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アラームなしで起きられるって本当? 眠りのプロが教える「スッキリ起床」簡単なコツ

皆さんは毎朝スッキリ目覚めていますか? 日の出時刻がどんどん遅くなり、朝晩の冷え込みが強くなると、さらに朝の寝起きは悪くなっていきます。寒さが厳しくなる前に対策をしていきましょう! 今回は、寝起きスッキリのための方法を、眠りとお風呂の専門家・公認心理師の、SleepLIVE(株)代表の小林麻利子がお伝えします。

アラームのスヌーズ機能は寝起き悪化の元凶

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数分おきにアラーム音がなるスヌーズ機能を使用されている方は多いようですが、これは寝起きが悪くなる元凶であることをご存知でしょうか? 

睡眠は、深い眠りと浅い眠りを繰り返しますが、朝方は浅い眠りが多くなります。そのため、一度目のアラーム音で目覚めた時は、実は眠りは浅い段階。ですが、誰でも生じる、睡眠慣性という寝ぼけ状態により、“寝足りないのかもしれない…”と勘違いして、もう一度眠りについてしまうと、自律神経の副交感神経が刺激され、深い眠りの時に出る、徐波睡眠が出現することがわかっています。

しかし、数分後に再度アラーム音が鳴って、無理矢理覚醒させられると、今度は体温を上昇しようと心臓の鼓動が早くなり、呼吸が浅くなり、交感神経が刺激されます。でも、また数分後にアラーム音が鳴るから…と眠りに入ると、次は副交感神経が刺激。というように、アラーム音が数分おきに鳴り続けることで、自律神経の働きが短時間で切り替わり、混乱状態になります。

本来なら、深部体温や血圧が上昇して自然な目覚めを得られるのに、このような状態であれば、寝起きは最悪な状態になるのも当然のこと。まずは、「1度目のアラーム音で起きた方が、スッキリとした朝を迎えられる」ということをご認識ください。

睡眠時間は6時間半〜8時間未満は確保を

先程、寝ぼけである睡眠慣性は誰でも起こるとお伝えしましたが、自分に必要な睡眠時間を確保できていなければ、睡眠慣性は強くでてしまいます。

世界各国の健康、美容、認知症、うつ病、生活習慣病などと睡眠時間を調査した結果、長すぎても短すぎてもリスクがあり、だいたい6時間半〜8時間未満がベストです。日本人は世界的にみても睡眠時間が短い国民であるため、読者の皆さんも睡眠時間が6時間未満の方もおられるかもしれません。仕事のスケジュールをいれるように、睡眠のスケジュールを入れてみてはいかがでしょうか?

とはいえ、睡眠時間は個人差や季節差がありますし、加齢とともに必要な睡眠時間は短くなる傾向があるため、必ず7時間、8時間寝なければならないわけではありません。

「6時間で起きてしまったから再度眠らなきゃ」と、もう一度就寝し、睡眠時間を長く確保する方もおられますが、もしかしたらその方にとっては6時間がベストであることも少なくありません。むしろ、二度寝することで寝起きが悪くなることもあります。日中のパフォーマンスや日中の眠気などを考えながら、自分に最適な睡眠時間を探ってみましょう。

最も目覚めが良いのは、自然覚醒

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もっとも良い目覚めを得られるのは、アラームの音や光でもなく、人の声でもなく、自然に目が覚めること。睡眠は、先述の通り、寝始めは深い眠りが多いですが、深くなったり浅くなったりを繰り返しながら、朝方は浅いノンレム睡眠とレム睡眠が多くなります。そして、深部体温や血圧が上昇していき、自然な目覚めが得られます。

そのためには、アラーム時計で起きるのが当たり前、にするのではなく、アラーム時計は遅刻しないための最後の砦くらいに考えておいて、これ以上遅く起きたら遅刻してしまうという時刻に設定するのが良いでしょう。

または、最適な睡眠時間を定めたら、そのプラス10分を睡眠時間として、アラームをセットしておけば、アラーム音がなる前に起きることも可能になります。休日を利用して、自分は本来何時間睡眠時間が必要なのかを調べておくのも良いでしょう。

睡眠の質を高めることももちろん大事

睡眠時間だけでなく、朝の熟睡感をつくるには、夜の睡眠の質を高めることが大切です。具体的には、極力早く、寝入り後に、深いノンレム睡眠を出現させることですが、そのためには、深部体温をしっかりと低下させて、手足などの末端を暖かくすること、そして自律神経の副交感神経をしっかり優位な状態で眠りにつく必要があります。

そのためにぜひ行っていただきたいのは、2つ。お風呂と寝る前のケアです。

1. お風呂
日中の活動量が少なかったり、月経前で高温期であったり、寝る前にストレス等で手足が冷たい状態であれば、深部体温がうまく低下していきません。そんなときは、お風呂にしっかり浸かって、一時的に深部体温を上昇させることが大切です。

入浴後はその反動で深部体温がしっかりと低下するので、そのタイミングでお休みすると、眠りの質がぐっと上がります。

お風呂の水温は40度、時間は15分。汗をかかなければプラス5分浸かってみてください。先に洗髪をして頭皮の血流をよくしてからお湯に浸かることで、さらに温熱作用が高まります。

その後は、速やかに身支度して、汗がひいて手足がポカポカな状態のままベッドに入ることで、とても気持ちよくお休みすることができます。

2. 寝る前のケア
就寝前は自律神経の副交感神経を優位にする「うっとり美容」を行ってみましょう。心も体もうっとりできるよう、さまざまなリラックスを取り入れることで、熟睡だけでなく美容や健康にもつながります。

五感の中でも最も自律神経のコントロールに効果的なのは嗅覚。アロマやピローミスト、ボディオイルなどで、香りに包まれてみましょう。この時、昼間は使用せず、夜だけ使用する香りを用意するとGOOD! 香りを嗅ぐという行動と睡眠がリンクすれば、今日は少し寝つきが悪いな…という時も、香りを嗅ぐだけでぐっすりお休みできるようになります。

皆さんがより良い朝を迎えられますように。

睡眠時間と質を高めることを行ってもなかなか朝すっきり起きられない…という方は、次回ご紹介する「寝起きすっきりケア」を行ってみましょう! 

詳しくはこちらをどうぞ。
起きたらクンクン! 眠りのプロが教える「気持ち良く目覚める」コツ6つ

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眠りとお風呂の専門家
小林麻利子さん

同志社大学卒業、京都市出身。SleepLIVE株式会社代表取締役社長。生活習慣改善サロンFlura主催。公認心理師。科学的根拠のあるデータや研究を元に、睡眠と入浴を中心とした生活習慣を見直すことで、自律神経を改善していく指導が人気。約2,000名以上もの悩みを解決し、テレビや雑誌など、多くのメディアで活躍中。不規則な生活になりがちな、芸能人やモデル、アナウンサーへも指導。

企業向けには、健康経営や睡眠関連事業支援などを行う。著書に『入浴の質が睡眠を決める』(カンゼン)『不美人習慣を3日で整える熟睡の練習帳』(G.B.)など多数。プライベートは、3歳児と0歳児の母。

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