが揺らぎやすい時期があることを心に留めて、上手に付き合っていきましょう」(宗田先生)


女性ホルモン・エストロゲン/プロゲステロンの変動

PMSの症状の多くは、排卵後から現れる。腰痛や頭痛、胸の張りなど体の症状のほか、イライラや落ち込み、眠気が取れない、などの精神的症状を訴える人も。


ストレスがもとで、女性ホルモンの分泌自体が乱れることがある。

ストレスは、女性ホルモンの変動に乗じて気分に影響を与えるだけでなく、女性ホルモンの分泌自体を乱す存在でもある。

「強いストレス環境に置かれると体は自衛機能を働かせ、生殖のためのシステムをストップしてしまう。エストロゲン分泌の低下が起こり、結果として無月経や月経不順などが生じます」(宗田先生)

エストロゲンが減ると、前述のようにセロトニンが減少し、これもイライラ気分の原因に。

「また、無排卵が長く続くと排卵障害につながったり、骨密度が下がるなどの心配もあります。無月経や月経不順が3か月以上続く場合は、心身にストレスがかかっている可能性大。甘く見ずに、早めの対策が必要です」(宗田先生)


自律神経の不調も、女性ホルモン&心と密接な関係に。

もうひとつ知っておきたいのが、ストレスと自律神経の関係。

「自律神経には緊張した時に優位になる交感神経と、リラックス時に働く副交感神経の2種がある。相反する2つの働きで、意志に関係なく、心拍や呼吸などの体のさまざまな機能を、絶えず自動制御しています」(宗田先生)

2つがバランスよく働くことが理想的だけれど、この自律神経も、ストレスによって乱れやすいシステムだという。

「ストレスがかかって交感神経が活発な状態が続き、体が休まらないままだと、むくみや肩こり、慢性疲労など体の不調が現れてきます。体が辛ければ当然、メンタルにも悪影響です」(宗田先生)

さらに、自律神経は女性ホルモンの変動とも密接な関係が。

「それぞれの司令塔が脳の近い場所にあり、どちらかが不調になると片方も呼応しやすいという特徴があります。逆に言えば、体に働きかけることで、心にも良い影響を与えられる可能性があるということ。体からのサインも見逃さずに、メンタルマネジメントに役立てましょう」(田中先生)

下記の、自律神経が乱れた時に起きがちな症状例を参考にして。

自律神経バランスがピンチかも?

  • 寝足りない感じが続く
  • マッサージをしても肩こりが良くならない
  • 下痢や便秘が続く
  • 手や足が冷える、下半身がむくむ
  • 原因の分からない頭痛がする
  • めまいや耳鳴りがするようになった
  • 息苦しくなったり、急に動悸がしたりする
  • 顔や手足など、体の一部だけに汗をかく

心と女性ホルモンのバランスを整えるには、日々のケアが肝要。

ホルモンの変動、自律神経…とさまざまな要因が絡むのが、女性のメンタルウェルネス。

「PMSの辛い症状には低用量ピルを用いるなど、治療すべきことはしつつ、セルフケアを必ず。不調を根本的に絶つには、心や体調を崩す大もとの原因を取り除くことが大切です」(宗田先生)

今は不調がなかったとしても、

「女性ホルモンは、女性の一生に大きく関わるもの。大きなアップダウンを迎える時期もやってきます。今から女性ホルモンを意識したストレスケアを身につけることは、将来のメンタルを守ることにつながります」(田中先生)

セルフケアの3つの柱

【食事】
セロトニンを作るアミノ酸と、 貧血を防ぐ鉄分をしっかりと。

「セロトニンの原料であるトリプトファンは、アミノ酸の一種。肉や魚、大豆製品などに含まれます。セロトニンの合成に必要な、ビタミンB6とともに摂りましょう。いずれも体内に溜めておけないので、こまめに摂取を」(田中先生)

忙しい朝におすすめなのは、味噌汁やバナナ。

「どちらも、トリプトファンが豊富です。バナナはおやつにもぴったり。また、鉄分もセロトニンの代謝に必要。不足すると貧血気味になり、それもメンタル不調の一因に。代謝に関わるビタミンCも一緒に摂るようにしましょう」

【睡眠】
眠りが浅い月経前は早寝を。長さで睡眠の質をカバー。

良質な睡眠も、心身を健やかに保つために欠かせない要素。まず肝心なのが、朝の過ごし方。

「起きたらすぐに太陽光を浴びる習慣を。セロトニンの分泌が始まり、体内時計がリセットされて、体調や気分が安定します」(田中先生)

セロトニンは、起床から約15時間後に眠りを誘う物質「メラトニン」に変わる。夜の熟睡のために、朝のうちにセロトニンを分泌させよう。

「また、ホルモン変動の影響で眠りが浅くなりがちな月経前は、いつもより15分早めにベッドへ。睡眠の質を長さでカバーしましょう」(田中先生)

【運動】
脳へのリズミカルな刺激でセロトニンの分泌を促す。

「リラックスに導き、セロトニンの分泌を促すのに有効なのが一定のリズムで行う運動です。一番身近な方法は歩くこと。15分ほどでいいので、散歩に出かける習慣を。朝行えば、体内時計のリセットにもなって一石二鳥。少し速めの歩調でリズムよく、がコツです」(田中先生)

携帯は家に置いておき、軽快に。

「運動が難しければ、ガムを噛むなどの咀嚼運動でも。また、マッサージなどによるスキンシップも有効。心と体に働きかける触れ合いがセロトニンアップに役立ちます」(田中先生)